◆いっぱい食べる君
これは僕と彼女のたった一年間だけの恋の物語
「お前ら!!たくさん食え!!!カンパ~イ!!」
そう言って”ゆう”はグラスを掲げる
体育祭から三日後の土曜日の夜、焼き肉店で打ち上げをしている
順位的には3位と言う微妙な位置になってしまったが、全員が頑張っただけで価値があるのだ
僕たちの席には”ゆう””こうやん”霧宮さんと数人のクラスメイトがすでに持ってきた肉を焼いている
熱気が顔全体に広がると同時に、肉の香ばしい匂いが鼻孔全体を支配する
そしてそれを口に運べば、それはまるで旨味を詰め込んで一つに凝縮したような肉汁と良い焼き加減の肉片が口の中に広がる、生きていてよかった、そう思わせるほどに美味しかった
恐らくクラスメイトと初めていく焼肉の特別感でよりおいしく感じるのだろう
みんなおいしそうに肉を頬張っている、それを見るだけで自然に笑みが零れる
「おう明登!見てないでもっと食え!!元を取るんだ!!」
「へいへい、頑張りますよ」
「谷崎.....僕.....もう......む......むりぃ」
「そう思ってからのもう三切れだ!」
「なんだよその筋トレ理論、明登ぉ、助けて」
「.......ごめん、僕もすでにやばい」
最近段々”こうやん”の大人びた雰囲気が、子どものようになっている気がするのはさておき
霧宮さんは黙々とかなりの量の肉を食べ続けている
その表情はひどく幸せそうで、笑顔であった
まさかの大食いキャラだったことに驚きを隠せないが、学校の給食でもいつもおかわり争奪戦に参加していることを思い出し一人で納得する
にしても、その華奢な体のどこにその肉が収納されているのか、不思議で仕方がない
「よく食べるね、霧宮さん」
「あ、えっと、はい.....」
よく食べると言われ恥ずかしかったのか霧宮さんは赤面し、視線を逸らす
「あ、えっと、誉めてるんだよ?いっぱい食べる人って素敵じゃない?」
「そ、そう?だったら....思いっきり食べるね!」
素敵な笑顔だ、料理人がこの笑顔を見たらさぞかし嬉しいんだろう、こんなにもおいしそうに食事を楽しんでくれるのは、一緒に食べる身としても心地がいい
僕も”ゆう”に肉を追加されて食べ始める、かなり量が多い
箸が止まる
食トレしてきているが、きついものはきつい
それに気が付いたのか、霧宮さんはこちらを向いてくる
「都田くんおなかいっぱい?」
「そろそろきつくなってきた」
「じゃぁ」
と言って僕の皿から肉を取ると、箸ごと僕に差し出す
これはあ~んと言うやつなのだろうか、いや、普通は焼肉ではなくパフェとかおしゃれなもので起こるイベントなのだが.....?
僕は何の抵抗もできないまま口を開き、差し出された肉を食べた
先ほどの満腹感が嘘のように消えている、おいしい
「........焼肉でやるか?普通、パフェとかだろ」
(”ゆう”よ、それは僕も思う)
その後、何とかすべてを平らげ会計し夜道を歩きながら四人で雑談をしている
「しっかし、三位は悔しいな」
「でも、リレーは一位だったし騎馬戦はなぜか一位とっちゃったし」
「”こうやん”かっこよかった!リレーはみんなと霧宮さんのおかげだよ」
「そうそう、みんな頑張ったんだから三位でもいい思い出になったよ」
「でもよ~勝ち負けを決めるんだったら勝ちたいよな!
ま!来年も絶対同じクラスになって優勝するぞ!」
そう言って全員の肩に腕を回す
いつでも前を向く君は、親友と呼んでいいのか不安になるほど
僕には眩しい
だけど、霧宮さんはどこか浮かない表情をしていた、違和感がある
霧宮さんは「来年」と言う単語を聴くたびに暗い表情を浮かべる
嫌な予感がする
気づきたくない
顔を背けたい
今はただ
この幸せを
君と
君達と
享受したい
ご一読感謝です!!!!
読者の皆様、焼き肉はお好きですか?僕は脂が苦手なため焼肉に行くと一生タンを頼む全身タン人間になります、あの歯ごたえとさっぱりした味が好きなんですよね。さて次回はテストとなります
一話だけで終わってしまいますが、ぜひぜひお供していただきたい
皆さんテストにいい思い出ありますか?僕は英語の先生にテストが終わってから返される時まで会うたびに「勉強した?」と聞かれ、結果が悪いのかいいのかわからず恐怖していました!!なお結果はよかった模様
テストは誰にも避けられぬ道、しかしあまり張りつめ過ぎず、少し力を抜いて頑張っていきましょう!
ではっ!また次回【◆教え上手な君】にてお会いしましょう




