第16話「武装麻雀④断てない誘惑」
【南2局】 ドラ:中
東:吉太郎 南:恭次郎 西:剛志 北:一輝
「雀帝さんは、もう親が無いね。しかもラスだ。勝たせて貰うよ」剛志は嬉々として言った。
「うまく逃げ切れるかな?」一輝は静かに言った。
「(たったの10ポイントだ。安全圏じゃないだ・・・)」と、吉太郎は思った。
「(剛志に牌が集まっている・・・。一位を取るためには、勢いを止められるかだな・・・。)」
東:吉太郎 七九23569①①⑥⑦西西中
南:恭次郎 一二七358①③⑤⑥⑧南北
西:剛志 三四四伍六八5④白發發中中
北:一輝 三四八九468②③東北白白
配牌を取ると、剛志は全員の手配を確認しに行った。
「(吉太郎先輩は死んでいるな・・・)」
恭次郎と一輝は、剛志の素振りで吉太郎の手配に魅力がないことが分かった。
「(分かり易い奴だ・・・)」と、恭次郎は思った。
「(親はドラを持っていない・・・。剛志は、ドラの枚数しか見ていない・・・)」と、一輝は読んだ。
「(何てことのない手だな、恭次郎先輩も・・・)」
吉太郎と一輝は、剛志の素振りで恭次郎の手配に魅力がないことが分かった。
「(ドラは、剛志か一輝だど・・・)」吉太郎は読んだ。
「(ドラは、剛志か一輝か・・・)」
一輝の手を見て、剛志は固まった。
「(俺の不要牌が鳴ける手牌だ・・・。しかしこれ、何向聴だ・・・?)」
「(ドラは、剛志だ!)」一輝は確信した。
無言で考えながら席に戻る剛志に吉太郎が聞いた。
「だれか、休ませるだか?」
剛志は少し考えてから言った。
「いや、誰も休まなくていいぜ!」
吉太郎と恭次郎は剛志がドラを抱えていることを確信した。
「(やはり! 抱えて死なれることが困るんだ。手を進めて出して欲しいんだ)」と、一輝は読んだ。
東:吉太郎 七九2356①①⑥⑦西西中 7→西
「(ドラは、切れないど!)」吉太郎は慎重だった。
南:恭次郎 一二四七358①③⑤⑥⑧南 7→一
「(役牌も切れないね!)」恭次郎は手を回した。萬子の手出しに剛志が少し反応した。
「(ドラ入りの染め手か?)」三人は推理した。
西:剛志 三四四伍六八④白發發發中中 ⑦→⑦
「(いらねぇぜ!)」剛志は空回りを感じた。
「(⑦の急所の自摸切りだと! まるで必要なさそうだ・・・)」恭次郎は捨て牌を睨んだ。
北:一輝 三四七八九②③東白白 吃4(5)6 二→東
「(これも必要だったに違いない・・・)」一輝の東切りに吉太郎と恭次郎は聴牌が近いことを確信した。
東:吉太郎 七九123567①①⑥⑦中 六→九
「(ドラが押し出されるど!)」吉太郎はまだ耐えた。
南:恭次郎 二四七3578①③⑤⑥⑧南 ④→①
「(役牌と萬子が切れないね! 抱えて死ぬか?)」恭次郎は手を回した。
西:剛志 三四四伍六八④白發發發中中 一→④
「(中途半端だぜ!)」剛志は空回りを感じた。
北:一輝 二三四七八九②③白白 吃4(5)6 ③→②
「(聴牌はしたが、後付けだな・・・。誰が出すか、俺が積もるかで流れが変わる!)」一輝は静かに聴牌った。
東:吉太郎 六七123567①①⑥⑦中 ②→②
「(一輝が聴牌臭いど!)」吉太郎の我慢は続いた。
南:恭次郎 二四七3578③④⑤⑥⑧南 4→⑧
「(万が一にも南と萬子は切れない! 手仕舞いだ・・・)」恭次郎は和了を諦めた。
西:剛志 一三四四伍六八白發發發中中 一→白
「(隣が欲しかったぜ!)間に合え、白!」剛志はイライラした。
「ロン!」一輝が剛志の捨て牌に食いついた。
「! え?」
「間に合わないよ。スマンな。後付けのノミ手だ」
剛志は安かったので安心した。
「なんでぇ、千点かよ」
「ふふっ、安くてスマンな」一輝が笑った。
「俺と恭次郎からは、出ないど! お前の狙い撃ちだど」吉太郎が注意した。
「ふ~ん。仕方ないよ、混一色の一向聴だ」剛志は開き直って手牌を開いた。
「・・・(派手に食い散らかされたのに、仕上げたのか! 大した自摸だど)」吉太郎は驚いた。
「・・・なら仕方がないな(分かりやすい奴だ。乗せたら手に負えなくなるな)」恭次郎が言った。
「全局参加するか? 降りる気はないのか?」一輝は聞いてみた。
「めくり合い、和了りあいが麻雀の醍醐味だ! 力勝負は望むところだ!」
「個人戦ならば、それでもいいだろう。キミはチーム戦の場合も同じ戦い方をするのか?」一輝は試すように聞いてみた。
「チーム戦ならば、俺がアタッカーでパートナーがサポート役だ」
「自己中心的な考え方だど。戦い方は、手牌や流れで変わるど」吉太郎が窘めた。
「もちろん、パートナーが俺よりも強ければサポートするよ。出来ないけどね」
「お前は、麻雀の駆け引きが分かっていないな」恭次郎が言った。
「相手の手を想像して、手を崩すなんて愚策だね。相手の高い手を潰して、ひれ伏させるんだ! それが、俺の麻雀だ!」
「その割には、キミは弱いな」
「珈琲大臣は、夢がでかいど!」
「攻撃性は認めるがな。まだお前は弱い」
「ふっふっふ。次期雀帝と呼んでくれ!」恭次郎の言葉に、剛志は一歩も引かなかった。
「よし、殴り合いを始めるか」一輝のひと言で場に緊張が走った。
一輝は剛志の攻撃的な性格を楽しんでいた。
南一局 吉太郎【+1】 南:恭次郎【-1.5】 西:剛志-1【+1】 北:一輝+1【-0.5】




