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超板金 山形ロボ ―ロボットがランドマークになった街で、怪異が目を覚ます―  作者: bobson3b


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015 2026年4月21日(火)_04 今日はシティロースト

霞が関へ向かう公用車の後部座席で、

渡部信也議員は、愛用のタブレットに流れるニュースを無言で追っていた。


中東の停戦崩壊。

東欧の国境線をめぐる衝突。

南シナ海の緊張。


遠い国の出来事のはずなのに、

それらは毎日のように見出しを占め、

いつの間にか「日常」の一部になっている。


旧友から貰ったチタン製タンブラーのコーヒー、

——華やかな香り

ガテマラ。やや深入りでチョコを思わせる風味。

アロマを楽しみながら口に運び、

小さく息を吐いた。


——人間同士で、また始めるのか。


1999年7月24日早朝。

公的記録には残らない。

だが、自分の記憶からだけは消えない光景が、

脳裏をよぎる。


引き裂かれたように戻ってきた機体の影。

装甲に残る、修復できない傷痕。

担架で運ばれる操縦者たちの、

焦点の合わない視線。


名前を呼んでも、

返事が返らなかった者たち。

通信ログだけが、

そこに「いた」ことを証明している存在。


そして、

帰ってこなかった仲間——浮雲。


あの朝、

世界は確かに救われた。

だが同時に、

いくつもの人生が、

どこにも帰れなくなった。


渡部は目を閉じる。

まぶたの裏に浮かぶのは、

勝利の光景ではない。


——ただ、

“間に合わなかった”という感触だけが、

今も、重く残っている。


あの時、

国家も、宗教も、経済も、

すべてが一度、意味を失った。

ただ「生き延びる」という一点だけで、

世界が奇妙なほど静かに、同じ方向を向いていた。


それなのに。


21世紀に入ると同時に、

今度は人の手で、

ビルが崩れ、街が燃え、

国と国が、また線を引き直し始めた。


平和が続くと、

人は、何と戦っていたのかを忘れる。

忘れたぶんだけ、

新しい敵を作り出す。


渡部は、愛用のグラデーションが美しいタンブラーを見つめたまま、

小さくつぶやく。


——自分の人生が、清廉潔白だったとは言えない。

だが、1999年以降、

あの日に失った仲間に恥じる選択だけは、

してこなかったつもりだ。


「……あれだけのものを見ても、

それでも、まだ足りないのか」


車窓の外では、

いつも通りの朝の霞が関が流れていく。

スーツ姿の人々。

横断歩道。

コンビニの明かり。


何もなかったかのように、

世界は今日も、

平和な顔をして動いていた。

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