102 2026年5月11日(月)_02 北イオン、フードコートの女子高生
山形市北イオン。
夕方前のフードコート。
ケンタのスパイスの匂い。
マックのポテトの油。
銀だこのソースの甘辛い香り。
全部ごちゃ混ぜで、
なんかもう「放課後」って感じ。
ちょっと甘くて、ちょっとしょっぱくて、
妙に落ち着く。
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テーブルの上。
教科書ひらきっぱなし。
ノートに謎の落書き。
シャーペン転がってる。
スマホ四台。
ショート動画の音がイヤホンから漏れて
「ドゥンッ!」
聞きなれた変な効果音。
星奈が笑いをこらえきれず肩震わせる。
「ちょ、やばっ、 親の声より聴きなれてるわ、この音」
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星奈、ポテトをつまみながら。
「あ、そういやさ」
指に塩ついたままスマホいじる。
「箱大仏いなくなったけど、誰も騒がなくね?」
瑠羽、たこ焼きを割って中身ふーふー。
「普通に撤去じゃね?老朽化とか」
心愛、目を細めてスクロール。
「でもさ、文翔館前に立ってる動画あったよね?」
「あったあった。
でも消えてたしさ、コメント“AI生成”で埋まってた」
「最近なんでもAI。
幽霊も宇宙人も全部AI」
「いやでも、テレビ?生放送?
映ってなかった?」
三人、ぴたっと動き止まる。
たこ焼きの湯気だけ上がる。
一瞬だけ、空気が止まる。
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星奈、小声で。
「……あー、そういえば陽葵のお姉ちゃん、
なんか襲われたとか言ってなかった?」
陽葵、シャーペン止める。
一拍。
「いや、別に。
なんか騒ぎあっただけ」
軽く言う。
「でも普通にこないだ一緒に遊んでたじゃん?」
瑠羽、即断。
「じゃフェイク確定。
はい解散」
全員うなずく。
納得というより、
“その方が楽”って顔。
「七日町もヤンキー爆走してたしさー」
「捕まったんかな」
「うちの親ガチギレしてた。
“なんで道路封鎖なんだ!”って」
「クソだね」
でも笑ってる。
怒りというより、
話題消費。
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心愛、急に思い出したみたいに。
「そういえばさ。
新庄のばーちゃん家の近く、家つぶれたらしい」
「は?地震?」
「いや、突然。ドンって」
「欠陥住宅じゃね?」
「知らん。人死んだって」
一瞬、
三人とも眉が動く。
ほんの少しだけ。
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星奈、すぐ笑う。
「いやいやいや。
家って突然つぶれなくね?」
「うん。
家はつぶれない。
これ真実」
「都市伝説やめろし」
三人、笑う。
怖さを、
雑な笑いで押し流す。
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ポテトの最後の一本。
三人同時に手が伸びる。
「あっ!」
奪い合い。
星奈が勝つ。
「勝者の味」
「ずる!」
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「そんなことより宿題終わらん!」
「陽葵終わった?」
陽葵、シャーペン走らせたまま。
「あー、もうちょい」
「最近マジメじゃね?」
「受験モード入った?」
陽葵、ちらっと顔上げて。
「まぁね」
一瞬だけ、目が遠くなる。
箱大仏。
文翔館。
七日町。
全部、胸の奥にしまう。
すぐに戻す。
「てかさ、次どこ寄る?
二階のブックオフ?」
「アクスタ探そう! 普通に買うと高いっしょ!」
「はい移動すべ、移動すべ」
また笑い。
また日常。
世界がどうなっていようと、
ポテトは冷めるし、
宿題は終わらない。




