6歳になった僕
話の流れがおかしかったので変更しました。
名前も間違っていたので変更しました。
メノウさんに拾ってもらったあの日から、約5年が過ぎて6歳になった僕。
僕みたいに捨てられる子供は少なくは無いけれど、普通は孤児院に持っていくかそれか奴隷になるか、どのような方向に行っても大抵は不幸に終わると聞いた。
本当にメリノさんに拾ってもらって、世話までしてもらって、心から良かったなと思う。
少しよたよたぎみだが歩くことも出来るししっかりと話すことも出来るくらいには大きくなったと思う。
「ジェ-ン、飯の時間だぞ。飯を作れ。材料は置いとくから…そうだな、この前お前が作ってくれたから揚げが食べたい」
5歳児にこんなこといって、もし僕が普通の5歳児だったらどうなってたのだろうか。
少しだけ心配になってしまう。
ちなみに、から揚げは暇なときに作った物をメリノさんが気に入ってしまったのだ。
「…メノウさん、僕の名前やっぱり変じゃありません?ジェーンなんて女の子の名前ですよ」
まあ、僕がこんな返事をするから悪いのかもしれないのだけれど。
僕の名前が正式に決まったのはつい先月のこと。
それまでは決めようとも思わなかったらしく適当にお前とか君とか言われていた。
自分でも名前なんて特に気にしていなかったけれどジェーンは似合わない気がする。
「おや、起きてたのかい?…いや、そんなことはないと思うぞ。私の昔飼っていた雄の猫もその名前だったからな」
「僕は猫ですか…」
切れ長の目に、常に笑顔な口元。
黒くて腰まである長い髪の毛に窓から入った朝日に反射してキラキラと輝いて天使の輪っかが綺麗に見えている。
腰に刺さった短剣はそれこそ短い物の綺麗な細工が行なわれている。
黒い、タイツのようなぴったりとしたズボンにきゅっとした赤くてくびれの目立つヘソだしの、タンクトップの下半分切りましたみたいな服を着ているメリノさん。
とても綺麗で美しいけれど、この世界の中では普通のレベルらしい。
だけれど、僕にはそんなこと関係ないのでこれからも気にすることはないだろう。
メリノさんが自分で建てたという森の小屋には鏡が無いので、自分の姿を確認することが出来ていない。
窓も無く、近くに池や湖、川も無いので全く自分の姿を確認する術が無いのだ。
それでも、自分の容姿など知らなくても良いだろう。
メリノさんに容姿について何か言われたことはないしそこまで酷い物ではないということだと思う。
森の中は、地球にあるような森とは違って木が話したり変な動物がいたり、空への階段があったり異次元に繋がっている扉があったり幻想的でファンタジー溢れる世界そのものだった。
僕は、一生このままここですごしても良いかななんて思っていた。
僕の一日は、朝日が出る頃に起きて(時計が無いため時間はわからない)朝ごはんを作って食べたら軽い眠気覚ましに手作りの算数ドリルを一枚終わらしてもう一枚作り、魔法の練習を昼前までやって昼ごはんを食べたら庭の草むしりや花の世話、ミィアのご飯を作ったりして魔法練習もかねて飲み水を一日分作り出す。
そのあと外へ出て飼っている牛猫という猫なのに牛乳をだす動物の場所まで行って乳搾り。
それが終わったら食材を求めて森の中のメリノさんが教えてくれた安全なルートを通りある一定の歳になると自殺する鹿丸という鹿の死体を解体して持って帰ったり果実などを持って帰ったりを夜までにする。
全て終わると家に戻って夜ごはんを食べてメリノさん自作の勇者物語の本を読んで水でぬらしたタオルで体を拭いたり頭から水を被ったりして体と頭を洗ったら寝る前に枯れた葉を重ねて作った電気のつかないランプに魔法で光をつけてそのまま寝る。
これで終わりだ。
魔法の才能はあると言われたけれど、実際使えているのは水を作り出したり光を灯すくらいで攻撃魔法や回復魔法なんていうのはまったく使うことは出来ない。
メリノさんが言うには、魔法使いは一部の天才や秀才にしかなることが出来ないといわれているらしい。
なぜなら、魔法というのは不安定で調整が難しく魔力量なども生まれつきで変わってしまい、才能があるもの無いものとの違いがはっきりしてしまうなかで人によって得意不得意があり魔力量は沢山あるのに使える魔法が無いということや魔法は出来るけれどすぐに魔力量が底をつくということがよくあるのだ。
それでも、僕は魔法を使える。
僕の得意な魔法は光魔法と闇魔法。
何故正反対の能力なのかメリノさんに聞いたことがあったが、本来の僕の能力は光魔法なのだけれどある影響により闇魔法も得意分野になってしまったといわれるだけで正直よくわからなかった。
光魔法で言うと、他の魔法のレベルを少し上げて水魔法が苦手なのに水魔法を使ったり風魔法を使ったりできたりランプに明かりを灯したりちょっとした切り傷を回復させることができるってぐらい。
ただし、闇魔法は一切の使いかたが解らずどうやれば解るのか全てが不明だ。
5歳までの間、ずっと魔法を出すまでだけの積み重ねを続け、やっと出来るようになった魔法なのだ。
途中では終わらせたくない。
「ジェーン、飯早く」
「…はいはい」
僕の平穏な人生、もっともっと永遠に続けばいいのに。