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パルホロンの疫
洪水から三百年余りのち、パルホロンという男が西の海から島に上陸した。
島は無人であった。彼は牛を連れ、麦を携え、麦酒の醸し方を知っていた。彼の民は島に初めて屋根のある家を建て、初めて畑に鋤を入れた。
やがて、海の向こうから船が来た。異形の民、フォモール族である。パルホロンの民は彼らと戦った。
しかし、勝敗が定まる前に疫が来た。
一週間のうちにパルホロンの民は死に絶えた。麦を刈る者も、麦酒を醸す者も、子を抱く者も。丘には数え切れぬ墓が並んだ。この地は後世、疫の墓所と呼ばれる。
ただ一人、ツァン・マク・カイリルだけが生き残った。彼は獣の姿に身を変じながら幾世代を過ごした。鹿となり猪となり鷹となり、そして鮭となった。彼はのちに、その長い生の記憶を一人の聖人に語り聞かせることになる。




