↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/36

コンラ

アイフェの子は、コンラと呼ばれた。

父の残した指輪を、少年は肌身離さず持っていた。


七歳になったコンラは、海を渡った。

アルスターの人々がトラハト・エーセの浜に集まっていたところへ、小さな舟が漕ぎ寄せた。

乗っていたのは、一人の少年であった。


少年は、二本の黄金の槍を持ち、石を投げて遊んでいた。石は空を飛ぶ鳥を撃ち落とし、投げた手に再び戻ってきた。浜に集った者たちは、その技に目を見張った。


コンホヴァルは、少年の正体を知ろうとした。使者コンデレが向かい、名を尋ねた。少年は答えなかった。禁戒が、彼の口を封じていた。

次に、コンナル・ケルナハが相手に立った。少年は石を投げ、これを倒し、盾を奪った。


そこへ、クー・フリンが現れた。

エマルは、少年の身のこなしを見て、胸騒ぎを覚えた。あの技は、スカアハのもとで学んだ者の技である。

彼女は夫に告げた。


「あれは、あなたの子ではないのですか」


それでも、一騎討ちは始まった。名を明かさぬことと同じく、一騎討ちを拒んではならぬという定めが、コンラを縛っていた。

彼には、退くことも、戦いを断ることも許されていなかった。クー・フリンもまた、挑まれて退くことはできなかった。


二人は、互いの技を読み合った。コンラの太刀筋、槍の運び、跳躍の間合い。そのどれもが、クー・フリンの見知った形をしていた。同じ跳躍、同じ足の運び。それは道理であった。少年もまた、アイフェを通して、スカアハの技の流れを汲んでいたからである。


戦いは、水の中にまで及んだ。互角であった。互角である限り、クー・フリンは少年を打ち破れなかった。少年は、父の技を、父と同じ深さで身につけていた。


だが、一つだけ、少年の知らぬ技があった。

足を使い、水の中から放つ、ガエ・ブルガである。この技を正しく使いこなす者は、クー・フリンをおいて他になかった。

彼は、それを放った。刃は少年の体に、一つの傷として入った。だがその内で、幾つもの棘のように開いた。


致命傷を負ったコンラを、クー・フリンは抱き上げた。

そのとき初めて、彼は己が何をしたのかを知った。


「この子は、私の息子だ」


その言葉は、遅すぎた。

コンラは、父の腕の中で語った。


「あと五年、生きていれば、私は世界の戦士たちの前に進み出て、ローマにまで王権を及ぼしただろう」


そして、少年は息絶えた。父と子は出会った。

だが、父と子として生きる時は、初めから与えられていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。