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輪廻回廊369  作者: ヴァネット卿
第二部 第三章 現世

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第78話 ゆうなと次なる世界

「やった~!これ全部食べて良いの?」


起きた瞬間、たくさんの人がたくさんのスイーツを運んできた。


「ゆうな様、蘇られたこと大変うれしく思いますぞ。


はるま様も早く起きて頂ければ良いのですが」


「はるま、君は、まだ、寝てるんだね」


私は大量のどら焼きを口に放り込みながら話した。


この姿をママに見られたら怒られるだろうな。


パパなら笑いながら見ててくれると思うけど…


食べても食べても無くならない。


周りにもたくさんの食べる人たち。


「食べられましたら、何か遊びになられますか?


プールにゲームセンター、スポーツ施設とあらかた揃っておるとは思いますがの」


「プール!ゲーム!ゲームしたい!」


「では、こちらにどうぞ」


途中大人たちが熱狂してる場所を通った。


あれは…ギャンブルかな?


それにみんなが飲んでるのは…たぶんお酒だ、パパが飲んでたから知ってる。


それから私はゲームをしながらおやつを食べてゴロゴロして過ごした。


「凄い!これは天国だ!」


「その通りですじゃ。


ここは人の快楽を形作る世界、心行くまでお楽しみください。神の子よ」


神の子?パパが神になるっておねえさんが言ってた。


そういうことかな?


私はその日ダラダラするだけで過ごしてそのまま眠ってしまった。


起きると、はるま君はまだ寝ている。


「天国から帰ってこないつもりじゃないだろうな」


私はそう言いながらリビングへ行くと、はるま君が起きてきた。


「おはよ~なんか次は変な世界だったね」


変な世界?といえば変な世界だったのかな。


「変と言うか...私はゴロゴロしながらお菓子食べて終わった」


「何それ!俺が知らない女の子に食われそうになってる時に!ずるい!」


女の子に食われるって何?はるま君はケーキに転生したとか?


「知らないよ~何それ女の子に食われるって、怖い」


私がジュース飲んでる間も、ずっと喉が渇いてたなんて、

はるま君じゃなくて良かった。


ママに早く行きなさいと怒鳴られて、線香に手を合わせた。


パパにもおいしいものを食べさせてあげたいなと思いながら、

行ってきますと学校へ走った。



今日の学校は最悪だった。


テストが全然出来なかった。


何故歴代の聖女は連立方程式を知らないのか…


図形の知識ぐらい持っていてくれても良さそうなものだ。



夜寝る時間が近づくと、私は嫌なことを忘れるためにもあの世界に早く行きたかった。


「はるま君!早く寝るよ!スイーツが私を呼んでるの!」


「いやだなあ。あの世界行きたくないなあ」


「泣き言言わないの!あの世界が私達を呼んでるよ!」


そう言い私は電気を消した。



起きると…また?


棺桶に閉じ込められている?


いや手足は動く、水亀が置いてある。


生きていける状況が整ってる部屋のような。


でも、スイーツは無い。


ジュースもない。


とりあえず出ないとと思い扉を探した。


どこにもない。


天井は…押し上げられそうだが重たい。


重い天井を必死で押し上げる。隙間が出来て天井をずらす。

顔を出すと、そこには大量の樽が並んでいた。

私が入ってるのも樽だ。


なに?これ。


別の樽に飛び乗った。

開けて見ると…おじさんがにらんでいる。


「何してるんですか?」


「勝手に開けるな!人とのかかわりなどいらぬ、邪魔をするでない!」


怒った老人はすぐに天井を閉めた。


また怒られると嫌だから、私は他の樽は開けずに樽から樽へ飛びながら移動した。


なにこれ?樽の世界?


どこまで行っても樽、樽、樽、終わりが無い。


数人の樽の上に座る人を見つけた。


その中の一人に話しかけた。


「ここはどういう世界なの?」


「話しかけるな!人との関わりなど人の生に不要じゃ!」


また怒られた。


何かむかついた私は、さらに話しかけた。


「なんで話すの嫌なの?友達いないの?」


「友達など不要じゃ!嫌いなのではない!会話など不要だからじゃ!」


不要だからいらない。必要なことだけする?


なんだかアマテラス社会を思い出した。


ここの人を樽から全員引っ張り出したら解決する?


いや、なぜかはわからないけど、はるま君が聞いたら怒りそうだ。


だから、辞めておこう。


「疲れた~!どこまで行っても終わらない~!」


「うるさいぞ!」


どこかの樽から声がした。


なんか怒りっぽい人達だなあ。


「あ、しまった!」


自分の樽がわからない。


戻る場所がわからないし、どこで寝れば良いのかわからないな。


どっかの樽の上で寝れば良いか。


どうせこの人達出てこないんだし。



そう思った私は一日樽の上を飛び跳ねた疲れもあって、すぐ眠りについた。



起きて朝ご飯を食べていると、はるま君が起きてきた。


あれはやっぱり、はるま君にも理解出来ない不可解な世界なんだ。


「俺も、女性を助けたら怒られたよ。

私は救われたいんだって、あの人はどんな罪を犯したのか。

何をしたらあんなことしないといけなくなるのか」


はるま君は誰か助けたんだ。


助けても怒られるんだ。


それじゃ話しかけて怒られるのも無理ない。


罪から救われたい?

あれは牢獄みたいな物なのかな?


ママにテストの点数で小言を言われながら、

いつも通り線香に手を合わせて、パパに行ってきますを言う。


パパにならあの変な世界も理解出来るのかな。


救えるのかな?


救い?私達が何か救う必要すらあるんだろうか?


あれはあれであの人たちは幸せなのか?


それすら私にはわからなかった。



「ゆうなちゃん待って~!」


学校帰りにしおりんに呼び止められた。


「やっぱりまだお父さんお母さんの許可は得られず?」


「そうなんだよね~能力が何なのかもわかってないのに危ないって」


「そりゃそうだよね~


わかってる私達でも辞めておいた方がって思うことあるもん」


「やっぱり、ゆうなちゃんも反対?」


「どうだろう~一緒に冒険出来たら楽しいだろうけどね!」


しおりんがもっと情報が欲しいからと、

うちにきて天狗さんとお話することになった。


天狗さんは私が差し出したクッキーを嬉しそうに食べる。


「聖女の力も精霊の力も魔力すら、本来こっちの世界に来ちゃ駄目なんだ」


「そうなんだ?でも方法はあったんだよね。元から」


「元々、時折この世界で能力に目覚める存在はいた。


それは小さな小さな力だったんだ。


物を少し動かすとか、紙に書いてある字を透かして見るとかな」


「いわゆる超能力ってことかな」


「そうだ。


あと、おめーらはとても特殊な事例でな。奴の存在が影響した結果だ」


「それ以外だと、自分の中に理の外の物質を取り込んだりして、

回廊を自力でつなぎとめる人間も歴史的には存在する」


「それって物理的に?例えば修羅界にしかない物質を飲み込むとか?」


「まあそういうのもあるかもな。

修羅界にしかない物質はこっちにはねーから無理だけど」


「もしかして、おねえさんがそうかも。


話してくれないけど、あのお腹の傷、何かありそう」


「あ~そうだな。あの女は自力で回廊をこじ開けるタイプだ。


我等は、奴以上にこえー存在だと思ってる」


「おねえさん優しいよ?」


「わかってる。悪い奴じゃねーことは我等もわかってる。


ただ、あの執念はおめーらの父すら超える。


おめーらの父は好きだぞ。それと同じぐらい危険な存在だ。


我等の理解を超えるって意味では、あの女の方がやべーってだけだ。


奴がおめーらに敵対しない以上、我等も敵対しないから安心しろ」


「それはわかった。


じゃーなんで、今こんなに能力者があふれるようになったのかな?」


「それは…」


「何?」


「まあここまできたら、良いか。


おめーらが三つもの世界を変えた。


そのおめーらの成長が、回廊全体を広く広げることになったんだ」


「じゃあ、私達が三つの世界を変えたことが、

現実の世界に力を与える原因になったってこと?」


「どういう理屈だよそれ!」


振り返るとはるま君が帰ってきてた。


そう、どういう理屈なんだろう。


私達が回廊を広げた?


そもそも私達にそんな力があったの?

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