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ゼロ化世界  作者: ゴスマ
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第42話 ルビエル降臨

目を通して頂き有難うございます。

 意を決して本物のジャネットさんに相談した。彼女はワールドハピネス社のお偉いさんで俺がジェニーから預かっているPOJOのIDを奪還しようとしているので、その事は秘密にしなくては行けない。


 「で...あれは貴方のIDを奪った別人がキャラクターを洗脳して操作していると?」


 「はい。...最初は俺の過去キャラ繋がりで...その内正体が見えて来て、証拠を集めた告発しようと潜入を繰り返していたらミイラ取りがミイラにって奴でして...」


 「では、ID乗っ取りに関しては公式HPからクレーム対応依頼を出して下さい。このパソコンを使って下さい。社内ネットワークなので安心ですよ?」


 「ええっと...奴ら逆探知やらするみたいで...怖くてあのIDでログイン出来ないんですよね...捜査員の人とかもリアルで拉致するとか脅されていましたし。」


 「ログイン出来なくなった時様にHPからIDとメールアドレスだけで依頼は出せます。というよりも!その話本当ですか?!若しかして本社のバンビーナさんが失踪したのって?!!」


 何ですかそのラテン系のお名前は?


 「珍しいお名前の方ですね。アフリカの人ですか?」


 「名前何てどうでも...いえ、イタリア語で赤ちゃんという意味です。バンビって小鹿のお話しりません?」


 「赤ちゃんの失踪ですか?」


 「お名前です!!」


 何故俺の受け答えがガバガバなのか?


 実はR・ジャネットさんの説明をよく聞く前に馬之助のIDでログインして画面を開いてしまったからである。


 そこでには玉座のアニヒレイターと馬之助を含め5人の漆黒で身を染めた騎士が立ち並んでいた。俺は念のため音声入力関係を直ぐにOFFにしていく。


 『諸君、我等の目的は後一歩で達成される。零魔将軍筆頭ナンバーゼロ・デビル×××の戦果を称えよう。』


 ガシャガシャと手甲を叩く音がする。


 『さて、諸君ら零魔将軍には決勝戦と同時に各大陸で騒ぎを起こして貰いたい。

 

 いわゆる陽動作戦という奴だ、作戦にはそれぞれ1000人の零化教徒を授ける。


 さて、さっそく各地へ散るが良い。決起は明日の正午、世界大会の決勝戦開始のゴングを持って行う事とする。』


 『『『はっ!』』』


 1名女性の声が混じっていた気がしたが、気のせいだろうか?


 「佐藤さん、ちょっと聞いてます?」


 ジャネットが美しい眉を潜ませて問いただして来た。


 「すみません」


 そう言って手早くログオフすると言われた通りにHPからクレーム依頼を出す。


 「そう言えば奴らは決勝戦開始に合わせて各地でテロを起こすような事も言っていました。」


 

 「バンビーナさんの事を本社に報告して...それにテロですって?分かりました、NPCで編成した軍隊に主な大都市を警護させる様に至急手配します。他にも在りますか?POJOのIDに繋がる情報は?」


 多分俺の瞳はキョロキョロ挙動っていただろう。


 「残念ながら...其方は未だ。IDが奪われたので...」


 「仕方が在りません。運営のキャラを1体お貸しします。LvはMaxで250まで変化させれます。密偵用なので★マークは付きませんがそれで引き続き探って下さい、良いですね?」


 アパートに戻ると早速借りたIDでINしてみる。


 キャラクターネームは”D.E.バズーカ”、EとDが逆だと大変な事だと思いながらキーを叩く。ログインした先は極東大陸の王都、冒険者協会本部だった。


 持ち金を見ると軽く1億ギールを超えていたので飛竜をチャーターして夜昼の街へと急ぐ。街に着くとさっそくカオスさんを訪ね事情を話すとギルドに入れて貰った。


『バトゥーカ君、それでは明日の正午に各地でテロが起こると言うのかね?』


 カオスさん、無理にバトゥとバズーカを掛け合わせなくても良いですから...


『はい、間違いありません。』


『では近隣のGMにその事を知らせ防護体勢を整えよう。バトゥーカ君も警備に当たれるかね?』


『申し訳ありません。どうしても外せない用事が有りまして...』


『面接か何かかな?いい、いい、言わなくても。終わったら様子を見に来て欲しい。』


 そこへサリーが操るレディーJが輝きを振りまきながら歩いて来た。彼女は先ほど家に来て今ログインした所だ。


『Jさん、こっちのD.E.バズーカさんはバトゥの仮の姿です。』


カオスの紹介にJが妖艶に笑う。


『貴方、女難の相が出ているわ。』


俺は隣に座ってパソコンを操作するサリーに顔を向けると眉を顰めて聞く。


「何それ?」


「一回言って見たかったの。」


「止めてくれてよ、立て込んでいるのに...」


サリーは耳を貸さず、自分のノートパソコンをゴソゴソ弄っている。


『では、そろそろ行きます。また明日。』


最近の癖でバズーカをログオフさせようとしたがコイツは今lv250設定だ。居れば何かの役に立つだろうと思いそのまま終了を押して、オートで放置する。そしてPOJOでログインし直す。忙しい物だ。


「あれーJから自分にメールが届いている...何々~」


隣でサリーが何か言っているが、それどころではない。


『遅かったですなチャンピオン、ではこれから決勝戦の開会セレモニーを開始します。』


 インタビューやら過去の戦績の紹介やら殆ど王者を持ち上げる会の様な物が30分程続き、馬之助(デビル×××)はその間終始無言で集中していた。


 「おいサリー、そろそろ始まるから街の見回りはどうなっている?」


 サリーの画面を覗くと画面の中でレディーJと赤い服のサリーちゃんがバズーカを引っ張り合っていた。勿論引っ張っている二人はサリー操縦である。


 「何やってんの?」


 「モテモテな状態にしてあげている。嬉しいでしょ?」


 「あーーー、もう早くカオスさんと一緒にパトロールに出てよー!」


 『それではーー!、長らくお待たせいたしました!これよりLLON、ライトニングレジェンド オブ ナイツの2020年度世界大会を開始します!』


 インタビューを終えたPOJOを早速オートモードに入れた俺は緊張の面持ちで画面を見つめる。俺に出来る事と言えば後は祈るのみである。


 デビル×××は不気味なほど静かだった。

 そして時計は正午の針を指した。


 『ごうっ!!!』


 隣のモニターが爆発した。いやモニターの中の街が大爆発で砕け散る様が映し出された。念のためにパトロールをとお願いはした物の数ある都市の内で何もこんな中くらいの街を襲わなくてもと泣き言を言いたくなった。


 レディーJはギルドの隠し部屋に座り世界各国のニュースをモニターで監視する。


 「馬ちゃん、昼夜に来たのはバカでかいヒュドラ1匹だけ見たい。王都には零化教っていう集団が第2門で貴族群と睨み合ってるみたい。それとね…」


 「ちょっと待って、零魔将軍っていうのの軍隊がどこに攻めて来たか分からない?」


 POJOの画面上ではデビル×××が鏡面仕上げの盾を無数呼出し武台を包み込む様に盾が並んでいく。コイツまさか‥


 『■怒号魔柱馬焦光波ーーー!!』


 当然POJOは縮地を利用して避けるが立ち並ぶ鏡の盾で魔砲が反射し武台を赤白色に染めていく。物理的な盾ならいくらピカピカに磨こうとも衝突で爆発を起こすはず、あの盾には魔法の効果が付与されている。


 『とうっ!』


 POJOは高く飛び上空からデビル×××に切りかかる。


 『■パルメチック・ガトリングドーム!』


 「えっ?」

 それは確かにMr.PKGの必殺技パルメッチク・ガトリングドームの魔槍版だった。


 そんなバカな?スキルは開発者が名付けた時点で登録され一般公開されるが世界大会レベルの使い手の必殺技はそんな簡単に習得できる物ではない。目の前で起こっている事がにわかには信じられなかった。


 「馬ちゃん!あの怪獣おかしいよっ!モヒカンさんとスーパーさんが吹き飛ばされて、今ハムスターの王ちゃんとラブライムのGMが主力メンバーで囲って攻撃するけどHPバーが殆ど減らないのっ!幾らなんでもあり得ないわっ!!」


 「ハメさんは?」


 「後方からF.F.Bを連打してたけど魔力切れで補給中。それでね馬ちゃん…実はね…」


 そう言えばさっきから何か言いたそうだった。


 「えっ?何?」


 「みっつ有るんだけど大事な方から言うね。えっバズーカちゃんがJよりサリーの方が可愛いよって口説いて来るんだけど如何しよう?それと、Jが見てるニュースだとNYとPK,LD,MSの4王都が零化っていう軍だか教団だかに攻撃を受けている見たい、各地には巨大な魔物が出現中…それから…」


 なんだか最後が一番大事な事を言われそうな気がする。


 「Jが襲撃に備えてメールをくれてたの。敵の魔物はチート改造でlv300のレイドボス何だって。」


 lv300…駄目だ、太刀打ちできるのがカオスさんくらいだ。そのカオスは未だ移動中で恐らく王都の騒動に巻き込まれている。


 「どうすれば...」


 俺は両拳を握りしめた。その手をサリーの小さな手がやさしく包み込むと俺たちは見つめ合った。


 「それで、Jがチート魔物に対抗できるチート装備を準備したから使ってって...」


 「それを早く言ってよーーー!」


 POJOはガトリングドームの攻撃で2割ほどHPを減らした後、それでも技終了時の硬直を狙って馬之助に打撃を与え馬之助のHPも1割程減っていた。流石は王者、一撃一撃が非常に重い。


 俺は急いでレディーJを操作するとサリーの元へと走る。

 確かにJのストレージ一杯に見たことも無い武器・防具が詰め込まれている。


 「誰に渡すの?それ使った人が死亡したら消えちゃうってメールに書いてあったよ。」


 「近くにいる一番強い人に渡して行くしか無いだろう?」


 「カオスさん多分王都に...カオスさんの所へ行って!」


 しかしこの街に舞い降りた災悪を見過ごすことも出来まい。


 赤いドレスのサリーが見えた。大きな建物の屋上から火炎魔法で攻撃中だが巨大ヒュドラにとっては皮膚を焦がす程度にしか効いて居ない様子だった。


 『サリー!バズーカは何処だ?』


 『私をお探しかね美しいレディー。』ぐっコイツサボってたな?こいつに装備を渡そうと思って読んだが決心が揺らぐ。


 『ハメさんは?』


 『えーっと、今PT組んでるんだけど病院マークになってるね。』


 という事は20-30分は戻って来れない…


 『赤燃の装備よ、サリーを主として敵を打ち砕け!』


 アイテム欄の使用説明に会った文言を唱えると赤色装備の鎧・兜・杖・翼が赤い火の玉となってサリーに降り注ぐと光の中から真紅の鎧天使が現れた。


 「うわっ何これっ!」隣でサリーが喜声を上げた。


 『我赤の扉より下界に降り立つ天使なり、その名を刻め紅玉天ルビエル!!』


 何の大見得かと思いきや魔法発動の呪文だった。


 ルビエルの名が高らかに語られた後、突如空一面を黒雲が多い雲間から大口径の赤色レーザーが無数に落ちて来た。


 『ぐえっ』


 『あっモヒカンちゃん、ごめーん。』


 いや、死んでるから聞こえないって…


(つづく)

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