⭕ 闇魔属性の救世主
肥神瑩子
「 ──そう言えば、城内で見た沢山の皺々のミイラだけど、あれって何なの??
何でミイラなの??
あれは──アタシがしたの?? 」
ギッちぃ
「 あぁ、アレか。
アレは我がした。
愚主が望んだからな。
城内に居た人間の魂を貰い受けた。
ミイラは身体中の水分を蒸発させて作った。
因みにミイラは空にした宝物庫の中へ移動させといた。
宝物庫の鍵は我が持っている故、直ぐには見付からん 」
肥神瑩子
「 何してんの?
──っていうか何時の間にミイラを宝物庫へ移動なんて…… 」
ギッちぃ
「 ミイラが見付からなければ、大した騒ぎにはならん 」
肥神瑩子
「 見付からなくても騒ぎにはなるじゃん?
城内に居た人間って事は、アタシと同じ様に奴隷にされた日本人だって居たじゃない?
…………どうなったの? 」
ギッちぃ
「 ミイラ化した。
愚主が全殺しを望んだであろう。
今は未だ国中の人間の魂は要らぬ故、城内だけで済ませた 」
肥神瑩子
「 今は……未だ?
じゃあ、必要になったら国中の人間の魂を奪うって事? 」
ギッちぃ
「 愚主が望むなら、我は叶える 」
肥神瑩子
「 …………それは止めよう?
十分魂は手に入ったんでしょ? 」
ギッちぃ
「 “ 愚主次第 ” としか言えんな 」
願わないようにしないとね。
もう奴隷じゃないんだから、願う事もないと思うけどね!
肥神瑩子
「 ギッちぃ、アタシはこれからどうしたら良いのかな?
やっぱり救世主として旅をしながら、脅威ってのを何とかした方が良いの? 」
ギッちぃ
「 愚主の好きにすれば良い。
我は愚主に従うのみ 」
肥神瑩子
「 相談してるんだから、突き放すような事を言わないでよ!
“ 好きにしろ ” って言われるのが1番困るんだけどぉ~~。
──取り敢えず、ちゃんとテイマー登録はした方が良いよね?
これからもテイマー専用の宿屋に宿泊する事があるかも知れないし 」
ギッちぃ
「 救世主である事は隠した方が良い。
テイマーギルド,冒険者ギルド,商人ギルドがある。
明日は午前中にテイマー登録,冒険者登録,商人登録を済ませると良い 」
肥神瑩子
「 そう?
じゃあ、そうしようかな?
登録は幾つしても良いの? 」
ギッちぃ
「 問題ない。
12人目の救世主が不明でも困る者は居ないからな 」
肥神瑩子
「 そっか。
じゃあ、アタシは日本に帰れる魔法を探して旅をしょうかな 」
ギッちぃ
「 愚主は元の世界へ帰るつもりか? 」
肥神瑩子
「 そうだけど?
何か問題でもあるの?
まさか…… “ 帰れない ” って言わないよね? 」
ギッちぃ
「 本来、強制召喚は一方通行だ。
帰る為の方法も手段も無い 」
肥神瑩子
「 えっ……じゃあ、アタシは──、アタシ達は日本に──、家には帰れないの?? 」
アタシ達──って言っても、アタシと一緒に奴隷にされた生徒達も顧問の先生達も……ギッちぃにミイラ化されちゃって生きてないんだけど……。
この異世界で生きている日本人は多分、救世主として王城から旅立った11人とアタシだけ……だよね??
ギッちぃ
「 諦めろ。
愚主には我が居る。
異世界でも生きていける 」
肥神瑩子
「 そりゃ心強いし、有り難いとは思うけど……。
簡単には諦め切れない事だよ。
異世界に来て未だ11ヵ月だし……、まともな暮らしをしてないし……。
無駄かも知れないけど、日本へ帰る手立ては探したい 」
ギッちぃ
「 好きにすると良い。
我は手伝わんが 」
肥神瑩子
「 えぇっ、手伝ってよ! 」
ギッちぃ
「 我は日本とやらへは行けん。
愚主が日本とやらへ帰るなら、我は役目を失い消滅するのが運命だ。
手伝う訳ないだろう 」
肥神瑩子
「 …………アタシが日本へ帰れば、ギッちぃは消滅しちゃうの?
ギッちぃも一緒に日本へ行く事は? 」
ギッちぃ
「 我は日本とやらへは渡れん。
世界と世界の境を越えれば消滅する 」
肥神瑩子
「 そう……なんだ… 」
まさか、アタシが日本へ帰る代わりにギッちぃが消滅しちゃうなんて……。
そんな酷い事ってある??
あんまりじゃない??
アタシの所為でギッちぃが消滅しちゃうなんて──。
だけど……日本に帰れるなら「 帰りたい 」って思うアタシの気持ちを否定する事も出来ない。
…………どうしたら良いんだろう…。
取り敢えず、明日する事は決まった訳だし、それだけでも良しとしないとね?
肥神瑩子
「 ねぇ、ギッちぃ。
国王だけじゃなくて、国王の側近や兵士とかも “ 城内から突如、姿を消した ” って思われる事になるんだよね? 」
ギッちぃ
「 ミイラが見付からぬ間はな 」
肥神瑩子
「 騒ぎになったら、城下町も騒がしくなるんじゃない?
早目に城下町から離れた方が良いんじゃないの? 」
ギッちぃ
「 愚主がそう思うなら離れたら良いだろう 」
肥神瑩子
「 あのねぇ、ギッちぃ!
アタシの〈 守護り手 〉で、然も夫なんだよね?
もう少し、親身になってほしいんだけど! 」
ギッちぃ
「 ギギィ~~?? 」
肥神瑩子
「 この野郎!
可愛い仕草で誤魔化さないでよ!!
統治者の居なくなった国に何時迄も居る訳にはいかないでしょ?
出来る事なら明日の午後には城下町を出たい所だけど……宿屋に3日分の宿泊費を支払っちゃってるし…… 」
ギッちぃ
「 明明後日迄、長旅の準備に費やせば良いだろう。
足りぬ物を買い足すとか、要らぬ物を売り払うとかな 」
肥神瑩子
「 そうだけど……。
そう言えば、ギッちぃが吸い込んだ物や財宝は何処にあって、どうなってるの? 」
ギッちぃ
「 それなら我のアイテムBOXの中に入っている 」
肥神瑩子
「 アイテムBOXの中??
ギッちぃ、アイテムBOXなんて便利なのを持ってるの? 」
ギッちぃ
「 〈 守護り手 〉なら皆、持っている。
救世主の旅をサポート為に必要だからな 」
肥神瑩子
「 いいなぁ!
ねぇねぇ、どんな風に入ってるの? 」
ギッちぃ
「 見たいのか? 」
肥神瑩子
「 当然でしょ!
一体何れだけのアイテムをゲットしてるのか気になるじゃない? 」
アタシが言うと、ギッちぃはアイテムBOXを見せてくれる事になった。
ギッちぃってば、色んな物を沢山吸い込んでいたものね。
アイテムBOXの中は、結構大変な事になってたりして?