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7/24

✒ 豚が空飛びゃ木も折れる


肥神瑩子

「 う~~~ん、先ずは家畜肉かモンスター肉か選ぶんだ?

  モンスター肉って、倒したモンスターの肉って事だよね?

  …………しいのかな??

  は冒険しないで無難な家畜肉料理にしようか? 」


 アタシが迷っているとギッちぃがアタシからメニューを奪い取る。

 「 ギッギィ~~ 」と鳴いてスタッフを呼んだギッちぃは、アタシを無視して料理の注文を始めた。


 ギッちぃはメニュー欄をスタッフへ見せながら、小さな指で文字の上トントンと叩き、次に別の文字の上をトントンと叩くと小さな指でピースをする。

 ページを捲ると別の文字の上をトントンと叩き、今度は指を1本立てる。

 注文を終えたギッちぃはメニューを窓側にあるメニュー立てに立て掛けた。


スタッフ

「 御注文の確認をさせていただきます。

  モンスター肉でツェレゲッタのセットを2名分と、シャイパのボトルを1本,グラスは1つで宜しいですか? 」


ギッちぃ

「 ギッギ 」


スタッフ

がとう御座います。

  ほかにも御注文があれば、御呼びください 」


ギッちぃ

「 ギギィ~ 」


スタッフ

「 いやぁ、メニューを注文出来るなんて賢いテムモンですね~~ 」


肥神瑩子

「 あ…がとう御座います~ 」


 アタシは取り敢えず笑顔で返事を返した。


肥神瑩子

「 ギッちぃは食べる必要がないんじゃないの?

  テムモンって人間と同じ料理を食べて大丈夫なの?? 」


ギッちぃ

われには問題ない 」


肥神瑩子

「 喋れるなら初めから喋ってよ~ 」


ギッちぃ

「 この愛らしい容姿にわれの低音は合わぬだろう 」


肥神瑩子

「 愛らしい容姿……自分で言っちゃうんだ… 」


 なんてギッちぃと話していると、見知らぬ人に声を掛けられた。


「 貴女ね、自分のテムモンが凄いからって自慢してるテイマーって言うのは! 」


肥神瑩子

「 はい? 」


ギッちぃ

「 ギギィ~~? 」


「 ハッ──、それが貴女のテムモンなのね!

  ズングリムックリしていて可愛くないわね!

  全然賢そうにも見えないし!

  貴女、きょげんへきがあるんじゃないの! 」


肥神瑩子

「 はぁ?

  初めましての相手に対して随分と失礼な事を言うんですね。

  一体どんな失礼極まりない教育を受けて育ったの? 」


「 な、なんですって!

  この私に対してくもそんな失礼な事が言えるわね! 」


肥神瑩子

「 はぁ?

  先に失礼な事を言ってたのはそっちでしょ?

  無抵抗で弱い相手に頭ごなしに怒鳴り散らして──、ひとさまのテムモンの悪口を言って侮辱しといて被害者ぶるつもり?

  喧嘩を売ってる加害者のくせに、言い返されたから被害者ぶるの?

  アンタ、なにさま

  アタシのギッちぃを侮辱しといて、“ 謝れば許してもらえるぅ~ ” とか本気で思ってないよねぇ? 」


「 な、な、なっ……私はテイマーのナココメ・アレンギムよ!!

  私にそんな生意気を言って── 」


肥神瑩子

「 アンタの事なんか知るか!

  有名なテイマーだったら新人テイマーに難癖付けてイビっても許されるわけ?

  大したテイマー様だよね!

  テイマーってのは弱者をイジメる性格の悪い奴しかないわけぇ?

  同じテイマーとして恥ずかしいんだけどぉ? 」


ナココメ・アレンギム

「 あ、アンタ──、一寸ちょっと賢いテムモンを飼ってるからって、態度が大きいわよ!

  生意気だわ!! 」


肥神瑩子

「 取り敢えず、先ずはアタシのギッちぃに悪口を言って侮辱した事を頭を下げて真摯に謝罪するのが先じゃないのぉ?

  アタシは許さないけど、ギッちぃは許してくれるかも知れないよ?

  貴女もテムモンのあるじなら、悪い事をした時は素直に謝る姿勢を自分のテムモンにも見せてあげないとね!

  躾る側に問題あるとテムモンも尻拭いに苦労するよね?

  でしょ? 」


ギッちぃ

「 ギッギッギィ~~ 」


ナココメ・アレンギム

「 ──こんのっ!

  新人テイマーの分際で偉そうな事を── 」


さないか!

  食事中だぞ!

  ナココメ、初対面のテイマーに喧嘩を売るな… 」


ナココメ・アレンギム

「 失礼ね、喧嘩なんて売ってないわよ!! 」


「 オレはパーツェン・アレンギムだ。

  妹が気分を害する失礼な事を言って申し訳無い。

  許してくれとは言わない──が、謝罪を受け入れてほしい 」


肥神瑩子

「 アタシは……エイス・ヒィカミ。

  躾のなってない妹さんは兎も角、パーツェンさんは話がつうじてそうだね?

  パーツェンさんの謝罪を受け入れていいよ。

  ギッちぃ、それでい? 」


ギッちぃ

「 ギィギ 」


肥神瑩子

「 ギッちぃも “ パーツェンさんに免じて今回の暴言と侮辱は聞かなかった事にしてあげる ” って。

  ギッちぃが寛大なテムモンでかったわね、ナココメさん。

  でも──、“ 次は無いから覚悟しとけよ ” って言ってる 」


パーツェン・アレンギム

「 そうか…。

  謝罪を受け入れてくれて感謝する。

  ナココメ、行くぞ! 」


ナココメ・アレンギム

「 で、でも──兄さん!!

  私は悪くないの!

  私は忠告をしただけなのよ! 」


 ナココメ・アレンギムって言う失礼極まりないテイマーは、兄のパーツェン・アレンギムに引っ張られてテーブルへ戻って行った。


肥神瑩子

「 …………あんなに上から目線の忠告があって堪るかっての!

  だよね、ギッちぃ 」


ギッちぃ

「 全くだ。

  われの “ 愛らしい容姿 ” が理解出来んとは残念な人間だ 」


肥神瑩子

「 ………………自画自賛はほど(ほど)にしてよ… 」


 料理が運ばれてる前に迷惑な一騒動あって不愉快な思いをしたけど、しそうな料理が運ばれてたから気持ちを切り替えた。

 スタッフが丸盆トレンチに料理を乗せて運んでてくれる。

 アタシとギッちぃの前に料理を並べたら、シャイパのボトルとグラスを置いて下がって行った。

 ギッちぃは小さな手で器用にナイフとフォークを持って、モンスター肉を使ったツェレゲッタを器用に一口サイズに切っては食べている。

 ギッちぃはスプーンも器用に使ってスープを溢さずに綺麗に飲む。

 パンも御行儀く千切って口の中に入れて食べる。

 更には自分でシャイパのボトルの蓋を開けると、グラスの中へシャイパを注いで、シャイパを飲み干す。


肥神瑩子

「 ギッちぃ…………アンタ、でテーブルマナーなんて習ったの?

  テーブルマナーが完璧なテムモンなんてにもないんじゃない? 」


ギッちぃ

われえいの王だ。

  テーブルマナーの出来ん王は王であらず 」


肥神瑩子

「 そんな “ 飛べねぇ豚は食用豚だ ” みたいな言い方…… 」


ギッちぃ

「 翼を生やした空飛ぶ豚ならるぞ 」


肥神瑩子

「 え゛っ??

  マジなの??

  空飛ぶ豚が異世界にはるの?? 」


ギッちぃ

「 普通にるな。

  オーグも空を飛べる 」


肥神瑩子

「 オーグがなんなのか分からないけど、脅威よね? 」


ギッちぃ

「 オーグは猪男だ。

  空飛ぶ豚男はオークと呼ぶ 」


肥神瑩子

「 そうなんだ… 」


 空飛ぶ豚男と空飛ぶ猪男か……。

 怖いもの見たさ──って言うのかな、一寸ちょっと見てみたいかも??


 夕食ディナーを終えたアタシはギッちぃを抱っこしたら食堂を出た。


──*──*──*── 廊下


 フロントをとおり過ぎる時に、スタッフの人に声を掛けられた。


肥神瑩子

「 あ、受け付けのスタッフさん。

  どうしたんですか? 」


スタッフ

「 あの──、すみませんでした!! 」


 スタッフさんがアタシに頭を下げて謝ってた。


肥神瑩子

「 えと……急にどうしたんですか? 」


スタッフ

「 僕の所為なんです!

  ギッちゃんが、文字を綺麗に書いたり、お金の勘定が出来る事を “ 凄いテムモンがる ” って興奮気味にスタッフに話していたんです。

  どうやらそれをナココメさんと取り巻きの人達に聞かれてしまったみたいで…… 」


ギッちぃ

「 ギィギィ 」


肥神瑩子

「 そうだったんですね。

  でも、それはスタッフさんが謝る事じゃないですよ。

  ギッちゃんも “ スタッフさんは悪くない ” って言ってます。

  人の話を盗み聞きして変な敵対心を持ったナココメさん達が変なんですよ 」


ギッちぃ

「 ギギィギィ~ 」


肥神瑩子

「 だから、スタッフさんは気にしなくていんです 」


 罪悪感をいだいているスタッフさんへアタシは手を振ってから、2階へ続く階段を駆け上がる。

 律儀なスタッフさんだよね。

 ナココメ・アレンギムと取り巻き達か。

 に宿泊してるならいやでも顔を合わせる事になるかもね。

 絡まれなければいんだけど……。

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