⭕ 新しい家族
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 馬車の中
起床して、朝食を終えたら、馬車に乗って即出発!
今は、馬車の中で人獣族の子供にアタシの素性とギッちぃの素性と旅の目的を話して聞かせている。
どうやら人獣族の子供は盗賊達から読み書きや算術を教わっていないみたいで、文字が書けないし計算も出来ないみたい。
読み書きや計算に関しては、アタシと一緒に学ぶ事にした。
1人で勉強するより、誰かと勉強した方が張り合いがあるし、退屈しないからね!
ギッちぃ以外の話し相手も出来るから、アタシは嬉しいんだ♥️
人獣族の子供に話した内容は、アタシが別の世界から召喚された救世主だって事と、超魔王を倒す為に≪ 魔王領地 ≫へ目指して旅をしている事を話した。
救世主はアタシ以外にも11人居て、アタシを含めた12人が救世主として≪ アスラダイル大陸 ≫に存在しているって事を話した。
救世主には〈 守護り手 〉が憑いていて、アタシに憑いてる〈 守護り手 〉がギッちぃである事も話した。
ギッちぃは闇魔属性の〈 守護り手 〉で、アタシは闇魔属性の救世主だって事も話した。
アタシはギッちぃの絶対主だから、ギッちぃはアタシに絶対服従しているサポーター兼ペット兼テムモン兼生涯の伴侶──夫でもある事も話した。
経緯は長くなるから割愛する事にした。
召喚された救世主の役目は、超魔王を倒して≪ アスラダイル大陸 ≫を平和をもたらす事で、12人の救世主が力を合わせて挑まないと超魔王を倒す事が出来ない事も話した。
アタシは救世主レベルを上げる為に召喚された≪ ヒュティカ王国 ≫を出国して、馬車に揺られながら≪ 魔王領地 ≫を目指して旅の途中で──、≪ 異邦国ウディッシア ≫が内乱中で大混乱しているって事が分かって、進路変更をして≪ ホッカグレ王国 ≫へ向かう事にしたけど、≪ 神聖都グランディア ≫と戦争中って事が分かったから、方向転換をして≪ 獣法国ケセルパイダ ≫へ入国して≪ 焔皇国ゼヒットラム ≫を目指して旅の途中──って事も話した。
そうそう、最終的な目的地は≪ 魔王領地 ≫だけど、途中で寄り道をして≪ テンクゥリア ≫を目指している事も話した。
≪ テンクゥリア ≫へは≪ 焔皇国ゼヒットラム ≫を出国した後、魔獣の森を抜けて、山を2つ越えないと到着出来ない事も話した。
ギッちぃが出してくれた世界地図を見ながら、ギッちぃが現在地から≪ テンクゥリア ≫への道のりを丁寧に教えてくれる。
越えないといけない山の1つが火山で、2つめの山が雪山だって事を始めて知った。
火山と雪山を越えないといけないって知ってたら≪ テンクゥリア ≫なんて目指さなかったのにね!!
≪ テンクゥリア ≫には創生王が暮らしている事と、創生王は妖精,精霊を生み出せる創生者だって事も話した。
創生王は≪ アスラダイル大陸 ≫の真の持ち主──〈 皇 〉と〈 皇 〉をサポートする為に≪ 神界 ≫から降りて来た〈 神の遣い 〉が一緒に生み出した存在で、不在中の〈 皇 〉の代わりに≪ アスラダイル大陸 ≫を管理している存在でもある事を話した。
そうそう、忘れたらいけないのが超魔王の役割ね。
人間視点から見た超魔王は絶対悪で──、超魔王を倒す為に異世界から救世主として召喚された訳だけど、超魔王は自然界視点で見ると絶対悪ではないって事をちゃんと話しとかないといけないよね。
そんな訳で、詳しくはアタシの代わりにギッちぃが話してくれた。
ギッちぃ以外の〈 守護り手 〉が知っているかはアタシ達にも分からない──って事も付け加えておく。
人間視点オンリーだけじゃなくて、自然界視点の事も知っているギッちぃがアタシの〈 守護り手 〉で本当に良かったと思う。
エイス・ヒーカミ
「 ──と、必要な事は以上かな?
他に何かあった? 」
ギッちぃ
「 十分だろう。
後は、子供をどうするかだ 」
エイス・ヒーカミ
「 そっか。
この子、どうしようね? 」
ギッちぃ
「 白狼フェンリルの末裔、白狼族の人獣だ。
手離すには惜しい稀少な子供だぞ 」
エイス・ヒーカミ
「 そうなの?
白い狼か──。
確かに、髪も耳も尻尾も白いもんね。
──あっ、名前も付けないとだよね?
どんな名前が良いかな? 」
ギッちぃ
「 変な名前は付けるなよ 」
エイス・ヒーカミ
「 失礼な事、言わないでよね! 」
ギッちぃ
「 亜人類は10歳 ~ 12歳で成人を迎える。
13歳で獣人化の予兆が現れ、14歳 ~ 15歳で獣人化が始まる。
16歳からは自在に獣人化が可能となる。
18歳になると獣化の予兆が現れ、19歳 ~ 20歳で獣化が始まる。
20歳からは自在に獣化が可能となる 」
エイス・ヒーカミ
「 獣人化と獣化って何? 」
ギッちぃ
「 獣人化とは容姿を獣人に変えられるようになる亜人類特有の技だ。
獣人になれば、野生の勘が鋭くなり、足りない部分を補えるようになる。
獣化とは容姿を獣に変えられるようになる。
獣化すると野生の勘に磨きが掛かり、自然界の力を利用出来るようになる 」
エイス・ヒーカミ
「 へぇ、何か凄い事になるんだ?
野生の勘が冴えたり、自然界の力が使えるようになるって、何か良いね! 」
ギッちぃ
「 奴隷にするなら、奴隷紋を刻めるぞ 」
エイス・ヒーカミ
「 奴隷は駄目!
アタシは奴隷に懲りてるんだからね!
奴隷は絶対に却下! 」
ギッちぃ
「 そうか…… 」
エイス・ヒーカミ
「 ──あっ、そうだ!
息子にしちゃおう! 」
ギッちぃ
「 息子だと? 」
エイス・ヒーカミ
「 そっ!
ギッちぃとアタシの子供にしちゃうの。
養子縁組ってヤツね。
影魔王と影魔妃の子供!
白狼フェンリルの末裔で──、稀少な白狼族の人獣なんでしょ?
拐われたりしないように家族にしちゃえば、安全は保証されるんじゃないの?
仮にはぐれて迷子になっても、家族なら直ぐに捜し出せるでしょ? 」
ギッちぃ
「 確かにな。
愚主と我の子供か。
面白いな。
家族の契りを交わさなくてはな 」
エイス・ヒーカミ
「 直ぐに出来るの? 」
ギッちぃ
「 秒で済む。
必要なのは髪だ 」
エイス・ヒーカミ
「 髪の毛で良いの? 」
アタシは自分の髪と、人獣族の子供の髪を抜いて、ギッちぃへ手渡す。
髪の毛を受け取ったギッちぃは何かを始めた。
何をしてるのかアタシには分からないけど、ギッちぃが「 済んだぞ 」って言った。
一体何が済んだんだか。
エイス・ヒーカミ
「 ギッちぃ、何が済んだの? 」
ギッちぃ
「 右手の指を見てみろ。
家族の契りを交わした契約紋が刻まれた。
これで愚主,我,その子供は家族となった 」
エイス・ヒーカミ
「 ──あっ、本当ね。
赤い色のヤツね。
聞いた?
君とアタシとギッちぃは親子になったんだよ 」
人獣族の子供
「 家族……親子……?? 」
エイス・ヒーカミ
「 そう!
ギッちぃが、お義父さん。
アタシが、お義母さん!
君の名前は──、ユタにしよう! 」
人獣族の子供
「 ユタ……? 」
エイス・ヒーカミ
「 見てよ、今日の夕日は一段と綺麗でしょ?
だから、君は今から “ ユタ ” だよ。
宜しくね、ユタちゃん 」
ギッちぃ
「 愚主のネームングセンスを疑う 」
エイス・ヒーカミ
「 ユタちゃん、ギッちぃの事は “ ギッちゃん ” って呼ぶのよ 」
ユタ
「 えっ?
でも……僕のお義父さん何ですよね? 」
エイス・ヒーカミ
「 親子になって、家族になったけど、血は繋がってないし。
無理して “ お義父さん ” とか “ お義母さん ” って呼ばなくて大丈夫だからね!
アタシも “ ユタちゃん ” って呼ぶし。
アタシの事は “ エイス ” で良いから 」
ユタ
「 ……あの……、これから宜しくお願います。
エイスさん,ギッちゃん… 」
エイス・ヒーカミ
「 うん!
宜しくね、ユタちゃん♪
ギッちぃ、ユタちゃんにも本来の姿を見せてあげたら? 」
ギッちぃ
「 そうだな。
ユタよ、これが父の本来の姿だ 」
そう言ったギッちぃは、仮の姿から本来の影魔王の姿に変わった。
ユタちゃんは口を開けっ放しで驚いている。
まぁね、ギッちぃの本来の姿を見て平然とは出来ないよね?
仮の姿がアレだもんねぇ。




