⭕ 魔王領地を目指して!
──*──*──*── 半年後
宿泊期間が切れた宿屋でチェックアウト後に≪ 王都 ≫を出発して、≪ 魔王領地 ≫を目指して旅を始めてから早くも半年が過ぎていた。
転移魔法なんていう便利な移動魔法が実用化されていない≪ 大陸 ≫らしいから、徒歩か馬車に乗っての旅路になる。
≪ 王都 ≫を出る前にギッちぃが配下の影魔達に手配させた馬車のお蔭で、徒歩で旅をしなくて済んでラッキーだった。
ギッちぃ曰く徒歩で旅をしていたら未だ≪ ヒュティカ王国 ≫を出れてないんだって。
馬車で良かった!
因みに馬車を引いてくれてる馬だけど、ギッちぃが不浄から生み出して育てた魔獣馬って言うみたい。
落ち着いていて大人しい魔獣馬だけど、本来は全然大人しくないし、気性が荒くて暴れ回る危険極まりない馬みたい。
生みの親のギッちぃの言う事を素直に聞くって事は、影魔王のギッちぃに絶対服従しているって事だから、やっぱりギッちぃは凄い存在なのかも知れない。
贅沢を言えば、出来る事なら転移魔法ぐらいは使えていてほしかった~~って思う。
他の救世主達も旅の途中で馬車を調達して旅をしているのかな?
この魔獣馬は普通の馬車馬とは体格,体力,スタミナ,馬力も違うから、かなりの距離を1日に移動出来るみたい。
この世界の自動車みたいな感じかも知れない。
魔物だけじゃなくて魔獣にもなるなんて、凄いよねぇ。
ギッちぃがどうやってあの小さなギッちぃを育てたのか気になるかも。
因みに飲食物は必要なくて、魔素さえ供給出来れば良いみたい。
魔素は魔獣馬の親──ギッちぃが与えるみたい。
馬車の中は余分な荷物は無くて、アタシが過ごし易いようになっている。
アタシは日本人だから、馬車の中は土足厳禁にした。
馬車の中に未使用の新品の絨毯を敷いて、その上にはマットレスっぽいのを敷いて、その上には敷き布団を敷いている。
枕と掛け布団も忘れない。
長方形の木の箱をテーブルの代わりに使っている。
木箱には引き出しが付いていて、引き出しの中には靴を入れている。
土足厳禁にしたから靴の置き場所が無いんだよね~~。
馬車の天井には、ランプを掛けれるようになっていて、日が暮れて馬車の中が暗くなったら明かりを灯せるようにしてもらった。
大陸語を書く練習もしないといけないからね!
そうそう、ギッちぃ専用のクッションも置いてある。
ギッちぃはアタシと一緒に寝たがるけど、クッションの上で寝てもらう事にした。
馬車の屋根から斜めの屋根が付いていて、その4隅には魔鉱石が1つずつ付いている。
明かりの役割と、モンスターを近付けない魔除けの効果を持った魔鉱石のランプが取り付けられている。
良質で高級品のランプを4つも馬車に付けてるなんて贅沢だと思う。
お金なら腐る程あるから、高額なランプを4つ買ったって大した出費にはならないんだよね。
だって、ギッちぃの魅了の効果で90%値引きしてもらえる額で買えちゃうんだもんねぇ。
1.000Cuの品を100Cuで買えちゃうんだよ?
犯罪だよね!!
異世界、バンザ~~~イ!!
肥神瑩子
「 ──ギッちぃ 」
ギッちぃ
「 何だ、愚主よ 」
肥神瑩子
「 魔法ってさ、本当に使えないの? 」
ギッちぃ
「 何度も言うが、救世主も〈 守護り手 〉も魔法は使えん。
救世主が使えるのは奇蹟の力のみだ 」
肥神瑩子
「 何か裏技とか無いの? 」
ギッちぃ
「 裏技だと? 」
肥神瑩子
「 そうそう!
本来は使えない魔法だけど、裏技を使ったら使えるようになる──とか。
そんな裏技ないかな? 」
本来の姿に戻って馭者をしてくれているギッちぃに駄目元で聞いてみる。
本来の姿に戻ったギッちぃには膝から下が無い。
下半身から透けていて、まるで幽霊みたいな感じ。
仮の姿のギッちぃには触れるんだけど、本来の姿のギッちぃには触れなかったりする。
本来の姿のギッちぃがアタシを触る事は出来るんだけど、アタシにはそれが出来ない。
ギッちぃとは夫婦になってる訳だけど、透けてるギッちぃとは性行為──子作りは出来ないみたい。
良かった!!
ギッちぃに迫られたらガチマジで困るもんね。
ギッちぃがアタシと子作りしたがっているかは謎。
怖くてアタシからは聞けないんだよねぇ~~。
ギッちぃ
「 裏技か…。
無くはないな 」
肥神瑩子
「 えっ??
あるの?
どんな裏技なの?? 」
ギッちぃ
「 あまり薦めたくない方法だ 」
肥神瑩子
「 ギッちぃが “ 薦めたくない ” なんて意外ね。
逆に気になっちゃうじゃないのよ。
どんな方法なの? 」
ギッちぃ
「 妖精を使役する方法だ 」
肥神瑩子
「 妖精を使役する??
妖精が居るの?? 」
ギッちぃ
「 目には見えないが存在はしている。
精霊も存在しているが、精霊を使役する事は出来ない 」
肥神瑩子
「 使役が出来るのは妖精…。
ねぇ、ギッちぃ──どうやって妖精を使役するの? 」
ギッちぃ
「 捕まえた妖精を不浄に当てて酔わせる。
朦朧とした妖精を隷属すれば──、愚主でも魔法を使える 」
肥神瑩子
「 えぇ~~~~。
何それぇ~~。
見えない妖精を捕まえられるの?
不浄に当てて酔わせるって……。
めっちゃ悪い方法じゃないのぉ 」
ギッちぃ
「 我は “ 薦めない ” と言った。
創世王に目を付けられかねん 」
肥神瑩子
「 創世王?
ギッちぃ、創世王って何?
如何にもファンタジーぽいけど 」
ギッちぃ
「 創世王は、精霊,妖精を生み出す創世者だ。
この惑星には≪ 大陸 ≫が幾つもある。
≪ 大陸 ≫と≪ 大陸 ≫の交流は出来ないようになっている。
≪ 大陸 ≫には持ち主が居る 」
肥神瑩子
「 え?
持ち主が居るの? 」
ギッちぃ
「 ≪ 大陸 ≫の持ち主を〈 皇 〉と呼ぶ。
〈 皇 〉を補佐する為に≪ 神界 ≫から〈 神の遣い
〈 皇
長期出張で留守にする間
〈 皇
故
〈 皇
肥神瑩子
「 ──妖精を捕まえて隷属したら、妖精や精霊を生み出している創世王を敵に回しちゃうかも知れないのね? 」
ギッちぃ
「 そういう事だ 」
肥神瑩子
「 じゃあさ、面倒だけど≪ テンクゥリア ≫って所へ行って、妖精に手助けしてもらえるように “ お願い ” しに行けばいいんじゃないの?
そうすれば創世王に目を付けられる事もないんじゃない? 」
ギッちぃ
「 意外だな。
愚
肥神瑩子
「 あのねぇ!
≪ アスラダイル大陸 ≫だっけ?
≪ 大陸 ≫の持ち主が〈 神の
超魔王もヤバいと思うけど、創世王も同じぐらいヤバい存在なんじゃないの?
精霊や妖精の生みの親なんでしょ?
敵に回さない方が良
ギッちぃ
「 その通
肥神瑩子
「 ギッちぃ、今から目的地を変更出来る? 」
ギッちぃ
「 可能だ。
≪ テンクゥリア ≫へ向かうのか? 」
肥神瑩子
「 当然ね!
創世王に “ お願い ” して断れたら、妖精を捕まえて、不浄に酔わせて朦
それなら創世王だって文句は言わないでしょ!
超魔王を倒して(?)大人しくさせる迄──っていう隷属期限もあるわけだし? 」
ギッちぃ
「 我
肥神瑩子
「 ──じゃあ、≪ テンクゥリア ≫へ行き先変更!
妖精をゲットしてから≪ 魔王領地 ≫へGo
そんな訳で、アタシは救世主LVを上げる前に、創世王とやらが暮らしている≪ テンクゥリア ≫を目指す事にした。
魔法を使えるようになったら、色
異世界と言えば、魔法!!
ファンタジーと言えば、魔法!!
召喚者としては、魔法が使えなくちゃ、異世界で旅する意味も無いからね!!
妖精に協力してもらえるようになったら、未
創世王に会うのが楽しみかも!
行ったからって素直に会ってもらえるかは分からないけど、≪ アスラダイル大陸 ≫の持ち主の〈 皇




