↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/24

⭕ テンクゥリアを目指して


──*──*──*── 半年後


 ≪ 魔王領地 ≫を目指している途中に進路変更をして、創生王が暮らしているらしい≪ テンクゥリア ≫を目指し始めた日から半年が経った。

 未(いま)だに目的地の≪ テンクゥリア ≫には到着していない。

 本(ほん)当(とう)なら≪ ホッカグレク王国 ≫に入国をして、ひたすら北へ向かって≪ ホッカグレク王国 ≫を出国して、≪ テンクゥリア ≫を目指すのが近道なんだけど──、運悪く≪ ホッカグレク王国 ≫は≪ 神(しん)聖(せい)都(と)グランディア ≫に攻め込まれていて戦争中なんだとか。


 そんな訳で近道の≪ ホッカグレク王国 ≫への入国を諦めて、≪ 獣(じゅう)法(ほう)国(こく)ケセルパイダ ≫経由で≪ テンクゥリア ≫へ向かう事になった。

 ≪ 獣(じゅう)法(ほう)国(こく)ケセルパイダ ≫に入国したら、ひたすら南へ向かって旅を続けて≪ 獣(じゅう)法(ほう)国(こく)ケセルパイダ ≫を出国したら、次は≪ 焔(えん)皇(こう)国(こく)ゼヒットラム ≫に入国をして、ひたすら西を目指して旅を続けて≪ 焔(えん)皇(こう)国(こく)ゼヒットラム ≫を出国しないといけない。

 ≪ 焔(えん)皇(こう)国(こく)ゼヒットラム ≫を出国したら魔獣の樹海って呼ばれている物騒極まりない森を抜けて、山を2つ越えた先に目的地の≪テンクゥリア ≫がある。


 幾(いく)らなんでも遠過ぎない??

 ≪ ホッカグレク王国 ≫に入国が出来たら≪ テンクゥリア ≫への到着も早いのに、≪ ホッカグレク王国 ≫に入国が出来ないってだけで、どえらい遠回りをしないといけないなんて、まるで酷い罰ゲーム。 

 これは誰かに仕組まれていたりするの??


肥神瑩子

「 ギッちぃ──、こんなに遠回りな旅になるなら教えてよ。

  アタシ、そんなに掛からないって思ってたのに、≪ 獣(じゅう)法(ほう)国(こく)ケセルパイダ ≫ ─→ ≪ 焔(えん)皇(こう)国(こく)ゼヒットラム ≫ ─→ 魔獣の樹海 ─→ 山越(ご)え ─→ 山越(ご)え ─→ ≪ テンクゥリア ≫へ到着する──なんて聞いてない!! 」


ギッちぃ

「 ≪ ホッカグレク王国 ≫が≪ 神(しん)聖(せい)都(と)グランディア ≫と戦争中である事は、我(われ)にとっても寝耳に水だ。

  諦めるしかなかろう 」


肥神瑩子

「 これなら魔法を諦めて≪ 魔王領地 ≫へ向かってた方が良(よ)かったんじゃないかと思えて止(や)まないんだけどぉ? 」


ギッちぃ

「 それも問題だな 」


肥神瑩子

「 どういう事? 」


ギッちぃ

「 ≪ 魔王領地 ≫へ行くには≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫を経由する必要がある。

  ≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫は永きに渡(わた)り奴隷だった亜人類が反旗を翻し、人類へ宣戦布告をした事で各地で内乱が勃発し大混乱している。

  そんな≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫に一(ひと)度(たび)入国すれば、簡単には出国が出来んだろう。

  内乱に巻き込まれ、面倒な事になるのは目に見えている。

  進路を変更して正解だった 」


肥神瑩子

「 そ、そうなんだ?

  ≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫ね…。

  奴隷だった亜人類が人類に反旗を翻すって相当なんじゃないの?

  原因は何(なん)なの? 」


ギッちぃ

「 偵察に向かわせたパシリ(影魔)によると、原因は〈 皇(コウ) 〉のようだ 」


肥神瑩子

「 〈 皇(コウ) 〉って≪ アスラダイル大陸 ≫の持ち主の? 」


ギッちぃ

「 どうやら長期出張から帰還したようだ。

  土地を返還してもらう手段として奴隷の亜人類を開放したのだろうな 」


肥神瑩子

「 何(なん)で奴隷を選んだの? 」


ギッちぃ

「 本来の力を開放した亜人類は人間より強いからだ。

  力を取り戻した亜人類に協力してもらえば、3日もあれば≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫を占領出来るだろう 」


肥神瑩子

「 3日で陥落するって事?!

  亜人類、恐(こわ)──強くない? 」


ギッちぃ

「 本来の力を開放した亜人類は脅威だ。

  ≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫を占拠した後(あと)は、亜人類を引き連れて近隣諸国へ土地返還を求めるだろうな 」


肥神瑩子

「 ギッちぃ、〈 皇(コウ) 〉は他(ほか)の国から土地を返還してもらえるの? 」


ギッちぃ

「 難(むずか)しいだろう。

  全ての国から土地を返還してもらわなければ、〈 皇(コウ) 〉には戻れない。

  それまでは唯(ただ)の人間と同じだ。

  命を狙われれば間違いなく死ぬ 」


肥神瑩子

「 そうなの?

  折角、長期出張ってのから帰って来(こ)れたのに、直(す)ぐに〈 皇(コウ) 〉になれないの?

  然(しか)も殺されるって……、土地は返還してもらえないって事? 」


ギッちぃ

「 “ 土地を返還する ” という事は、“ 地位,財産,名誉,名声,贅沢三昧な暮らしの全てを手放し失う ” という事だ。

  王族の頂点から唯(ただ)の一般人になる。

  そんな事を素直に承諾すると思うか?」


肥神瑩子

「 なさそうかな。

  …………〈 皇(コウ) 〉が≪ アスラダイル大陸 ≫の全土を返還してもらうのは難(むずか)しいんだ? 」


ギッちぃ

「 何(なん)度(ど)も人類に殺されながら、土地を返還してもらう為に奮闘している。

  〈 皇(コウ) 〉に戻るのは楽(ラク)ではない 」


肥神瑩子

「 〈 皇(コウ) 〉に戻らないで普通の人間としては生きられないの? 」


ギッちぃ

「 難(むずか)しいだろうな。

  〈 皇(コウ) 〉だった記憶を全て覚えている。

  ≪ 大陸 ≫の持ち主である以上、〈 皇(コウ) 〉になる事を拒む事は出来ない。

  〈 皇(コウ) 〉が≪ 大陸 ≫の持ち主に戻らぬ場合、≪ 大陸 ≫は荒れ果て、死の大地に変わる。

  例え創生王が妖精や精霊に≪ 大陸 ≫の自然環境や自然界の秩序を維持させていても限界がある。

  大地全土は枯渇し、疫病が蔓延し生物が死に絶える。

  動物は突然変異を得てモンスターと姿を変え、人間に牙を向く。

  生物が生きられない死の大地と化す前に〈 皇(コウ) 〉が再び立つしかない。

  〈 皇(コウ) 〉は≪ 大陸 ≫にとって必要不可欠な栄養分のようなものだ 」


肥神瑩子

「 超魔王の脅威もあるってのに、≪ 大陸 ≫って大変なのね 」


ギッちぃ

「 〈 皇(コウ) 〉が不在している≪ 大陸 ≫は何(ど)処(こ)も大変だ 」


肥神瑩子

「 創生王は〈 皇(コウ) 〉を手助けしないの?

  創生王が〈 皇(コウ) 〉を手助けしたら、少しは楽(ラク)に土地の返還してもらえるんじゃない? 」


ギッちぃ

「 創生王に助けを求めるならば、〈 皇(コウ) 〉自(みずか)らが≪ テンクゥリア ≫へ足を運ぶ必要がある。

  創生王あろうと、正式な〈 皇(コウ) 〉ではない〈 皇(コウ) 〉の手助けする事は出来ない 」


肥神瑩子

「 そう…なんだ。

  ≪ ヒュティカ王国 ≫ぐらいは〈 皇(コウ) 〉に協力出来ないかな?

  〈 皇(コウ) 〉に協力的なら創生王も会うのを拒んだりしないんじゃない? 」


ギッちぃ

「 〈 皇(コウ) 〉に手を差し伸べ創生王に恩を売るか。

  愚(ぐ)主(しゅ)は悪どいな 」


肥神瑩子

「 アタシより悪どいアンタ(ギッちぃ)が言うな!

  じゃあ早速──、≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫で活動してる〈 皇(コウ) 〉に使者を送って手助けしてあげてよ。

  食料とか物資とか不足してるのがあれば──いや、そんな事しなくてもいっか。

  ≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫の国王やら王族,貴族の権力者を魅了(チャーム)しちゃえば良(い)いじゃない?

  無駄な争いや血を流さないで≪ 異(い)邦(ほう)国(こく)ウディッシア ≫を占領する事も出来るんじゃないの? 」


ギッちぃ

「 やはり愚(ぐ)主(しゅ)は悪どいな。

  流石、我(われ)の絶(ぜっ)対(たい)主(しゅ)だ 」


肥神瑩子

「 褒められても嬉しくないけどね~~。

  でも、ギッちぃの臣下(影魔)達なら余裕で出来るんでしょ?

  影は何(ど)処(こ)にでも繋がってるんだよね? 」


ギッちぃ

「 可能だな。

  大量の僕(シモベ)(影魔)を派遣させる。

  国家に関わる重要人物を選別し、僕(シモベ)(影魔)を取り憑かせる 」


肥神瑩子

「 取り憑かせる事も出来るの? 」


ギッちぃ

「 取り憑かせた人間の寿命が縮まり、更に短命になる故(ゆえ)、あまり取り憑かせる事はしない。

  使える後任候補を魅了(チャーム)で虜(とりこ)にし、ストックしておけば問題なかろう 」


肥神瑩子

「 凄いじゃん。

  じゃあ、それで行こう!

  アタシが魔法を使えるようになるた為に──、〈 皇(コウ) 〉と創生王に恩を売る作戦開始!! 」


ギッちぃ

「 我(われ)は愚(ぐ)主(しゅ)の望みを叶えるのみ 」


 アタシに出来る事は何(なに)もない。

 後(あと)は、ギッちぃを信じて任せるしかないわけよ。

 ギッちぃが1000%信じられる存在なのか──、それはアタシには分からない。


肥神瑩子

「 ギッちぃ、〈 皇(コウ) 〉が暗殺されたりしないように護衛も出来ないかな?

  アタシが魔法を使えるようになる迄は、〈 皇(コウ) 〉には無事で居(い)てもらわないと困るじゃん? 」 


ギッちぃ

「 確(たし)かに──。

  愚(ぐ)主(しゅ)が目的を果たせる迄は〈 皇(コウ) 〉の身の安全を護(まも)るのは最優先でなければな。

  使者に〈 皇(コウ) 〉の護衛をさせるとしよう。

  〈 皇(コウ) 〉の命を狙った輩(やから)の処分はどうする? 」


肥神瑩子

「 そうだねぇ……。

  首を切って──、全身の皮膚を剥いで──、綺麗に梱包してから、刺客を送った相手に届けてあげたら?

  何(なん)で〈 皇(コウ) 〉の存在が≪ 大陸 ≫に必要なのか──、幼児にも分かる手紙も添えてね!

  それでも〈 皇(コウ) 〉に楯突いて土地の返還を拒否するなら、王族全員を生きたまま全身の皮膚を剥いで国民達へ見せしめにしたら良(い)いんじゃないの?

  其(そ)処(こ)迄すれば、他(ほか)の国(くに)々(ぐに)も土地の返還に対して前向きに考えてくれるかもよ? 」


ギッちぃ

「 生きたまま皮膚を剥ぎ取るか。

  それは愉快な御褒美だな 」


肥神瑩子

「 誰への御褒美だよ……。

  犠牲を出さずに何(なに)かを成し遂げるなんて夢物語でしょ? 」


ギッちぃ

「 愚(ぐ)主(しゅ)の言う通(とお)りだ。

  犠牲者は悪党に限る 」


肥神瑩子

「 善人を悪党にするのは駄目だからね! 」


ギッちぃ

「 心得ている。

  我(われ)の僕(シモベ)(影魔)は善人と悪党を見分ける力がある。

  心配ない 」


肥神瑩子

「 そうなの?

  アタシには何(なに)も出来ないから、ギッちぃに丸投げするから!

  任せたからね! 」


ギッちぃ

「 愚(ぐ)主(しゅ)はそ(・)れ(・)で(・)良(い)い 」


 ギッちぃは美麗な顔で上品に笑う。

 本来の姿のギッちぃと話してると何(なん)か調子が狂っちゃうんだよね?

 顔が良(い)い所為かな?


ギッちぃ

「 ──雲が出て来(き)たな。

  愚(ぐ)主(しゅ)よ、今夜は雨が降る。

  雨が入らぬよう、後ろのシートを閉(し)めよ 」 


肥神瑩子

「 そうなの?

  直(す)ぐ閉めるね 」


 アタシは馬車の後ろの屋根部分に丸まっているシートを下ろして、雨水が馬車の中へ入って来(こ)ないよう、シートに付いてる紐を馬車の下にある取っ手へ通(とお)して結ぶ。

 外の景色は馭者をしてくれているギッちぃの方からしか見えなくなった。

 本来の姿をしているギッちぃは、雨が降ろと雪が降ろうと濡れたりしないみたい。

 疲れる事もないから、ずっと馭者をしてくれている。

 アタシは気が向いたらギッちぃに話し掛けたりするぐらいで、馬車の中でゴロゴロさせてもらってる。


 馬車の中にはアタシだけじゃなくて、ギッちぃが不浄から生み出した魔物の子供も4体居(い)るけど、割りと大人しい。

 「 キィキィ 」とか「 キゥキゥ 」とか「 ギチギチ 」とか「 キルキル 」とか違う鳴き声を出しながら仲良く静かに遊んでいる。

 マグカップぐらいの小さなギッちぃが可愛い。

 一体どんな魔物に育つのか今から楽しみだったりする。

 ギッちぃみたいに翼が生えていないから飛べないみたい。

 ゴハンは魔素みたいだから、餌をあげる必要もないし、排泄もしない。

 育てるのが楽(ラク)な生き物って良(い)いよね~~~。

 アタシも躾てみたいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。