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49 『夢の跡の宝物』

 かくして、玄内がペラサの《コブラ踊り(ロープダンス)》によってお宝をバミアドへと運び込んだ。


「これはすごい!」

「あの黒いつづら箱はなんだ?」


 街の人々は驚き集まった。

 バミアドパトロール隊も駆けつけてくると、士衛組とシャハルバードがシムシムたちのことを説明した。

 そして、シャハルバードは街に向かって宣言する。


「盗賊・シムシムからお宝を奪い返してきました! これらのお宝は、元々はバミアドのみなさんの物です! バミアドパトロール隊の手からみなさんにお返しすることを約束します!」


 その言葉に合わせて、玄内が杖で地面を叩き、《暗黒の(ブラック)マジックボックス》を開封した。

 光るお宝の山に、人々は息を呑む。

 シャハルバードは続けて言った。


「また、今回これらのお宝を取り戻してくれたのは、ここにいる士衛組のみなさんの活躍があったからです! 彼らを讃えてあげてください。彼らは最高の正義の味方だ!」


 歓声が巻き起こった。


「あの『船乗り』シャハルバードさんにそこまで言わせるなんて、士衛組ってすげえな」

「士衛組ありがとう! シャハルバードさんもありがとう!」

「この街も平和になるんだー! いえーい!」

「わふー! お宝だー!」


 町中でこの噂はすぐに広まってゆく。

 話を聞いていた者が次から次へと宣伝するようにして、町中が湧いた。

 クコはサツキに微笑みかける。


「一件落着ですね」

「うむ」


 シャハルバードがサツキに手を差し伸べる。握手を求めた。


「今回はありがとう。共に行動できて楽しかった」

「こちらこそ、共に戦っていただきありがとうございました」

「また会えたら、ゆっくり話そうじゃないか」

「はい」

「じゃあ、また会おう。さらばだ」


 クリフとアリもシャハルバードに続き、アリは元気に手を振ってくれる。


「またねー!」


 アリがシャハルバードを見上げる。


「士衛組、いい人たちだったね」

「ああ。すごい人たちに出会えた」

「すごい……?」


 クリフが引っかかる。

 シャハルバードはクリフに薄く微笑みかけた。


「過去最高額だ。(しろ)()(さつき)、彼になら、ワタシは三億九千万両出せる」

「さ、三億九千万……!」


 実は、シャハルバードはキミヨシに三億両の額をつけた。それをクリフは聞かされていない。シャハルバードの心の内にあったことだった。

 そして、クリフの知るこれまでの最高額は一億七千万両。

 だから、急に過去最高額を大幅に更新したことに、クリフは目を剥かんばかりに驚いた。


「圧倒的じゃないですか」

「いや、実はね、キミヨシくんには三億両出せると思っていたんだ。いい勝負だよ。ただ、サツキくんのほうが底が知れないというか、期待したいものがあっただけさ。もしかしたら、あれは一種の怪物かもしれない」

「キミヨシさん、三億両……」


 それも、クリフには驚くべきことだった。むしろ、ここ最近ずっといっしょにいるキミヨシにそれほどの値打ちがつけられていたことのほうが驚きだった。


 ――オレは、まだまだ見る目が足りない。キミヨシさんをただの仲間だとしか思ってなかった。ちゃんと、キミヨシさんという人を見えてなかった。キミヨシさんからも勉強させてもらおう。


 アリは楽しそうに街中の様子を見ている。


「うわあ、みんなシャハルバードさんと士衛組のみんなの噂してる! さっすが、『(せん)(いち)()(もの)(がたり)(でん)(しょう)する(まち)』だよ!」


 シャハルバードは、ひとりつぶやいた。


「これも、ルフの導きなのかな」

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