救済策
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殿上の間
魔王に呼ばれて訪れた場所で、亀姫は異様なものに出迎えられた。
魔王の結界。
それは、わかる。ただ、その中に閉じ込められているものが異様だった。
(これは…天族の遺骸?)
小さな台座の上におそらく天族の腰のあたりとおもわれる遺骸のカケラが置かれ、台座ごと結界で覆われている。
「亀姫。お前の守護結界は、どれほどの大きさのものまでを囲うことができる」
結界を眺めていると、背後から声をかけられた。魔王だ。
急な問いに、亀姫はやや首をひねりながらも返答する。
「……結界の使用時点で私自身が保持している魔素の量と、囲う物を囲いきるのに必要な結界の厚さによりますけれど……」
「ふむ…」
「天族の遺骸で、大きなものでも? ですが、ワタクシの結界で覆えるものであれば、陛下が覆えないものは無いと思うのですけれど…」
「いや、実は少しばかり難航していてな。みての通り、ソレは天族の遺骸だが…元は、もう少し大きな結界だった」
「? こればかしの遺骸をそのように大きな結界で包んでいらっしゃったのです?」
「そうではない。元は、天界の雲ごと包んであったのだ。が、どうしたことかそのように天族の躯を残し、浄気はその躯の内部へと収縮していた」
「…陛下の魔素と反発する浄気が、逃げどころを求めてカラになった躯の中に入り込んだのでしょうか」
「おそらくな。おかげでその躯は、いまや生体であった頃のような浄気を孕んでいる」
「躯は躯。いくら浄気を孕んでも、扱いには少し困りますけれど、害はなさそうですわね。ですけれど、なぜそのような試みを?」
「お前も知っての通り、現在この国の中に、多くの天界のカケラが堕ちてきて、力の弱いものは浄気にあてられ、幼きものや老いたものは生命を危ぶまれているものも少なくない」
「ええ…」
「今段階では、各所に派遣した兵達が、それぞれで天界のカケラを霧散させ、魔素と織り交ぜていくことにより中和させ被害を食い止めている」
「聞き及んでいますわ」
「だが…どうも難航しているらしくてな。人身御供のようになっている者がいると報告に次々と上がっている」
「人身御供…ですか? それは…おかしな話ですわね? 魔族のものが一体どなたに命を捧げれば浄気を和らげることができるというのでしょう。
それともまさか、これが天族の怒りかなにかだという噂でも流布しておりますの?」
「いや、人身御供というのはあくまでたとえだ。言い得て妙だが…」
「…ワタクシにできることでしたら何でもさせていただきますわ。
ですがもしよろしければ、詳しくはじめからお話を伺わせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ああ。では、奥に届いた書簡がある。報告があがってきて、特に詳細に書かせたものだ。ことの次第が書いてあるが、結局はどこも同じような状況と聞く。それを見せよう、ついてこい」
「御意に」




