調査開始と不穏な音
パーティ結成に関しては保留になった。まぁ流石にあの場でじゃあ、とはならなかったよ。
後片付けをして改めて出発の準備を整え、いざ出発。ここから少しずつ木々や背の高い植物が増えていって視界がすごく悪くなる為、全員がそれぞれ周囲の警戒をしながら進んでいく。
「…………見つけたぞ」
生い茂る草から飛び出た高めの岩の上、そこに僕くらいの身長の影が三つ。どうやら目線を上げて見張りをしてるらしい。
各々が武器を構えて戦闘準備に入る。僕も盾を装備して万全の構えだ。
「叫ばれて仲間を呼ばれても厄介だ。レオン、弓持ちを優先で倒せ。狙いは喉元。出来るか?」
「はい、大丈夫です」
「ウォルクはレオンのカバーだ。近づく奴らを抑えろ」
「分かりました」
「オレ達はレオンの攻撃の瞬間にオレが合図するからそのタイミングで飛び込む。最速で戦闘を終わらせるぞ」
茂みの中でキリキリと弓を構えるレオンが狙いを定め、タイミングを計る。そしてすべてのゴブリンの視線がこちらから逸れた瞬間
「コキョッ」
弓持ちの首を矢が打ち抜いた。と同時、
「今!」
ザンズさん達が走り出す。
崩れ落ちた一体を見て驚いていた残りのゴブリンはこちらに気付き、慌てたように武器を構えつつ一体は大声を出そうと──
まずい!
咄嗟に僕は手に持ってた剣を思いっきりぶん投げる。叫ぼうとしていたゴブリンはビックリした様に槍でガードしたけど……叫ぶのは妨害出来た。
その隙に間近まで潜り込んだザンズさん達が一体の首を切り落とし、もう一体は槍で串刺しにしていた。
「ふい~、良い連携だった。レオン、やっぱ良い腕だな」
「あ、ありがとうございます」
「んで、ウォルク……なんで武器を投げた?わざわざ牽制する必要はあったか?」
「あ、はい。それなんですが……」
僕達はゴブリンが声をあげようと息を吸い込む仕草をしていたことを説明する。
「もしかしたら近くの仲間を呼ぼうとしてるんじゃないかと思ってつい」
「ふむ……確かに群れが大きくなればそういった行動をとることがあるとは聞いたことがあるな……その場合今いるメンバーでは足りないレベルの群れになっている可能性が高い」
うーむ大問題だ。すぐにギルドに戻って報告すべき案件じゃないかな?
とりあえずさっさと深めの穴を掘りゴブリンの死体を埋めていく。そのまま放置しちゃうとゴブリンの群れにこっちのことがバレちゃうからね。
「さて、どうする?」
仮拠点へと戻って作戦会議。ここに戻って来るまでにまた何体かゴブリンを討伐したけど皆仲間を呼ぼうとしてたんだよね。それに倒したやつらも拙いながら武器を持ってた。てことはそういう風に動くよう指示出来る知能の高い個体がいる。
ス……と魔法使いさんが手を上げ口火を切る。
「魔物の動きが想像以上に統率が取れてる。これはものすごく厄介」
「そうだ、確実に上位種がいるぞ」
「やはり一度ギルドに戻って報告するのが最善か?」
帰るのには賛成だけど少し質問もあるので聞いてみる。
「あの、もう少し調べなくても大丈夫なんですか?」
「確かにどれくらいの規模の群れなのか把握しきれてないが……それで死んじまったら元も子もねぇしな」
それもそうか。不確定な情報なのは気になるけど安全第一だよね。
「とはいえ『群青の風』の奴らが来ないことには勝手に帰るのも迂闊にできねぇ……あいつら今何やってんだろうな?」
この場にいる全員が思った────放っといたら絶対余計なこと起こすな、と。
そして遠くで僕らの考えを肯定するかのように雄叫びが聞こえた。




