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71話 「転進」

20160503公開

 よく頑張ったぞ、私!

 今回の“遠征”でかなり振り向かせる事に成功したと思う。

 多分、てんちょーの『片腕』くらいにはなれたと思う。

 まあ、『てんちょーの右腕』は士長さんに譲るけど、左腕くらいにはなれたんじゃないかな?

 あとは・・・・・  がんばれあずやん・・・・・・





≪千恵ちゃん、もう十分だ。群れを停めてくれ≫

≪りょーかいです。『西の国』に戻るんですね? でも、ちょっと時間を貰っていいですか? かなりの子が怪我してるんで≫

≪ああ、もちろん≫


 俺たちが右側の待ち伏せ役の集団を蹴散らした頃には、左側の集団はバラバラになって逃走していた。

 『害獣』の集団の3割くらいを取り逃がした事になるが、これ以上の追撃は効率が悪くて時間の無駄になる。

 万が一の逆襲に備えて、もう一度輪形陣を組んでから、俺たちは3時間ほどの時間を休憩と治療に費やした。

 『ラカ・クヌ・ナク』が率いる集団で最終的に生き残ったのは、『標準敵獣』が191頭、『大型敵獣』が92頭、『矮級敵獣』が98頭、『標準害獣』が919頭だった。 

 損耗率はそれぞれ3.0%、9.8%、4.8%、9.0%だ。

 『大型敵獣』に大きな被害が出たが、これは『鋒矢ほうしの陣形』を多用したせいで前縁を担った『大型敵獣』の被害が増えたせいだ。

 だが、効果は絶大だった。ワンサイドゲームと言ってもいい程の戦果を俺たちは得た。

 討ち漏らした300頭前後の『大型害獣』が再度集団を組めば確かに脅威だが、『巨大害獣』を失ったヤツラに『西の国』の防衛線を突破する戦力は残されていない。

 

≪コレカラドウスル?≫


 『ラカ・クヌ・ナク』が訊いて来た。

 彼女にとっては当然の質問だった。

 今回の騒動で、彼女の群れは一気に巨大化した。多分、彼女が生きている限り、本格的に敵対しうる存在は現れないだろう。生存圏の確立を果たしたと言って良い。

 ここまで協力してくれたのは、俺を群れのボスと認めてくれたからだったが、外敵の『害獣』集団の迎撃を終えた現在いま、その関係は新たな段階に進まざるを得ない。

 最終的には彼女に群れを返した上で、支援する(例えばもう一度放牧が出来る様に生きた牛を融通するとかの)見返りに、人類に手を出しそうな『敵獣』を吸収か討ち取って貰うのがベストだろう。

 だが、それはもう少し先の話だ。


≪良かったらだが、もう少し手伝って欲しい。もちろん、断ってくれても構わない≫

≪ワカッタ≫

≪いいのか?≫

≪ボスノメイレイダ≫


 一旦言葉を切った『ラカ・クヌ・ナク』だが、更に言葉を続けた。


≪コレカラサキ、ムレハ、アンゼンニスゴセルダロウ。ソノジョウキョウヲツクッタノハ、ノブナガサンダ。ウケタオンモカエス≫


 彼女の飼育係だったダグという人物は、本当に彼女にのめり込んでいたのだろう。その教育は情操教育にまで及んでいた。

 ここまで人間臭い思考をしてしまうくらいに・・・・・


≪すまんな。ありがたく協力して貰う≫ 

 


 こうして俺たちは『西の国』への帰還の途に就いた。

お読み頂き誠に有難うございます m(_ _)m



 新たにブックマークをして頂いた方には、執筆意欲を増やして頂いた事に感謝を m(_ _)m

 また以前にブックマーク並びに評価をして頂いた方には、これまで支えてくれた事に感謝を m(_ _)m

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