69話 「ラカ・クヌ・ナク集団の戦い」⑦
20160429公開
私の“第六感”に敵の反応が出た。
元々、地球に居た頃から、私は『霊感』と言っても良い位に勘が良かった。
小学生低学年の頃に、クラスの子が失くした鉛筆や消しゴムを探し当てた事は1度や2度ではない。
その頃は未だ便利な能力だったけど、小学生の高学年になる頃には厄介な能力になっていた。
相手の本心が分かる様になってしまっていたのだ。
笑顔で話し掛けられているのに、気味悪がられている事が分かってしまう。
私は自分の殻に閉じこもるしかなかった。
でも、てんちょーはそんな私の能力を『特技』と言い切った。
お母さんでさえそこまでの“肯定”をしてくれないのに・・・・・
≪ジンケイノクミカエガオワッタ。コノママススンデイイノカ?≫
≪ああ。速度もこのままだ≫
≪ワカッタ≫
敵集団の囮部隊との接触は13分後くらいだろう。
敵は前方に『巨大害獣』ばかりを揃えて密集させた陣形だ。昨日の今日だが早速こっちの戦法に対応して来ている。
千恵ちゃんは既に伏兵の全てを把握しているが、ほぼ予想通りの配置だった。
≪ところでてんちょーさん、蛇って焼いて食べるんですか? それとも煮て食べるんですか?≫
何故か千恵ちゃんが変なところに関心を持ってしまった様だった。
≪チエッチ、蛇を生で食べる訳無いじゃん。毒とか持ってそうだし≫
≪いや、生で食べるよ。毒蛇でも牙なんかは帽子の鍔とか使って全部取るからマムシとかも食べるよ≫
≪マングース以上の天敵がここに居た!?!≫
≪まあ、実際にマムシは食べた事は無いけどね。シマヘビくらいかな、食べたのは≫
≪どうでした、味は?≫
≪強いて言うなら鶏に近いかな? そこそこ美味しかったよ≫
そんなどうでもいい話をした後で、俺は敵集団との接触に向けた指示を幾つか出した。
刻一刻と俺たちは敵の『害獣』が作った罠に近付いて行った。
≪そろそろ加速しようか。細かい調整は任せるよ、千恵ちゃん≫
≪りょーかいです、てんちょーさん≫
『ラカ・クヌ・ナク』が居るおかげで俺たちの加速はスムーズに出来る。
それにより一見したところ速度が上がっていると悟らせずに加速する事さえも出来た。
接触まで200㍍になった段階で、俺は敵集団の真ん中に向けてハチキュウを構えて指示を出した。
≪発砲始め≫
敵の前縁を削る為に最初から炎弾を選択している。
石井青年も発砲を始めた。
連射しても無駄弾になる確率が高いので3点制限点射を選択しているが、昨日よりは命中率が上がっていた。半分くらいは命中している気がする。多分だが、昨日初めて馬上射撃を経験した事で、無意識の内に弾道補正を掛ける事が可能になったのだろう。
気が付いた時には時速43㌔にまで加速して、そのままの勢いで敵の囮部隊にぶつかった。
さすがに8㍍級を揃えた上に密集しているだけあって、前縁の5㍍級の『大型敵獣』でも簡単には突破は出来ない。ある程度喰い込んだところで勢いが落ちて均衡状態になった。
≪頭を下げさせろ、全砲門開け≫
一生言う事の無い言葉だと思っていた『全砲門開け』だが、敢えて言ってみた。
ツッコミはやはり千恵ちゃんだった。
≪てんちょーさん、ノリノリ?≫
一瞬後には前縁の『大型敵獣』が一斉に頭を下げた。
食い止める為に視線を『大型敵獣』に向けていたせいで『巨大害獣』がこちらの狙いに気付くのが遅れた。のしかかろうとして完全に無防備な姿勢になっている。
≪撃て≫
俺と石井青年のハチキュウ炎弾に加え、千恵ちゃんとあずさ君の改良型炎弾が棒立ちに近い姿勢の『巨大害獣』を襲った。
ハチキュウ炎弾の連射時の発砲数は1秒間に10発。千恵ちゃんとあずさ君も今では1秒間に2発を放てる様になっている。
秒間24発の炎弾が確実に『巨大害獣』を削って行く。
10秒後には『巨大害獣』の戦列が崩れた・・・・・
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