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設定メモ(※ネタバレのため【閲覧注意】)

※あくまで設定のメモのため、実際と展開が異なる場合もあります。

◆転生者

 広義には前世の記憶を持つ存在、狭義には神界すらどのように創造されたのか分からない巨大で超高度の情報ネットワークシステム「形成の書セーフェル・イェツィラー」による多様性ある世界の創造(その真の目的、或いは最終目標と呼べるものが何かは現時点では不明)によって創造された「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」の世界に上位世界から転生した存在を指す言葉。

 物語の舞台となる異世界は、「形成の書セーフェル・イェツィラー」によってコピー元の地球から分岐した虚像の地球(或いは日本という国がある地域に大倭秋津洲帝国連邦という国が存在する、様々な歴史的に分岐を意図的に選択することで誕生した擬似平行世界的なもの)で誕生した「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」というゲームを元に、更に創造された孫世界に属する。

 『唯一神』という存在が設定されず、ゲームのシナリオを拡張し、様々な空白を補ったこの異世界ではその世界由来の存在は世界の法則に縛られるが、異世界よりも上位世界である虚像の地球から転生した者達はその世界の縛りに縛られることなくシステムを逸脱した願いの具現化を行うことができる。

 ロベリア達転生者はこれを転生特典と呼んでいた。


●ロベリア・ノワル・マリーゴールド

 乙女ゲーム「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」に登場する悪役令嬢でマリーゴールド公爵家の長女。

 この世界が乙女ゲームの世界であることを知っている、所謂記憶持ち転生者だが、前世の友人がそのゲームをプレイしたことがあり、話を聞いていたというだけで特に興味を持たなかったため、知識はほぼ皆無に等しい。

 前世は月村(つきむら)(あおい)という裁判官の父と検事の母を持つ高校二年生。

 仕事の忙しい両親とはほとんど共に過ごすことはなく、基本的には一人で生活していた。幼い頃は祖父母の元に預けられており、その頃に父親が趣味で集めていた推理小説に興味を持つ。

 その死因は検事である母が裁いた「少女誘拐殺人事件」の被告が懲役刑を終えて出所した後、人生を狂わされたと検事を逆恨みし、検事にとって大切な存在である娘を殺し、絶望させるために待ち伏せされ、包丁によって殺されたという凄惨なもので、更に死後に陵辱され、尊厳を踏みにじられている。

 高い推理力を誇り、推理小説や刑事ドラマを読んで得た知識も豊富に持っており、実際に事件を解決した経験もある。

 推理小説を水のように吸収して育った葵にとって、推理小説という概念が存在しない乙女ゲームの世界は地獄のような場所であり、公然と事件の解決を行える王国刑事部門の存在を知り、就職を狙っていた。殺人は悪いことであるということを理解している一方で、事件がない生活を退屈と言い、事件が起こらないかな? と期待しているなど、完全な善人という訳ではない。一方で、冤罪や自白の強要を人一倍危険視しており、「裁かれるべき人間が適切な処罰を受けるべきである」という考えを強く持っている。この正義感は検事である母親譲り。

 王太子である第一王子の婚約者であるが、いずれ自分が濡れ衣を着せられた末に処刑されるか、国外追放になるかしてお役御免になることが分かっており、第一王子の婚約破棄を国王に申し出たこともある。その際、王国刑事部門志望であることを耳にした国王は、聡明であるロベリアを取り込めないことを名残惜しそうにしながらも「王国刑事部門に仮所属し、自分が優秀だと認めさせることができれば婚約を破棄することを認める」という契約を結ぶ。

 転生特典は「犯罪心理学全書」。「犯罪心理学」に限り、前世の世界で発表した論文や本の全文が追加されるという尖った性能の神器級の秘宝。

 前世の一人での生活からメイドいらずの高い生活能力を誇り、令嬢として必要な教養も全て身につけているが、あまり人といることを好まず、普段は学園の図書館に篭っている。

 ある事件で協力した百上宗一郎から「桃上流剣術」という剣術を学んでおり、そのことを知ったユウリから東の国に伝わる最上大業物十三工の一つ、「鳴刀・鏡湖」を受け取っている。元々の剣術のレベルは護身レベルに留まっており戦闘力はそこまで高くなかったが、魔物との戦いを念頭において密かに剣術を磨いており、大きく成長している。

 推理小説模倣犯連続殺人事件の元凶として貴族の地位と捜査官の地位を奪われ、平民となり、王都の冒険者ギルドで腕利き冒険者として活動。また、王都に出現した魔物の討伐にも協力するが、至高天(エンピレオ)教団から睨まれ、呪法を使う魔女として異端認定を受ける。

 姿を隠して行動しながら辺境の村に行き着き、そこで静かに推理小説を執筆する世捨て人のような生活を送る。

 推理小説模倣犯連続殺人事件については責任を感じているが、それでも推理小説を捨てられない自身を、正しさからは程遠い醜い存在である感じている。


●リナリア・セレスティアル

 乙女ゲーム「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」の主人公。高い神聖属性魔法の適性を誇り、聖女候補として学園に入学することとなった平民出身の少女。

 その正体は地球出身の転生者で、前世は日畑(ひばた)(そら)という女子高生。

 ハーレムルートを狙っていた主人公らしい主人公だったが、悪役令嬢の原作との差異に気づき、図書館で悪役令嬢ロベリアの本性を知る。

 ロベリアから助手の立ち位置となり、様々な事件に巻き込まれていく。また、ロベリアは王子とリナリアを原作通りゴールインさせ、心置きなく王国刑事部門の刑事として活躍する未来を願っている。

 転生特典は「好きな人の力を限界を越えて引き出す力」。心から愛する相手のあらゆる能力を限界を超えて強化することができる。

 また、戦争の果てで「神聖系統魔法の範囲を増幅し、限界を超えて広げる」という願いを覚醒させ、二つ目の転生特典を得る。


●アドリエンヌ・フォン・ランタナ

 乙女ゲーム「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」のサポートキャラ。ランタナ子爵家の三女。ゲーム時代は図書館に引き篭もった地味な少女で、リナリアの友人として攻略のヒントや情報を与えるなどのサポート活動を行っていた。

 その正体は地球出身の転生者で、前世は村木(むらき)(まもる)という女子高生。代々大富豪の名家に仕えてきた一族の出身で、お嬢様に従者しての教養や大切な行動を叩き込まれてきた。我が儘放題のお嬢様に振り回され内心辟易としていた一方、お嬢様とは共依存の関係にあり、難病に罹った際はお嬢様が財産を切り崩して優秀な医者を呼んで従者の村木を救おうとしていた。しかし、完治に至らず、病によって息を引き取る。

 転生した際は、自分の心の大半を占めていたお嬢様がいない事実を知り、あまりの絶望から生きる気力を失った。しかし、ロベリアと出会い、彼女と関わる中で自分も前に進まないといけないと新たな生に向き合い始める。

 現在は子爵令嬢でありながらメイド服の方が落ち着くとメイドの格好をして、二人の姉や兄の身の回りのお世話などもしている。妹が生きる気力を取り戻したのは嬉しいものの、メイドとして振る舞うアドリエンヌにどう接するべきか頭を悩ませている。

 転生特典は「機械の作成と魔改造」。本人が改造もとの機械や改造の理屈を知らなくても魔改造が可能という作中でも屈指のチート能力を保有する。

 度々難題を持ち込むロベリアに対しては辟易しているものの、なんだかんだでロベリアとの関係を好んでいる節があり、難題を渋々ながらも毎回引き受けており、これまで断ったことや反故にしたことはない。

 ロベリアとは、遺留品係と鑑識の二人を彷彿とさせるような関係であり、アドリエンヌ自身は否定しているものの高い信頼関係がある。

 ティーチ・ジーベック達海賊と協力し、ロベリアの命を狙うアダマース王国の混成騎士団や騎士修道会に対して激しい攻撃を開始する。


●ユウリ

 「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」の舞台となるアダマース王国と周辺国を含め、全ての犯罪組織と繋がりを持つと言われる裏世界の重鎮。専ら「影道化(ジョーカー)」の二つ名で呼ばれる。原作に登場する訳がない。

 関西弁を操る怪しげな少女。商人のような格好をしており、普段は怪しげな商売を行っている。枢機卿以上の高位神官か侯爵以上の貴族、即金で金貨十万枚を用意できる資産家でなければ本来は直接目通りできる相手ではない。

 ロベリアに興味を持っており、気儘に衛兵の目を盗んで遊びに来ては重要な情報を話していく。

 「世界は善と悪のバランスによって成り立っている」という思想を持ち、悪陣営の暴走を抑えるために犯罪組織を纏め上げた。

 前世は影澤(かげさわ)悠里(ゆうり)。天才・影澤照夫の妹である。兄に憧れており、現在のユウリの像も兄が元になっている。

 転生特典は「どこからでもなんでも斬ることのできる哲学武装の糸を取り出し、望むままに操る」と「神出鬼没で望む場所に好きな時に現れることができる」というもの。


●松蔭寺辰臣/ショウインジ

 王国刑事部門の設立に尽力し、初代総監となった人物。転生者。

 事件に関する下調べには余念がなく、現場においてはどんな些細な証拠も見逃さない鋭い観察眼を持っていた警察官だったらしい。模範的な警察官らしい正義感の持ち主であった。そんな彼が理想とした王国刑事部門は、長い時を経る中で歪んでしまった。

 当時の賄賂が横行し、貴族同士の利害関係を重視するあまり腐敗し、一方で民に対して過度の締め付けを行う国王の治世を批判し、「民があってこその国である」と強く訴えた。

 当初は国王は自分の意にならない松蔭寺に強い反発感を抱いていたが、後に彼の諫言を受け止め、重用することとなる。

 一方で王国刑事部門の総監としては例え「水清ければ魚棲まず」と嫌われても常に正しさを追求し、真実を明らかにするのが我々警察の役目であると生前よく口にしていたようである。

 「全盛期の自分自身の姿での転生」がある意味で転生特典と言えるが、これは実質「形成の書セーフェル・イェツィラー」の選択であり、唯一個人で望んだ転生特典を持たない人物と言える。システムを逸脱した願いの具現化というチートの助けを借りず、己の頭脳だけで国王に徴用されるまでになっており、彼の存在は後に乙女ゲームの世界に大きな変化を与えることとなる。


●デルフィニウム

 マリーゴールド家に仕える使用人で元高慢お嬢様担当のメイド。

 薄い蒼髪に氷のような冷たさを内包した碧眼のメイド服の女性。

 安定した生活を求めており、高慢なお嬢様に仕えてきたのも「欲望を満たしていさえすれば、安定した給金がもらえるから」という理由だった。

 記憶を取り戻したロベリアが「推理小説」がない世界に生きる理由を見出せず、どの道断罪されるなら死んだ方がマシと自殺をしようとした際には「お嬢様が死ぬと私の安定の収入源が無くなるので自殺はやめてください」という理由で止めている。前述の通り、自分第一主義者で他人のことなどどうでもいいと思っており、それを公言して憚らないという呆れを通り越してむしろ天晴という人物だが、ロベリアに王国刑事部門への所属の道を提示するなど、ロベリアの人生を変える大きな切っ掛けとなっている。

 一方で、より安定した、稼ぎの良い生活が保証されるならその相手に乗り換えるタイプであり、以前仕えていた人であっても容赦なく敵に回る。

 後編ではロベリア達が王国刑事部門のローレンスの下に真相を究明しに行った際に、王国刑事部門の総監室前の廊下で待ち受け、ロベリア達の前に立ちはだかった。その際に、王太子の言葉を「貴方よりももっと上からの指示ですので、応じることはできません」と跳ね除けており、後に国王エドワードに雇われていたことが明らかとなる。

 事件解決後はしれっとロベリアの専属メイドに戻った。

 その前世は「不幸せな出生で苦痛に塗れた半生を送ったのだから、後の人生は天人のように素晴らしい人生を送るべきであり、送れる筈だ」という思想を掲げる不幸せな出生の五人が結成した武装思想家組織「天人五衰」のメンバーの一人で「身体臭穢」その人である。スラム街の出身の男で名前を持たなかったため、称号がそのまま名前となった。

 「より良い生活のためなら、たとえ前の雇い主であろうと殺す」という思想は「天人五衰」を象徴するものであり、デルフィニウム個人の思想ではない。

 戦闘では羽衣を着用し、北斗九星を象った髪飾りをつける。特殊な異能を持たない代わりに極められた異能にすら匹敵する常識外の身体能力を持ち、圓を含む世界でも一握りの存在のみが全ての筋肉を本来意識して操作できないものを含めて完璧に操作する、脳から送られる信号を短く情報密度の高い戦闘用の脳信号に変える領域にも到達している。

 その身体は鋼の如く強靭で、その手から繰り出される斬撃は不可視の領域に達し、その動きには一切の音が存在せず、その斬撃は何もかもが規格外な斬撃は大気が斬り裂かれたことに気づかないほど鋭く、軽く振るっただけで放たれる剣圧(空気の刃)は鋼鉄すらも斬り裂く。ただの木の棒であっても最上大業物十二工と互角に張り合える強さを誇る。

 転生特典は「あらゆる即死能力の無効化」、「不老不死」、「本来は一つしか持ち得ない魂を九つに分化させた九つの根源をその身に宿す」の三つ。

 あらゆる即死能力は某即死チートの即死能力も念頭に置いているため、究極の即死能力すらも無効化することができる。

 「不老不死」は決して老いることもなく、受けた傷も秒で再生する。

 本来は一つしか持ち得ない魂を九つに分化させた九つの根源は連続する時空の前後する時間のいずれかの自身に持たせているため、一つの時間の魂を粉砕しようにも殺すことはできず、理論上は前後する時空のデルフィニウムの魂に同時に消滅攻撃を叩き込むしかない。このデルフィニウムの魂は基本時間(現在)を中心にして展開されており、観測者の位置が変化すると魂の位置もその時の魂の配置に変化する。


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◆攻略対象

 「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」には四人の攻略対象と隠し攻略可能なキャラクターが三人いる。

 悪役令嬢とライバルキャラが明確に線引きされており、悪役令嬢はロベリア以外には登場しない。


●ラインハルト・ディアマンテ・アダマース

 「リナリア〜平民少女のシンデレラストーリー」の舞台となるアダマース王国の王太子。攻略対象の一人。

 ライバルキャラとして登場するのは、ハーレムルートでもライバルキャラとして立ちはだかる悪役令嬢ロベリア・ノワル・マリーゴールド。

 面倒な貴族社会で退屈と代わり映えのしない生活に辟易としており、乙女ゲームでは型破りな主人公に興味を持った。

 金髪碧眼の美男子でザ・王子という見た目だが、中身は腹黒でドSな性格。


●ヘリオドール・シャトヤンシー・エスメラルダ

 現在宰相を務めているベリル伯爵の息子。黒髪に黒い瞳を持つメガネを掛けた優男。攻略対象の一人。

 ライバルキャラとして登場するのは、ヘリオドールの妹のアクアマリン・シャトヤンシー・エスメラルダ。

 既に父親の実務に協力している秀才。美形の両親から受け継いだ溢れ出す魔性のオーラを持ち、ファンクラブも存在するほど。


●ザフィーア・アズール・コランダム

 現王国近衛騎士団騎士団長の長男で次期当主。攻略対象の一人。

 ライバルキャラとして登場するのはルビー色の髪と瞳を持つ侯爵令嬢でザフィーアの婚約者のスカーレット・ルビー・カーバンクル。

 父親に憧れて剣の道を極め、いずれは父と同じ近衛騎士団騎士団長に至りたいと思っている。今とは異なり弱気なスカーレットを励ましたことがあり、これがアクアマリンに惚れられる要因となった。


●アレキサンドラ・トルマリン・クリソベリル

 アダマース王国で絶大な権力を握る至高天(エンピレオ)教団の枢機卿の息子。高い治癒魔法の才能を持つ。

 ライバルキャラは至高天(エンピレオ)教団の敬虔な信徒であるアウローラ・ホーリー・エンジェルオーラ公爵令嬢。

 至高天(エンピレオ)教団が見出したリナリアが学園に馴染めるように協力するように枢機卿である父から頼まれており、リナリアにとってアレキサンドラはもっとも身近な存在である。一方で、アウローラとは神の御前で婚約を結んだ関係にあり、乙女ゲーム内部での攻略難易度は最も高い。

 圧倒的な治癒術の適性を持ち、更に魔物の出現の根源の浄化を可能とする聖女の秘儀は至高天(エンピレオ)教団を捻じ曲げても手中に収めたいと思えるものである。そのため、本来なら許されない神前での誓いの破棄も認められてしまう。

 主人公にとってのハッピーエンドでも神前で愛を誓い合い、心から愛していた最愛の人をポッと出のリナリアに奪われ、悲しみのどん底に突き落とされたアウローラが最後失踪するという不憫なラストであり、純粋で優しいアウローラの人気は高い一方で、このルートを二周以上プレイする人は滅多にいない。


◆ライバルキャラ

 ストーリー上で攻略対象と結ばれることを阻むライバル的な存在のうち、悪役令嬢ロベリアを含まない三人を指す。

 表のストーリー上では攻略対象を巡って争った強敵だったが、全ての攻略対象の攻略を完成させ、ハーレムルートをクリアすることで明かされ、攻略が可能となる。

 アウローラと結ばれることはできないが、このルートでしか手に入らないスチルが複数用意されており、必見。アクアマリンとスカーレットの二人は百合エンディングが存在し、他の攻略対象と同じくリナリアと結ばれるエンディングもある。

 制作に関わった百合好きのある人物の提案によって生まれた展開。ハーレムエンドとの両立は不可能で、この三つは男子禁制の乙女の花園ルートと呼ばれている。


●アクアマリン・シャトヤンシー・エスメラルダ

 ヘリオドールルートの最初にして最大の障害で、ライバルキャラにカテゴリ」される人物。

 ブラコンを拗らせたツインドリルの典型的な令嬢。兄のファンクラブにたった一人で立ち向かうお兄様大好き人間であり、ヘリオドールの攻略にはまずアクアマリンと仲良くなる必要がある。アクアマリンに認められることがヘリオドールルート攻略の条件。


●スカーレット・ルビー・カーバンクル

 ザフィーアルートに登場するライバルキャラ。社交界の華や貴族令嬢の鑑などと称えられており、平民であるリナリアに対してマナーやダンスなどで違いを見せつける。

 心からザフィーアのことを慕っており、彼に相応しくなれるような己を磨いていった努力家で、正統派ライバルなためか人気も高い。


●アウローラ・ホーリー・エンジェルオーラ

 アレキサンドラルートのライバルキャラ。エンジェルオーラ公爵家の令嬢。

 攻略対象を差し置いて、作中随一の人気を誇る人物。至高天(エンピレオ)教の敬虔な信徒で、アレキサンドラと神前で婚約を結んだ。

 純粋で優しく健気な性格で、アレキサンドラに尽くしてきた人物。本物の聖女とネット上で呼ばれるほどの慈母のような慈悲を持っており、プレイヤーによってアレキサンドラを攻略され、つまり寝取られてもリナリアを一言も責めずに姿を消してしまう。決して弱音を吐かず、優しい笑みをたたえている彼女にこれほどの仕打ちをしたアレキサンドラとシナリオを考えた制作陣に対する批判は尋常じゃなかったという。


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◆前後篇共通

●セージ・ネーベル・マリーゴールド

 ロベリアの父親。マリーゴールド公爵家の当主。娘のロベリアに甘い性格でロベリアが我が儘放題の高慢令嬢に育った元凶。

 ロベリアと王太子ラインハルトとの婚約を喜んでいたが娘の幸せを一番に願っており、娘が望むなら婚約を白紙に戻すように国王に奏上する覚悟も決めている。

 最愛の娘の捜査官と貴族の地位を奪われ、家族の繋がりをバラバラにされただけでなく、更に最愛の娘ロベリアの命まで奪おうとするアダマース王国に対して遂に怒りが爆発し、アダマース王国に宣戦布告。それに同調する貴族と共に開戦に打って出る。


●エドワード・オレイカルコス・アダマース

 ラインハルト・ディアマンテ・アダマースの父でアダマース王国国王。

 当初は公爵家の血を引く婚約者候補の一人と考えていたが、前世の記憶を取り戻して聡明になったロベリアにラインハルトを支えて欲しいと考えるようになったらしい。

 聡明であるロベリアを取り込みたいと思っている一方で彼女が婚約の破棄を願っていることを知った際には、彼女が王国刑事部門志望であることから、実際に三等捜査官の肩書を与え、「王国刑事部門に仮所属し、自分が優秀だと認めさせることができれば婚約を破棄することを認める」という契約を結んだ。

 しかし、それは表向きの話であり、王国刑事部門の設立に尽力し、初代総監となった相国寺辰臣をロベリアに重ねており、正義感の塊である彼女が貴族同士の序列や立場のバランスを考えた上級貴族優先の自身の治世に諫言を呈することや、批判者、敵対者に回ることを恐れていた。

 最初は聡明なロベリアを取り込み、国王を支える妻という立場に押し込めることで彼女を無害化することを目論んだが、王国刑事部門の暴走によってロベリアの捜査官としての地位が奪われた後は、国を乱した罪で社交界からの追放及び貴族地位の返還を求める。セージが抵抗を見せるも、ロベリア本人が了承したため、ロベリアは公爵令嬢としての地位を失う。

 ベルナルドゥスの要請からサピロス王国近衛騎士団騎士団長を中心とする混成騎士団の派遣を言い渡す。

 彼の害悪の根底は「耳の痛い話は聞きたくない。真実から目を背けたい」という子供じみたものであり、相国寺辰臣と対峙した国王によく似ている。また、ロベリアの「いかなる真実でも、一度引き受けたのなら詳らかにしなければならない」という事件を解決する際の姿勢とも対極を成している。

 ロベリア達がローレンスの元に真相の究明に現れる可能性を考え、デルフィニウムを雇い入れて派遣した。

 三毒のうち「癡」を象徴する。(ロベリアを正しく見ることなく、妄想によって不信感を募らせた)。


●サピロス・アステリズム・コランダム

 王国近衛騎士団騎士団長。魔女ロベリアの討伐のため、派遣され、実際にロベリアと剣を交えるも敗北。彼女の不殺の考えに対し、王国とロベリア、どちらが正しいのか深く思い悩むことになる。


●ベリル・ビクスバイト・エスメラルダ

 ヘリオドール・シャトヤンシー・エスメラルダとアクアマリン・シャトヤンシー・エスメラルダの父親で、アダマース王国の宰相。

 推理小説を愛するようになった娘やロベリアをよく知る息子の懇願、そして高く評価していたハーバー伯爵の不正を暴いたロベリアの手腕などを理由に、アダマース王国が何故ここまで徹底的にロベリアを攻撃するのか疑問視し、狂ったアダマース王国と決別、セージ率いる反乱軍陣営に加わる。


●ベルナルドゥス・セラフィム・クリソベリル

 アレキサンドラ・トルマリン・クリソベリルの父親で、至高天(エンピレオ)教の枢機卿。聖職者の中でも上位に位置するが、神という存在に対する信仰心は薄く、それよりも利権を優先する生臭。

 エンジェルオーラ公爵家との関係を強固にし、更なるクリソベリル家の発展のために息子とアウローラ・ホーリー・エンジェルオーラの神前婚約を目論んだが、リナリア・セレスティアルの聖女の秘儀を手中に収めたいと考えており、リナリアとアレキサンドラの間に間違いが起こることを願っている。

 信者達の支払う高額な寄附金により圧倒的な財力を誇っており、ある意味で宗教の闇を感じさせる人物である。

 至高天(エンピレオ)教は信者達の病の治癒に治癒師を派遣し、治療にあたらせている。その際に多額の寄付金を要求しているため、お金を持っていなければ病を治癒することはできない。そもそも至高天(エンピレオ)教の教徒でなければ治癒師による治療を受けられず、そのため至高天(エンピレオ)教が国教となっているアダマース王国の信者は人口の大半を占める。

 また、薬草を使った薬の製造、並びに販売を魔女の秘術と呼び、邪悪な行いであるとして禁止し、そのような方法で生計を立てる魔女には厳しい弾圧を行っている。

 治癒術の独占によって圧倒的な財を得ているため、その圧倒的な信者数に反して本当に至高天(エンピレオ)教を信仰している者はほとんどおらず、信者でありながら至高天(エンピレオ)教を嫌っている者も多い。

 各地で起こっている教会への市民達の襲撃には不快感を滲ませており、反乱の起きた地域に騎士修道会を派遣している。

 出所が犯罪とつながっているため国で徴収する訳にはいかないマレハーダの隠し財産を浄財するために、このお金を使って市民達が格安で治療を受けられる療養所の設立を息子から提案される。息子の「このままでは暴徒と化した信徒によって大きな損害を受けることになる」という意見を聞き、渋々治癒師の常駐した療養所の設立を認め、反乱を鎮静化させた。

 治癒師の常駐した療養所の設立という考えを息子に吹き込んだロベリアに対して不快感を滲ませており、ロベリアが王都に出現した魔物の討伐を怪しげな術を使い行ったことから、教会の教義に反するとして異端認定し、騎士修道会を派遣する。更に、アダマース王国に対し、魔女ロベリアの討伐への派兵を要請する。

 これにより、これまで至高天(エンピレオ)教団に対して不満を持っていた者達の熱が再活性化し、一部有力教徒達が離反、至高天(エンピレオ)教団が二つに分裂し、宗教戦争が幕を開ける。

 実は至高天(エンピレオ)教団とは神聖魔法の使い手として散々酷使した少女を女神として祭り上げ、完成した教団であり、ユウリによる至高天(エンピレオ)教団重役暗殺の際には「悪なりに悪の世界の規範を守る者達よりも、君達善人面した外道の方がタチが悪い」という評価を受ける。その後、ユウリによって他の枢機卿や教皇共々暗殺された。

 三毒のうち「貪」を象徴する。(お金に執着した生臭坊主)。


●ローレンス・ジョージ・マスターロウ

 王国刑事部門の総監。異世界には存在しない筈の黒いスーツに身を包んだ人物。この黒いスーツは代々王国刑事部門の総監に受け継がれているもので、総監以外は着ることが許されない。

 王家の人間ですらなかなか手を出すことができない王国の内部にありながら唯一の独立機関である王国刑事部門の最高位の人物。本来は国王ですら影響を及ぼせないが、ローレンスは歴代総監の中でも外との関わりに意欲を示している人物であり、ロベリアの三等捜査官の地位もローレンスでなければ取得は不可能であったと思われる。

 ロベリアの実力を高く評価している。極めて合理主義な性格で、無駄を嫌う。

 しかし、その実態は王国刑事部門という組織の闇を象徴する人物。過去の慣例の重視、真実を捻じ曲げる仲間意識、賄賂による減罪、邪魔な存在を消すための冤罪のでっち上げ、そういった悪しき風習を色濃く受け継いだ人物。

 王国国王の権力が通じない王国刑事部門の絶対な権力に執着している一方で、貴族同士の柵や序列といったもの重視しており、その絶対な権力で国のバランスを整えるのが王国刑事部門の役割であると考えている。

 決して、「検挙した被告が実は冤罪を掛けられていただけでした」などといったことを許さず、検挙率百パーセントの王国刑事部門が間違えてはならないと、メンツに拘っており、例え冤罪だと分かっていても一度検挙した相手は刑に処すという姿勢はロベリアの正義と対立している。

 このままでは王国刑事部門の秩序を破壊しかねないロベリアを王国刑事部門から消し、社会的に抹殺するためにロベリアの書いた推理小説を元に模倣犯事件を複数起こさせ、ロベリアに責任を取らせた。捜査官としての地位を推理小説模倣犯連続殺人事件の元凶であるとして剥奪する。

 しかし、模倣犯事件の被告として検挙された者達をいずれも減刑しており、また不必要な死体を腐敗させるために暖炉で薪を燃やすトリックを意図的に排しており、模倣犯事件そのものに疑問を持たれ、真実に到達されてしまう。

 三毒のうち「瞋」を象徴する。(ロベリアを心に適わない対象として憎悪した)。


●ヴァリアン・ガニマール・フィアンマ

 王国刑事部門の一等捜査官。フィアンマ侯爵家出身。叩き上げで情に厚く、自分の勘で動くタイプの刑事。古いスタイルで捜査を進めるが、その方法が取調室での暴力と恐喝と冤罪を誘発しかねないものであり、ロベリアからはナンセンスだと思われている。

 ちなみに自白のみが唯一の証拠とされる王国刑事部門ではヴァリアンの方法の方が普通であり、ロベリアの方が寧ろ異端である。


●スピーリア・レストレイド・エイプリルファースト

 王国刑事部門の一等捜査官。出世意識が高く、上司に阿るタイプ。エイプリルファースト子爵家の出身。エリートタイプで学園を主席で卒業した秀才。


●ディル・イジドール・プルミエール

 王国刑事部門の三等捜査官。純粋な性格の王国刑事部門に似つかわしくないタイプの捜査官。王国刑事部門内部で嫌われているロベリアにも事件の情報を持ってくる。

 戦争によって国家が二分される中、ロベリアに対する断罪に疑問を持ち、不自然な減刑などから推理小説模倣犯連続殺人事件の元凶が王国刑事部門内部にいるのではというロベリアやリナリアと攻略対象達と同じ結論に至り、更に王国刑事部門について調べる中で、これまでその存在を隠されてきた初代総監、松蔭寺辰臣に行き着く。

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◆前篇「港湾の質素倹約な伯爵殺人事件」

●マレハーダ・フライングダッチマン・ハーバー

 「港湾の質素倹約な伯爵殺人事件」の被害者で、質素倹約に努めていたことで有名な伯爵。

 小さな屋敷に住み、メイドと男性使用人の二人を常勤で雇っており、それ以外の使用人は朝から夕方までのパートタイムで雇っていた。ハーバーの遺体は翌朝屋敷にやってきたメイドによって発見されている。

 格別高い税金を徴収していた訳でもなく、これといって殺される理由のない筈の人物であり、ハーバー伯爵の殺害事件は貴族達にとっては衝撃的なものであった。

 しかし、実際は領民の反感を買わないレベルで税金をあげており、一方で国への納税額を他の領地と同レベルにすることで浮いた金を懐に入れている。また、港湾の伯爵領という立地から非合法の海賊船や非合法な貿易船を受け入れており、仕入れた非合法な商品を国の内部に流して利益を得ている悪徳貴族だった。

 屋敷のとある場所に多額の財産を隠し持っているという噂があるが……。


●アンネリーゼ・ムスカリ・ハーバー

 マレハーダ殺人事件の第一の容疑者。マレハーダの妻で伯爵夫人。夫の質素倹約な生活にも不満を口にしないマレハーダには勿体無い妻。

 殺人が行われていたであろう夜に屋敷にいた三人の一人で容疑者の候補の一人となっていた。

 社交界では鴛鴦夫婦として知られていたが、マレハーダが若いメイドに浮気をしており、実際はマレハーダとの関係も最近は冷め切っていたらしい。夫の愛を奪い、関係を狂わせた若いメイドのことを恨んではいたが、今でもマレハーダのことを愛しており、マレハーダを殺害した動機としては微妙。


●ミュリエッタ・ダニング

 マレハーダ殺人事件の第二の容疑者。マレハーダが重用していた平民出身のメイド。

 しかし、実際はマレハーダの愛人のような立場であり、マレハーダから宝石やドレスなどを貢がれていたという。

 マレハーダの正妻の座を狙っており、アンネリーゼを追い落とした後にその座に座り、絢爛豪華な生活を目論んでいた。質素倹約な生活を送るマレハーダには不満があったものの、自分が豪華な暮らしを求めれば絢爛豪華な暮らしを与えてくれると自信を持っており、噂の隠し財産も自分のものにできると信じていたため、マレハーダを殺害する動機は薄い。


●ジョセフ・チューニング

 マレハーダ殺人事件の第三の容疑者。真面目な男性使用人。

 元々はパートタイムで雇われていたが、マレハーダに正式に雇ってもらえるように直談判して正式な使用人となった人物。真面目に仕事をしている働き者の好青年で、女性関係の噂も全くと言っていいほどない、仕事一筋の青年。

 三人の中では全くと言っていいほど動機がなく、アンネリーゼとミュリエッタも動機と言えるほどのものが無かったため、事件は暗礁に乗り上げた。

 マレハーダ殺人事件の真犯人であり、動機は難病の苦しむ母を救うため。難病の母を救うためには至高天(エンピレオ)教の治癒師の力が必要だが、そのためには多額の寄付金が必要となる。その寄付金の足しにするために働ける時間を増やして働いていたが、それでも全然足りず、屋敷の中で噂になっていたハーバーの隠し財産に目をつける。

 母を助けるために、そこから金を少しだけ貸して欲しいと願い出たがハーバーは「そんなことのために出せる金などない! 貧しい者は貧しく死んでいけばいい」と取り合わない。その言葉に激しい怒りを覚え、反射的にハーバーを殺害してしまった。ハーバーの死後、隠し財産を自力で探そうとするも見つからなかったため、全く状況が改善されないまま、罪の意識だけを背負っていた。


●ティーチ・ジーベック

 マレハーダと取り引きをしていた海賊船の船長。裏世界の住人であるため、「影道化(ジョーカー)」の存在を知っている。彼曰く、「影道化(ジョーカー)」は裏世界の雲上人らしい。

 ハーバー伯爵領の港湾に現れた海賊船に乗り込んだロベリアと死闘を繰り広げた。その戦いはユウリによって止められ、ロベリアが「影道化(ジョーカー)」と関係のあったことに衝撃を受ける。(その後、自分と互角に戦った相手が公爵令嬢であったことに更なる衝撃を受けたが)。

 自分の行いが世間で認められるものではないことを理解しながらも、その家業と向き合って船長を続ける悪人の中でも筋の通った人物。必要な資金を得たら「七つの海を巡る夢」を叶えたいらしい。

 ロベリアの強さに興味を持ち、資金が貯まった暁には「俺の船に乗って共に七つの海を巡らないか?」と誘った。


●アン・ピストーラ、メアリ・カトラス

 エドワード・ジーベックの船に乗る船員。二人とも男装をした女性。アンは異国の武器である拳銃の使い手でメアリは剣の扱いに長けている。


●カリス・チューニング

 ジョセフ・チューニングの母。母の手一つでジョセフを育ててきたが、紫の痣が広がり、やがて死に至る難病である「紫痣病」を発症した。

 現時点では瘴気によって発症すると考えられているが、根本原因は不明。魔女の薬にも特効薬がなく、治癒術でのみ治療ができる。

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◆後篇「推理小説模倣犯連続殺人事件」

●リーブラ/リーブラ・ブランシュ・マスターロウ

 王国刑事部門の捜査官の資格を剥奪され、公爵令嬢の立場を失い、王都で冒険者家業をしながら推理小説執筆と探偵もどきをしているロベリアの新たな相棒。

 ローレンス・ジョージ・マスターロウの娘であり、ロベリアの監視という目的を果たすために近づいた。絶対である父の意向には逆らうことができず、ロベリアの監視者として近づくことになったが、実はロベリアの推理小説のファンの一人であり、共に事件に挑めることには幸福を感じていた。

 魔女扱いされたことで、ロベリアはリーブラの前からも姿を消してしまい、その後はロベリア探しに奔走することになる。


●ヒルデガード・ロータス

 推理小説模倣犯の一人。とある貴族に仕えるメイド。ロベリアが書いた初の推理小説「完全犯罪」のトリックを利用して言い寄ってきた貴族の男を殺害した。他の犯人との面識はなく、「完全犯罪」のファンを自称しているが……。


●レクター・ジェーブル

 推理小説模倣犯の一人。王都に店を構える商人の男。借金をしており、取り立て人の男をロベリアが書いた初の推理小説「完全犯罪」のトリックを利用して殺害した。他の犯人との面識はなく、「完全犯罪」のファンを自称しているが……。


●シルヴィア=シォールク

 推理小説模倣犯の一人。王都在住の女性。不倫した夫と不倫相手の女性をロベリアが書いた初の推理小説「完全犯罪」のトリックを利用して殺害した。他の犯人との面識はなく、「完全犯罪」のファンを自称しているが……。


●アイゼル=ジョーヌ

 推理小説模倣犯の一人。王都在住の男性。大金を借りていた昔からの友人をロベリアが書いた初の推理小説「完全犯罪」のトリックを利用して殺害した。他の犯人との面識はなく、「完全犯罪」のファンを自称しているが……。




◆資料集

●影澤照夫と松蔭寺辰臣の関係

 高校時代の同級生で、風紀委員であった彼はよく校則を破る照夫に注意をしていた。

 その後、松蔭寺は警察官を目指し、首都警察の捜査一課長にまで上り詰めた。

 地元堺の飲み屋で照夫と再会。その場にいた悠里に「未成年の飲酒は法律違反だから絶対に飲むなよ」と釘を刺したり、「飲酒運転は法律違反だ」とタクシー代を置いて行ったりとルールに厳格な性格を見せる。

 照夫のことを「影」と呼び、高校生活を懐かしむような話をしていたが、数日後に彼は何者かに殺害される。

 正しさを追求するその姿勢は悠里も苦手としていたが、異世界で彼が警察の基礎を築きながらも、その頑張りに泥を塗るような行いをされたことを知り、やるせない気持ちになった。

 松蔭寺のことを思い出し、「自分の目指す正義を否定するだろうな」と思いつつも、ユウリは己の道を突き進んでいる。


●鬼斬ノ剣

 精霊や妖精、種族的な鬼も含めたものを生まれついての鬼、人から堕ちた存在や転化した存在、亡霊などを人から成った鬼とし、その両方の討伐を担った鬼斬の技。霊力と呼ばれる特殊な力を剣に宿すことで実体のない存在にもダメージを与えることが可能。


「桃上一刀流・桃弧棘矢」

 浄化の性質が付与された霊力を纏わせた武器の霊力を変化させて桃色の矢を複数放つ。


「桃上一刀流・桃李成蹊」

 猛烈な踏み込みと同時に、裂帛の声と共に爆発的な踏み込みにより一瞬でトップスピードに達し、相手の間合いに入る。その身に浄化の霊力を纏わせることで自分そのものが霊を浄化する弾丸と化す線の浄化技。「千羽鬼殺流・貪狼」に似た技だが霊力による身体強化によって剣のみに霊力を纏わせる「千羽鬼殺流・貪狼」よりも総合的に速くなるが、霊力の消費が剣に纏わせるよりも遥かに多いため、どちらが優れているかは判断が難しいところだろう。


「桃上一刀流・桃花爛漫」

 桃色の霊力を纏った剣から流れるような斬撃を繰り出す。散った霊力が桃の花弁のような形を作っては消えていくのが特徴的。


●見鬼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力。霊力の保有者が覚醒することがある能力で、霊力が目に馴染んだ時に開眼するとも言われる。

 段階に関係なく浄眼と呼ばれることがあり、ややこしい。


・清眼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力で見鬼の初期段階。見破る能力を有する。


・浄眼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力で見鬼の第二段階。視点を合わせることで僅かに怪異を浄化する力がある。


・色眼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力で見鬼の第三段階。視点を合わせることで僅かに怪異を浄化する力があり、更に時の流れをスローモーションで感じることができるようになる。


・聖眼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力で見鬼の第四段階。視点を合わせることで怪異を一瞬で浄化するほどの力があり、更に時の流れを色眼以上にスローモーションで感じることができるようになる。


・空眼

 鬼を始めとする邪な存在、怪異を見破る能力で見鬼の最終段階。視点を合わせることで怪異を一瞬で浄化するほどの力があり、更に時の流れを聖眼以上にスローモーションで感じることができるようになる。また、相手の動きの予測が宛ら残像のように見えるようになり、極められた空眼は未来視の領域に到達する。


●大業物

 東の国の伝説の刀匠によって打たれたとされる刀剣類の総称。最上大業物十二工、大業物二十四工、良業物七十二工からなる。

 近世の刀鍛冶が転生した刀鍛冶が東の国で打った名刀群であり、足すと除夜の鐘の百八つになる。煩悩を打ち消し、邪を払うという願いが込められている。最上大業物十二工のうち六振りは東の国から流出し、そのうち二振りはこの国に流れ着いた。


・最上大業物

「鳴刀・鏡湖」……ユウリ→ロベリア。波一つない湖面のようなイメージから命名された。打ち合った武器の耐久度を減少させるという効果がある。ロベリアの霊力を吸収する中で霊力の伝達力が高く、更に強度が上がり浄化能力も持った霊刀となっている。


「霹靂千鳥」……至高天(エンピレオ)教団の教皇に代々継承。雷を切ったという伝説のある太刀。雷を纏わせる性質や雷をを吸収する力がある。


「黒刀・夜叉哭」……アダマース王国の秘宝。夜叉が慟哭するほどの圧倒的な力を持つとされる鬼殺しの黒刀。武装闘気によって何らかの加工が施されている。


「五光叢雨」……ユウリが所持。五光に含まれる柳に斧定九郎、通称「雨」に妖刀の村雨を重ねた作品。人を斬るときに勢いよく水が流れ、刃の鮮血を洗い落とすと言われる。


「血吸・童子切」……ユウリが所持。酒呑童子を斬った童子切安綱と異名「血吸」より。血を吸うことで強くなっていく。


「倶利迦楼羅」……デルフィニウムが所持。デルフィニウムはそこら辺にある木の棒でも骨喰藤四郎並みの「斬る真似をしただけで骨が砕ける」ほどの力を持っているため、この剣を振るうことは皆無に等しい。倶利伽羅剣と迦楼羅炎はいずれも三毒を払うものとされている。浄化の力を持つ激しい炎を刀としたもので、刀身から噴き出した炎を纏わせることができる。


・良業物

「朧月」……王国近衛騎士隊長サピロスに下賜された良業物。


●魔法の覚醒

・土属性

 環境変化……地割れ、地殻変動

 性質変化……鉱物生成


・風属性

 環境変化……竜巻、ダウンバースト

 性質変化……音、振動


・水属性

 環境変化……豪雨、津波

 性質変化……毒や酸といった液体の生成


・火属性

 環境変化……噴火

 性質変化……熱操作


・闇属性

 環境変化……極夜

 性質変化……重量操作


●七罪魔天

 遥か昔に大聖女ベアトリーチェによって封印された七体の最強の魔物。この膨大な負の感情に当てられながら浄化した結果、大聖女ベアトリーチェは聖なる力を失った。

 鷲獅子(グリフォン)を象った《傲慢の大罪(ルシファー・シン)》、天地を覆い隠すほどの翼竜(ヴリトラ)を象った《憤怒の大罪(シャイターン・シン)》、巨大な鯨を模した《嫉妬の大罪(レヴィアタン・シン)》、不死鳥(フェネクス)を模した《怠惰の大罪(ベルフェゴール・シン)》、巨大な蜘蛛を模した《強欲の大罪(マモン・シン)》、三頭犬(ケルベロス)を模した《暴食の大罪(バアルゼブル・シン)》、女悪魔(サキュバス)を模した《色欲の大罪(アスモデウス・シン)》の七体が存在する。

 対応する生物が大罪とリンクしているだけで、その性質が必ずしも魔物と一致している訳ではない。


・《傲慢の大罪(ルシファー・シン)

 空戦タイプ。取り巻き無し。元々はアダマース王国に統合された小国スプランドゥールで崇められていた聖獣。

 当時は光をもたらす聖獣で王権の象徴でもあったが、戦乱の中で信徒達が虐殺され、その無念が収束された結果、現世に受肉を果たす。

 元々が聖獣であったことから堕天の光と呼ばれる力を使うことができる。


・《憤怒の大罪(シャイターン・シン)

 空戦タイプ。取り巻きは無し。元々はアダマース王国に統合された砂漠の国ワスティタースで恐れられていたドラゴン。

 天地を覆い隠すほどの巨体を持ち、水を閉じ込めて旱魃を起こす力を持っている。

 砂漠の国の第七王子によって討伐されて骸が長らく放置されていたが、人々の憤怒の感情によって《憤怒の大罪(シャイターン・シン)》として復活を果たす。


・《嫉妬の大罪(レヴィアタン・シン)

 空戦タイプ。取り巻きはメガロシャードンと呼ばれる空飛ぶ鮫。

 元々は白鯨と呼ばれる現ハーバー領沖合に棲まうアルビノの鯨だったが、人間の嫉妬の負の感情の塊である深淵の使徒(サファギン)を喰らう中で負の感情を溜め込み、《嫉妬の大罪(レヴィアタン・シン)》と化した。


・《怠惰の大罪(ベルフェゴール・シン)

 空戦タイプ。取り巻きは小さな火の鳥。後にアダマース王国国王となるアダマース領君主と激戦を繰り広げた隣国フェゴのイグニース砦を死守していた守護者の火の魔法使いを核として誕生した火の鳥。その国で恐れられていた悪魔フェネクスを模している。


・《強欲の大罪(マモン・シン)

 陸戦タイプ。取り巻きは無し。核となったのはアダマース小国と敵対した小国トニトゥルスの大臣で、元魔物研究の第一人者だった男。

 魔物の根底に負の感情と魔力の融合があることを発見していた小国の大臣は、瘴気の沼の液などの材料を使用して自身を魔物化させる薬を作り上げる。その禁忌の薬で自らを魔物化させ、その力で護国を成そうとしたが、負の感情を制御することはできず、小さな蜘蛛型の魔物へと変化してしまう。

 辺りの魔物に憑依し、更に魔物を取り込むことで巨大な蜘蛛の形を成すが、本体の小さい蜘蛛を消滅させない限りは何度でも復活する。


・《暴食の大罪(バアルゼブル・シン)

 陸戦タイプ。取り巻きは無し。その正体は外宇宙から飛来した異界の嵐と慈雨の神の成れの果て。

 世界の壁を超える中でその身を焼き尽くされ、神核のみとなったバアルゼブルは、エーデンベルク付近の山の民の神聖魔法の使い手の巫女に保護され、巫女達が信仰していた冥界を守る神ケルベロスの名を与えられ、再覚醒を果たす。その後は巫女と山の民を庇護していたが、アダマース領君主との戦いで山の民が次々と殺され、絶望した巫女が闇堕ちによって魔人となった時に同時に闇に呑まれ、その後、巫女と融合して誕生した。

 嵐を操る力を持つ三頭犬(ケルベロス)


・《色欲の大罪(アスモデウス・シン)

 空戦タイプ。取り巻きは無し。経国傾世と謳われた小国ツィノーバァロートの姫が核となっている。

 アダマース小国との戦争で敗北し、敗戦国の王女として兵士達から様々な辱めを受け、男達の色欲によって殺害された。その膨大な色欲によって死体が変化し、女悪魔(サキュバス)となった。

 唯一明確な自我を持ち、高い魅了系洗脳能力を持つ。自分を殺害した者に取り憑き、新たな《色欲の大罪(アスモデウス・シン)》へと変化させる力があるため、浄化する以外に討伐する方法はない。例え、女悪魔(サキュバス)を殺した者が男であっても、女悪魔(サキュバス)へと変化させることができる。


●『完全犯罪』について

 ロベリアが書いた小説。副題は「氷の凶刃」。水を凍らせた氷の刃を使った殺人事件を扱っている。

 氷の刃に塩を混ぜることで素早く溶かすことが可能となる凝固点降下、死体を腐食させる暖炉の使用など様々なトリックが使われている。しかし、わざわざ氷の刃を保管して犯行に及ぶのはあまり現実的ではなく、ロベリア自身も「氷の魔道具」が存在する異世界だからこそ可能な事件であり、「完全犯罪」に拘り過ぎて浮世離れしてしまったと後悔している。

 初の推理小説であり、物議を醸した。模倣犯が急増したことで、推移小説は悪の根源であるという主張がされる一方で推理小説のファンも急増しており、多くの推理小説が生み出され、読まれるようになった結果、国も禁書扱いして執筆を禁止することが難しくなった。

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