其のに「タボちゃん、溺れないでね」
パコーン
頬に残る痛み
目の前が朦朧とする…
「ぶったな」
ぶって何が悪いんだ
「2度もぶったな、タボにもぶたれたこと無いのに」
といったところでガンダム風茶番劇はここまでにしとこうではないか。
今から語るのは、エッセイ風小説である。
タボが見る、一見すると創作かと錯覚する出来事をご覧あれ。
タボは疑問に思うのだ。
時折、見かける水に飛び込む虫のことを。
何が目的なのか
そうせざるを得ないのか
はなはだ疑問である。
なぁ、お前さんはどう思う。そこのイナゴさんよ。
学校がいつもより早く終わった。まあ、早く終わろうが父さんが早く帰ってくることもないだろうに。
今は、みんなと遊ぶ前に少しでも身軽になりたいので、一度家に帰る道なかばである。
この手近な草に身を任せているイナゴに日頃の疑問を投げかけていたところだ。
どうして、お前たちは水へ飛び込む?
何か目的があるのか?
そうせざるを得ないのか?
いや、そもそもソレを考えるだけの知能を有しているのか?
まぁ、いくら投げかけようとコイツが投げ返すことは川の水が逆流するくらいありえない。
いや、逆流することはなくはないか。
訂正しよう、
「天地がひっくり返ってもありえない」
これでよし。
あと少し経てば佃煮にされるであろうイナゴをおいて僕は家にいそぐ。
虫は次世代の高タンパク源なのだ。
僕は一足先にこれを提唱したい。
いつの時代か、みんながこう言い始めるのか今から楽しみである。
さて、本日の目的地の河原へ到着した。
一晩経って仕掛けた罠に何かかかってないか見てみようか。
あの橋の支柱にくくりつけてるからな、ここら辺の奴らが捕れてるかな。
「タボちゃん、危なくない?大丈夫?」
僕を誰だと思ってるんだ。○○町の麒麟児〔タボ〕とは僕のことだぞ。
こんくらいどうという事もない。
どうという事はあった。
おっとっと
あそこは深かったな。
空が青いな
先ほどの佃煮への問いを自身で答えようと思う。
やはり、何か目的があって飛び込むわけではないのか。
いや、僕の場合は目的を果たし損ねた結果か。
遠くで、友達がじゃれてるな。僕がいなくて寂しかろう。寂しくなくとも僕は寂しいがね。
どこまで行くのか確かめたいな。ここから豪国まで漂流してみようではないか。いけるか?
バャッシャーン
優雅に漂い続けていると見知らぬオジに掬いあげられた。
「おい、先生とこの息子さんじゃねぇか。オチたら脇の草とかに捕まれよ。沢山あんだからさ。」
残念だな、豪国行きはまた今度ということにするか。
おじさんは近くの田んぼへ戻り、こちらへ手を振る。
厚かましいかもしれないが、僕を元の場所まで送って欲しかった。
自覚はある
厚かましい野郎だということも。
しかし、君たちも想像してほしい。流れ着いた地に取り残され、そこから足を使い家路へつく僕のことを。
まあ、言いたいことは山ほどあるが良い勉強だと思って収めるとしよう。
すっかり、茜色に遠くの山々が染まってきたな。もう少しか。
今度はダムに浮かびに行こうかな。




