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【悪役転生 レイズの過去を知る 】―俺だけが知る結末を、今度こそ覆す―(現在物語を全話を丁寧に修正しています。28-36。話大幅に加筆してます。。)  作者: くりょ
レイズを知る。

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魔法の使い方。


俺は深く息を吸い、頭を整理してから口を開いた。


「……落ち着いて聞いてくれ。俺は、この世界の人間じゃない。別の世界から来た」


ヴィルの眉がわずかに動く。だが口は挟まず、ただ静かに俺を見つめている。


「俺のいた世界では、この世界の“未来”――少なくとも数十年先が、ある形で解き明かされていた。そして、その未来の中で“死属性”は解明され、とても有用なものだと分かったんだ……」


訓練場に乾いた沈黙が落ちる。


嘘をついているつもりはない。

だが、この話を信じろという方が無理だと分かっていた。


「……だから俺は“使い方”を知らない。理屈は知っている。でも実践がない。だから、もし教えてくれれば……示せるはずだ。死属性の有用性を、証明してみせる!」


必死の言葉。

ヴィルの目が細められる。


「……なるほど。よく回る口だな」


疑念は消えていない。

だが、完全な拒絶でもない。


やがて彼は肩をわずかに落とし、小さく息を吐いた。

「よかろう。魔法の使い方が分かれば――おまえは本当に扱える、ということだな?」


「……ああ。必ず!」


ヴィルは木刀を収め、静かに頷いた。

「ならば教えてやる。基礎からだ。……もっとも、たとえ扱えたとしても――私の敵ではない」


その言葉に背筋が凍る。

警戒は解いていない。

だがそれ以上に、実力差が歴然であることを、彼自身が理解している。


「よく聞け!魔法とは属性を“外へ押し出す”術だ。呼吸と同じだ。力を吸い込み、体内で巡らせ、言葉や動作で形を与える!」


低い声が訓練場に響く。


「炎は熱を。氷は冷を。風は動きを。……死は――存在そのものを“薄くする”」


一拍。


「そしてそれは、この国では“無用”と断じられてきた力だ。」


喉が鳴る。

何だかんだ言いながらも、ヴィルは丁寧だった。


「違う、そこではない! 力を集めるのは胸でも腹でもない! “巡らせる”感覚を掴め!」

「肩に力を入れるな! 流れを止めるな!」


失敗するたびに叱責が飛ぶ。

だがそこに苛立ちはない。導きと、確かな意志だけがあった。


数時間が経つ。

汗で全身が濡れ、喉は焼け、何度も力は霧散した。


それでも――


ふと、体の奥で小さな灯のような感覚が生まれた。

「……これか?」


胸の奥から、じんわりと広がる何か。

熱でも冷でもない。

“薄さ”の感覚。


ヴィルが一瞬だけ、表情を緩める。

「……よくやった」


その声に、思わず目が潤む。

「ありがとう……名前も知らないおじいさん……!」


次の瞬間。

ヴィルの表情が、ぴたりと凍りついた。


「……では、それで“できる”のだろうな?」


鋭い眼差しが俺を射抜く。

空気が一瞬で冷え込む。


「あぁ……やってみる!」


俺は大きく息を吸う。

ふと思い出し、口にした。


「その……おじいさん、名前は?」


ヴィルはわずかに眉をひそめる。

「……私の名はヴィル。この屋敷の執事長を務めている」


「え、執事長!?」


思わず地面に額をこすりつける勢いで頭を下げる。

「ははぁぁーー!」


カツン、と木刀が床を打つ。


「いまはふざけている場合ではない。証明するにはどうすればいい?」


「……じゃあ、俺に属性をまとった攻撃をしてくれ」


「……本当にいいのだな?」


ヴィルの目が細く光る。

俺は全身に汗をかきながら、必死で頷いた。


「は、はいっ!!」


次の瞬間。

木刀に紅蓮の炎がまとわりついた。


空気が歪む。

「――行くぞ」


振り払うように、炎が放たれる。

轟、と爆ぜる衝撃。


「ちょ、どんな火力だよ!!」


思わず叫びながらも、両手を突き出す。

(消えろ……“無”になれ……!)


ふわり。


炎は――跡形もなく消えた。

熱も、焦げ跡も、煙すらない。

最初から存在しなかったかのように。


「……なっ……!」


ヴィルの目が見開かれる。


確かに手加減はした。

だがただでは済まない威力だった。


それが、魔法を覚えたばかりの少年に、あまりにも容易く消された。


「……本当に……」


驚愕が震える。

だが次の瞬間。


ヴィルの眼差しに宿ったのは、敵意ではなかった。


「……ふ、はは……!」


静かな笑み。

やがて、それは抑えきれぬ歓喜へと変わる。


「やはり――“死”は無駄などではなかった!」


その声は、長年押し殺してきた希望の解放だった。

俺は思う。


――ヴィルって、何者なんだよ。


試すにしても、桁が違うだろ。

あの炎の火力……俺じゃなかったら、本当に死んでた。


背筋が、ぞっと冷えた。

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たくさんの方に読んでいただき、本当にありがとうございます。 完結済の長編です。レイズたちの物語をぜひ最初から。
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