58/586
可愛くて、かっこいい。
そんなやり取りを、イザベルは楽しくて仕方なかった。
冷徹に評価するヴィルじいさま。
それに子供みたいに反抗する、けれど必死にくらいつくレイズ君。
でも――結局は覚悟を決めて、何度も何度も素振りを続ける。
不格好だけれど、真っすぐで努力を惜しまない姿。
「……ほんと、おじいさまの能力評価は的確だなぁ」
心の中でそう納得しながらも、イザベルの視線は自然とレイズに吸い寄せられていく。
じぃーっと、その横顔を見つめて――
「……かっこいいなぁ」
小さな吐息のようにつぶやいた。
かわいくて、かっこいい本日のイザベラの気分であった。




