ディアナの守る。
ふらふらと足を引きずりながら歩くレイズ。
今にも倒れそうになったその瞬間、ディアナがすっと支えに入った。
「……なんだよ、お前は!」
苛立ちをにじませるレイズの声。
だが、ディアナはその腕を放さない。
支え続けながら、手のひらから淡い光を放つ。
癒しの光がレイズの身体を包み、激しい痛みが少しずつ和らいでいく。
そしてレイズは少しずつ落ち着きを取り戻す。
「……っ、ああ……。ありがとう。そして、ごめん」
レイズは荒い息を整えながら、素直に感謝を口にした。
ディアナは優しく微笑み、囁くように言う。
「大丈夫です。――私が、守りますから」
その言葉にレイズはふっと心を緩ませた。
(……なんていい人なんだ)
胸の奥に、不思議な親近感が芽生える。
だがその安堵も束の間、リアノが駆け寄り、勢いよくレイズを抱きかかえる。
「レイズくん!」
「リアノ……?」イザベルが小さく呟く。
リアノはディアナに視線を向け、深く頭を下げた。
「ありがとうございます。ですが――あとは私がやります」
そう言ってレイズを抱えたまま、屋敷の方へと歩み去る。
残されたディアナは小さく肩を落とした。
(……場違い、だったのかな)
その背中に、クリスが歩み寄る。
「ありがとうございます。貴女の行動を、私は誇りに思います」
そう真摯に告げると、静かにその場を離れた。
イザベルも小さく会釈して、言葉を添える。
「……ディアナさん、でしたっけ。レイズくんの模擬戦は、いつもあんな感じなんです。……でも、心配してくださってありがとうございます」
その言葉に、ディアナの胸に強い怒りが湧き上がる。
「……これが“いつも”ですか?」
静かな声。だがその瞳は怒りに揺れていた。
「どれだけ強くなろうという気持ちがあっても――あそこまでボロボロにするのが、あなたたちのやり方なんですね」
そう言い捨て、踵を返し、その場を後にする。




