表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役転生 レイズの過去をしる。  作者: くりょ
レイズを知る。
16/105

イケメンクリスの登場。



夕暮れまで、レイズは真面目に鍛錬を続けていた。

木刀を振り上げ、振り下ろすたびに全身から汗が噴き出す。

呼吸は荒く、頭もぼんやりとしてくる。


(……なんで、俺はこんなことをしてるんだろう)

(なんのために生まれたんだろう……)

(……俺の大好物って、なんだったっけ……?)


最後の思考は、もはや疲れすぎてわけが分からなくなっていた証拠だった。


だが次の瞬間、レイズの目の奥に再び光が灯る。

「……そうだ! 俺は……!」


絶対に成し遂げなければならない。

世界を救うとか、そんなちっぽけな話ではない。


「――痩せるんだ!!!」


叫びとともに木刀を握り直すレイズ。

再び気力を振り絞ろうとしたその時。


「……レイズ様。そろそろお戻りになりませんと」


涼やかな声が背後から響いた。

振り返ると、そこには一人の執事が立っていた。


「君は……?」


「クリスと申します」


月明かりに照らされた横顔は、切れ長の瞳に端正な顔立ち。

礼儀正しく一歩引いた姿勢ながら、隠しきれない威圧感が漂っている。


レイズは一目で理解した。

(……こいつ、ただならぬ強者だ……!)


そして、同時に。

(……くそっ、めちゃくちゃイケメンじゃねえか……!)



俺はクリスの前で、決して情けない姿を見せまいと踏ん張った。

軽やかに――そう、何事もなかったかのように木刀を元の位置に戻そうとする。


「んぬぬぬぬぬぬぬぬ……!!!」


……全身を震わせ、顔を真っ赤にしながら、どうにか元の場所へ木刀を押し戻す。


その姿を見て、クリスは驚いたように目を細めた。

「……本当に、大したものです」


「ふっ……あぁ、では行くぞ」


俺は低く響く声で答え、できる限り格好をつけてみせた。


だが――現実は無情だった。

全身は汗でびっしょり、髪は顔に張り付き、服は身体に貼りついている。

もし細身で鍛え上げられた体なら絵になる場面だったかもしれない。


だがそこに立っていたのは、金髪碧眼の丸々とした少年。

その姿は「勇ましい」よりも「必死で苦労している子ども」にしか見えなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ