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悪役転生 レイズの過去をしる。  作者: くりょ
レイズを知る。
15/105

ヴィルの決定。


セバスはヴィルから命を受けるや否や、すぐに動いた。

屋敷の使用人たちを一堂に集め、その場にはリアナと――訓練場でレイズを見守っていたもう一人のメイド、リアノの姿もあった。

二人は姉妹であり、同じくこの屋敷に仕えている。


整列した使用人たちは一斉に深く頭を下げる。

場を支配する沈黙の中、セバスは低く告げた。


「……ヴィル様は、当主をお降りになった」


その瞬間、場がざわめいた。

誰もが耳を疑い、視線を交わし合う。


「しずかに」


セバスの一喝。

厳しく、容赦のない声音に、ざわめきは一瞬で掻き消えた。


「そして――次期当主は、レイズ様とする」


再び、空気がざわつく。

使用人たちの間に、驚愕と不安とが交錯し、重い波紋のように広がっていった。


「静粛に」


再度響いた声は、先ほどよりもさらに冷たく鋭かった。

「次に同じ無礼を見せる者がいれば、許しません」


場は再び静まり返る。

耳を澄ませば、皆の息遣いすら伝わってくるようだった。


セバスは淡々と続ける。

「執事長はヴィル様が務められる。そして、私はその補佐に回る。――異論は認めません」


空気が凍りつく。

だが、それでも一人の執事が恐る恐る手を上げた。


「……発言をお許しください」

「許す」


「なぜそのような一大事を……そのような重大な決断を、突然に……」


セバスの答えは短く、鋭かった。

「知りません」


場が息を呑む。


「ですが――ヴィル様が決めたことです」


その一言に、誰一人として言葉を続ける者はいなかった。

ヴィルの決断がどれほどの重さを持つか。

それが絶対のものであると、使用人たちは全員、骨身に染みて理解していたからだ。


場には深い沈黙が降りた。





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