そうしてレイズの過去を知る。
ヴィルの話を聞き、レイズという人物の断片を知るにつれて――それがどれほど歪められた舞台の上で、必死に怒りをぶつけていた姿だったのかが鮮明になっていった。
過去の行為の裏にあった痛み。
誤解。そして、失われたはずの優しさ。
それらが一つにつながるたび、胸の奥で何かが焼き切れるように疼く。
「俺が必ず、メルェをあんな目に遭わせた輩を――許さない。殺してやるからな」
鏡に映る自分へ向かって静かに誓う。
頬には涙が残っていた。
それでも瞳だけは揺るがない。
その奥には、復讐だけではない。
真実を知った者だけが宿せる覚悟が燃えていた。
――だが。
いまのレイズは、メルェという少女を知らない。
出会ったこともない。
言葉を交わしたこともない
それなのにだ…。
胸を焦がす怒りだけは、間違いなく自分のものだった。
(そうか……)
レイズは静かに目を閉じる。
(そうだったのか……)
あの日。
本来のレイズは、誰にも理解されぬまま一人で戦い続けることを選んだ。
だから歪んだ。
だから誰にも届かなかった。
だから誰にも救われなかった。
その想いが、今になって自分の中へ流れ込んでくる。
違和感はもうない。
怒りも。
悲しみも。
どちらが誰の感情なのか、境界はゆっくりと溶け始めていた。
本当のレイズ。
そして、転生したレイズ。
二つの魂は静かに重なり合う。
魂の同化。
本来、一つの器では決して起こることのない現象。
異なる魂が混ざり合い、一つの存在へと変わり始めていた。




