私はダン・トランス。面接に来たのに面接官が来ない
ダン・トランスは、エリナのパーティ募集に応募したハンターだ。他の街からやってきたSランクハンターであり、レッドドラゴンを討伐した実績もある。生まれた頃から磨き続けた剣の技術は本物だった。
ところが、約束の時間に集会所へ来てみたはいいものの、肝心のエリナらしき女性の姿が見当たらない。それらしき女性に声をかけてみても全員、違うと首を横に振る。
そうなったところで、ダン・トランスは激怒した。
この俺に待ちぼうけを食らわせるとは。レッドドラゴンを討伐した、凄腕Sランクハンターのこの俺が組んでやると言うのに、この仕打ち。到底許されるものではない。ぽっと出のソロハンター風情が、バカにしくさりおって。
彼は、愚か者は大嫌いだった。愚かな女はもっと大嫌いだった。もはや彼は、エリナと組む気を失っていた。
ダン・トランスは怒りに打ち震えながら、ギルドをあとにした。
〇
私とダンは集会所に帰ってくると、受付嬢のところへ行った。
「キングブラッドホーンとハーキュリーバイトスネークの討伐、お疲れさまでした」受付嬢はそう言って私たちをねぎらってくれた。「報酬はキングブラッドホーンの討伐の分でまず24000ギニーですね。そしてハーキュリーバイトスネークのほうなんですが、討伐依頼が出ていなかったのですが、きゅうきょギルドから依頼書を出すかたちにしましたので、報酬として31000ギニーが出ます」
「ありがとうございます。危ないからって理由で私たちが勝手に倒しちゃっただけなので、倒して大丈夫だったのかな、なんて思ってたんですけど」私は言った。
「そんなことはございません。もとより、こちらの不手際で発見しきれなかったものを、被害が出る前に未然に討伐してくださったのですから、感謝してもしきれないくらいです」
「それならよかったです」
「こちらが、24000ギニーと31000ギニー合わせて55000ギニーでございます」
「ありがとうございます」私は彼女が差し出してきた報酬を受け取った。
「では、よい一日を」受付嬢は言った。
報酬も受け取ったことだし、いったん帰るとしよう。
「ダン、あなたを雇うかどうかについては一日だけ考えさせてください」彼は強い。レッドドラゴンと同じくらい強いハーキュリーバイトスネークをたった一人で、苦戦することもなく倒せるのだから。
しかしやはり、協調性の面が気になる。あと、ちょっとアホすぎる気がする。
「あ、すんません。エリナさんっすか?」
「え?」
見ると、そこには三人の男が立っていた。
「エリナさん、メンバー募集まだしてます?」
「それはまあ、してるけど」メンバーはできればあと三人ほしい。近接戦が得意な二人と、攻撃魔法にたけている人が一人、それとそこにヒーラーの私を加えたかたちのメンバーを想定している。
「俺らエリナさんのパーティに入りたいんですけど」
「それなら、いったん受付を通してもらえますか?」ギルドにはすでに希望を伝えてある。いちいち希望に沿わないハンターの面接までしていたらきりがないし。
「いや、俺らけっこうやれますよ。危険度6ぐらいのモンスターだったら全然狩れるんで」
危険度6ぐらいで調子乗んな、カス。それに、一人ひとりの魔力量も大したことないし、あまり強そうには見えない。
「お前ら、エリナの言ったことが聞こえなかったのか?」すると、ダンが私の前に出てきて、私と男たちのあいだに割って入った。




