プロローグ2-3
【一ノ瀬凛(寺田中・パーカッションパート)】
最初は正直、目立ちたくて入った。寺田中の吹奏楽部は強豪って聞いてたし、目立つ楽器がやりたかった。でも希望したフルートは定員オーバーで、気がつけば私は、パーカッションパートに回されてた。
……泣いたよ、あのとき。なんで打楽器?って思った。メロディもないし、座る場所もステージの端の後ろの方。華やかじゃないし、なんなら、音すら出せない日が続いた。
でも、少しずつわかった。この音が、どれだけ全体を支えてるか。誰にも注目されないからこそ、一ミリのズレが、全体の“ノリ”を崩す。リズムが、支えてるんだ――って。
二年になってからは、後輩に教える立場にもなって。難しいのは技術じゃなくて、音を「出すべきか出さないべきか」を判断することだと知った。無音の一瞬にすら意味がある、って。
そんな中で、空気が変わったのは今年の県南大会数週間前だった。誰かが泣いて、誰かが来なくなって、それでも止まらなかった。私たちは止めなかった。
県南七日前の合奏、全部が本気だった。誰かが間違えても、誰も笑わなかった。先生の声は震えてて、部長の目は真っ赤で。なのに、一音ごとに、未来が見えた。
パーカッションって、やっぱり目立たないかもしれない。でも、私はこの位置が好きだと思った。音の重さを、誰より知ってる気がするから。
一旦ここまで執筆。人気が出たら、もうちょっと頑張って本編書いていきます。




