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プロローグ2-2
【内田陽真(杉崎中・クラリネットパート)】
中一の春。俺はこの部活に入るかどうか、けっこう迷ってた。でも、体験で聞いた曲に、なんだか胸が軽くなるような感覚を覚えて、気がつけばクラリネットを手にしてた。
最初の一年は、正直、勢いで進んでた。音を出せることが嬉しかったし、同級生とも仲良くて、先輩も厳しいけど優しくて。でも、二年になったあたりから、俺の中で何かがズレはじめた。
先生との距離が、遠くなった気がしたんだ。信じていたのに、俺たちが本気でぶつかっても、それを真正面から受け取ってくれない気がした。
先輩たちは、優しかった。けど、県央大会一週間前、顧問と先輩がぶつかって、そのまま部活に来なくなったやつもいた。俺もその日、帰りにクラを抱えながら泣いた。何が正しくて、何が間違ってるかなんて、誰にもわかんなかった。
けど、それでも、練習をやめることはなかった。誰かのせいで音楽が嫌いになるなんて、そんなのもったいなさすぎるだろ。その結果、県央はまあまあの記録で県大会へ行けた。結局部活に来なかったやつも2日前くらいにきてちゃんと練習していた。
今ここにいる理由?……それはきっと、結局は、音楽を信じたかったからだ。




