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番外編:3 ステファニーの事情

PV16,000を超えまして。

番外編2個で終わりにしようと思っていたのですが

驚きまして、感謝の気持ちで追加の話を書きました。


皆様、読んで頂き、ありがとうございます!


今回は、フィンの武力一辺倒の話でございます。


前回の話は重かったですが、今回はコミカルになってます。


 わたしは、ステファニー・ボイド。

 ボイド伯爵家の娘。


 なんだけど、わたしは実は養女。


 この国では、王都で職につく人は領主になれないから。


 だから伯爵家を継いだ、お父様の弟の養女になった。


 将来、魔学や王学に入学したり、仕事に就いたりする時に、貴族でないと困る事があるかもしれないからって。


 お父様と叔父様は仲が良い。

 だから、わたしは養女になったけど、王都と領地を頻繁に行き来して鍛えていた。


 ──だってそうすれば、どっちにも居る強い人達と、訓練出来るからね!

 くくっ、ふふふん!



 そんなわたしの、

 小さいころの話をしてあげよう!

 



 =============




「おい!! フィン坊、脇が甘ぇぞ!」

「お嬢! 今日は槍か? まだまだだな」

「フィン、周囲の魔力を良く探れ!」


「はいっ!!!」

 


 "おれ"、ステファニー。10歳。

 みんなからは”フィン”って呼ばれてる。

 


 小さい頃から、お父様に連れられて、この魔導騎士団・第二師団の訓練所に、ほぼ毎日来てます!


 何でかって?

 お父様は、その第二師団の団長だからだよ!

 周りの人が「それはショッケンランヨウでは?」とか言ってたけど、なにそれ?


 お父様は、「フィンは絶対強くなるから、鍛えるなら強い奴らに教わった方が良い!」って言ってくれたから、良いのだ!

  


 ちなみに、第二師団はね。

 "おれ"は女なんだけど、周りの人は男だらけ。

 

 たまに女の人も第二師団に入るけど、何でかな? すぐ居なくなっちゃうんだよね。


 ──まあ、教えてくれるなら、男でも女の人でも、どっちでも良いよ!


 今日は槍を掲げて振り回している。


 ──うーん、やっぱり背が小さくて使いづらいかなぁ。


「フィン坊、お前は剣や短剣の方が速さを活かせるだろ? 無理すんなよ」


「でもさー"おれ"、何でも使えるようになりたいんだよね。いざという時に、周りに槍しかないんじゃ困るじゃん!」


「お嬢、いざという時ってなんだよ? いつも剣か短剣を身に着けてれば解決じゃないか」


「えー、でもでも! 使えるようになるなら、損はないじゃん!」


「それよりフィン、また"おれ"って言ってるぞ。また奥様にどやされるぞ?」


 びっくぅ!!!


 肩が揺れて、槍を落としそうになった。


 ──そう。

 お母様に、『"おれ"と言わないで、"わたくし"、少し妥協しても、"わたし"、と言いな!!!』

 と、毎日のように怒られている。


 本当は"わたくし"って言って欲しいみたいだけど、おれがムズ痒いって言い換えしたら、"わたし"でも良いから!!!って怒られた。


 なんで駄目なんだろ?


 強さが大事なんだから、一人称なんて何でもいいじゃん。

 


 そんな事を考えてた時だった。


 急に、斜め上空から殺気が振ってきた。


 ──雷魔法の気配!!!!!


 着地点が自分の居る所だったので、僅差で避ける。

 避けた後に、そこを見るとバチバチと帯電するダガーが、地面に突き刺さっていた。


 ──危なっ!!!!

 でも、これ……………………。


「フィ〜〜〜〜〜〜〜ン〜〜〜?

 なんでここにいる!!

 今日は裁縫の先生との約束があったでしょ!!!それに、また"おれ"って言ったね!!!」


 ──やっぱり、お母様!!!

 

 しかも、裁縫の稽古をサボったのバレてる!



 バチバチバチバチィィッ!!!!


 次々と、雷魔法を纏った武器が振ってくる。


 さっきは訓練所に隣接している建物の上から振ってきていたはずのソレは、いつの間にか横から直線にまっすぐ自分に向かってきていた。


「わぁーーーん! お母様、許してぇぇぇ!おれ、あの先生キライなんだよぉーーーー」


 必死に逃げながら言い訳したけど、それも不味かったらしい。


「ごおぉぉらぁぁあぁぁぁ〜!!! この馬鹿ムスメ!!! また"おれ"って言ったな!」


 バチィィィーッン!!!


「ぎゃぴいいぃぃ〜〜〜!!!!」


 怒りが増したお母様に、おれが敵うはずもなく、雷魔法を当てられて、前のめりに倒れた。


「馬鹿め。倒れる時も、そんな変な声を出すんじゃない! 令嬢らしくしろ!!!」


 おれは目を回していたけど、周りのオッサンの声は聞こえた。多分、近くに寄ってきてくれてたんだと思う。


「うわー、一応手加減はしてるみたいだけど、相変わらず強ぇぇぇ」

「さすが現役の魔導騎士」

「自分の言葉使いは棚に上げてるし」


 ──オッサンら、ブチブチ言ってないで、助けてよー。


 お母様は、絶対に騎士達の話は聞こえてるだろうに無視して、おれの首根っこを掴んで運びだした。


「おい、お前ら。覚悟しとけよ」


「「「はい、スミマセンでした!」」」


 お母様は騎士達への牽制も忘れなかった。


 雷でビリビリと身体が痺れて、何にも出来なくなったおれは、そのまま家に回収されるしかなかった。



 ============



 次の日。


 お母様の言う事は無視して、また第二師団の訓練所に行った。


 ──いいのいいの!

 今日は、たまに来るだけの【淑女教育】の先生だもん。あんなの、強さには必要ないもんね。


 勉強内容を思い出してムズムズイライラしたので、これを今から発散させる! と、いつも通り訓練所の柵をヒョイっと跳んで越えて、騎士のみんなに声を掛けた。


「みんな〜! おれ、今日も来たよ〜!」


 ビックゥゥゥゥッッッ!!!!!


 訓練所に20人くらいは居たかな。

 何故か、その全員の肩がビクついた。


 ──え? 何?

 あ。まさか、お母様が何かしたのかな。



「皆、どうしたの? なんでおれが来て驚いたの?」


「フィ……フィンお嬢様。わ(・)た(・)し(・)達、変じゃありませんヨォ〜?」

「そうそう、わ(・)た(・)し(・)達、普通デスヨネー」

「早速、ワ(・)タ(・)シ(・)と打ち合いマショウカ〜」


 わ(・)た(・)し(・)と言う度に、クネッ、と気持ち悪く身体をくねくねと動かしている男達。


「みんな、何? それ。おれ、すっごい気持ち悪いんだけど」


「お嬢! オ……わ(・)た(・)し(・)達は普通ですヨォ〜。早く打ち合いマショ」


 クネッ。


「フィンぼ……フィンお嬢。今日は何の武器をお使いで? ワ(・)タ(・)シ(・)は、今日は棒術の練習が良いんじゃないかと思うんダケドォ〜」


 クネクネッ。


「いや、お……わ(・)た(・)く(・)し(・)は、昨日の奥様の雷魔法を真似してみると良いかなと思っ……テェ〜」


 クネクネクネッッッ。

 


 ぞわわわわわ〜!!!!


 思わず身の毛がよだつ。


「ちょっと、みんな!? 何でそんな変な言葉と、変な動きしてるの!?」


 おれがそう聞いたのに、無駄だった。


「だから、わ(・)た(・)し(・)たちはァ〜、変じゃないですッテェ〜」

「そうそう。ワ(・)タ(・)シ(・)たちの何処がおかしいのヨォ〜」

「坊……お嬢がおかしいから、わ(・)た(・)し(・)たちもおかしいと思うんじゃナーイ?」


 クネクネクネクネクネクネッ!


「ちょっとーーー!!?? みんな、気持ち悪すぎ!!! 見てよ! このトリハダ!!! 止めてよ、その言葉使い! お母様になにを頼まれてんのさ!」


 おれの怒りに、みんなは一度顔を見合わせて

 一度コクンと頷きあっている。


「あのネ、奥様がネ。男が女っぽい喋り方したら、フィンがどう感じるかっテェ〜」

「うんうん。だからわ(・)た(・)し(・)達、頑張って女っぽく喋ってるのヨゥ〜」

「昨日ネ、奥様から一晩中、わ(・)た(・)く(・)し(・)達、指導を受けちゃったのヨゥ〜」

「自分の事は棚に上げて、フィンの言葉使いはア(・)タ(・)シ(・)達のせいだって言っテェ〜」


「な、何それ!? じゃあみんな、一晩でそんなに気持ち悪くなっちゃったの!?」


「失礼ネェ、こんなに頑張ってるのニィ」

「ア(・)タ(・)シ(・)達が優秀だからヨォ〜。一晩でここまで女らしくなるなんテェ〜」

「そうヨゥ、だからフィンも女らしくなれるわヨォ〜」


 クネクネクネクネクネクネッ



 ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞッッッ!


 ──もうダメだぁ〜〜!!

 ぞわぞわして、

 トリハダが止まんないっ!


「ぎぃやぁぁぁぁあ〜!!! みんな、ごめんなさい! 直す!直すから!!! みんな元に戻ってよぉ〜〜〜!!! おれ……ううん、わたし、ちゃんと言い直すからぁぁぁぁぁ〜〜!!!」


「ダメよぅ〜。今止めると、お嬢の事だからすぐに戻っちゃいそうだモノォ」

「そうそう〜。少なくとも今日のフィンの訓練が終わるまでは。わ(・)た(・)く(・)し(・)達、続けろって言われてるノヨォ〜」

「フィン坊……フィン嬢、だからちゃんと今日も訓練しなきゃダメヨォ。ア(・)タ(・)シ(・)達、せっかく覚えたんだかラァ〜。付き合いなさいヨォ〜」


「ギャアアアアアアーーー!!!!」


 両腕を両側から掴まれて、訓練所の真ん中に連れて行かれて、変な女言葉のクネクネした奴らに指導を開始させられる。


 そこから2時間きっかりクネクネ達にしごき倒された。

 


 ──ごめんなさい、ごめんなさい!


 いつも強くてカッコいいみんなを、あんなクネクネの気持ち悪い軍団にしちゃうなんて、ありえない!!!


 "わたし"と言わないと、いつまでもクネクネされるくらいなら、直すよ〜〜〜!!!



 それから、ついつい"おれ"なんて出た日には周りがクネクネしだすという、地獄の日々を過ごし、なんとか"わたし"と言えるようになっていった。



 ──思い出すも気持ち悪い事件である。


 それと、それから1人だけ。

 女言葉のクネクネ動きが、面白いからって普段も使う奴が現れてしまった。

 

 そいつは、まさかのソレでお嫁さんを捕まえるという、みんなから非難轟々の事をやり遂げた。

「【オネエ】だと思わせて、外見も中身も普通の野郎じゃねぇかッッッ!」って、みんなから散々に言われてた。


 一応、幸せになれた人が出来て良かったね。


 そんな10歳の頃の事件でした。

 



 ==============

 



 10歳の頃の事件から、

 5年が過ぎて。


 わたしは15歳になり、魔学か王学のどちらを選ぼうか、と悩む時期がやってきていた。


「うーん、魔導騎士になりたいんだから、魔学が良いんだけどな〜。周りについて行けるかな」


 お父様とお母様に相談しているけど、2人共顔を見合わせて、長〜いため息を吐(つ)いた。


「フィンは魔法は得意だが、勉強も魔道具作成も苦手だろう。王学にしておいた方が無難なんじゃないか?」


「でも、王学ではフィンはやりすぎるでしょ。魔法が苦手な貴族ばかり集まるんだから。ボコボコにした貴族に逆恨みされて、将来困るのが目に見えてる」


 うーーーーん…………と、どちらも腕を組んで、父は下を向いて、母は上を向いて悩んでいる。


「えー、お母様、そんなに王学の奴ら弱いの? それなら、なおのこと魔学に行きたいな〜、わたし」


 母はそれを聞いて、上を向いていた顔を正面のわたしに戻して、カッ!! っと目を見開いて怒った。


「フィンの、その言葉使いも問題なんだぞ! そんな言葉使いのまんまで、高位の貴族がゴロゴロいる魔学にやれるかっ!」


「そんなの、お母様も同じじゃないか! こないだ、「お嬢の話し方は奥様そっくりだな」とか言われたぞー! わたしがこうなのは、お母様のせいじゃないかー!!!」


「だから最初から頑張ってたでしょー!? フィンにちゃんと、お父様お母様って呼ばせてるじゃないか! 家庭教師もつけてたのに、なんでおんなじ喋り方になっちゃったんだよ!」


「それ、あの三角の眼鏡つけてた家庭教師こと!? うんと小さい頃の話でしょー!? アイツは、いつの間にか居なくなってたじゃないかー!」


「あ、アイツは、仕方なかったの!」


 今までの威勢の良さは何処に行ったのか、急にお母様はしどろもどろになって、わたしから目を反らした。


「あの人は居なくなって当然だった。お母様にもキツく当たって、俺に色目使ったからな」


 ──えー!?

 こ、この熊みたいな筋肉ダルマに!?


「おい、フィン! 何か失礼な事考えてるだろ! 俺はな、師団長なんだぞ! ああいう人は偶に出てくるんだ! でもな、俺はお母様が一番好きだからな〜、キッパリといつも断るんだ。偉いだろ〜?」


「ふふふー。ありがと〜。お母様も偶に変な人が現れるけど、ガッってやっつけてるから〜」


 ──まただよ、これ。

 イチャイチャしだしたよ。


 しかも、お母様へ寄ってくる変なのは、たぶん闇討ちの奴らとかじゃないかな。

 お父様に寄ってくる奴らとは違う気がする。それくらいは分かるようになったんだぞー、わたし。


 しかし、このまま見てるだけだと、めんどくさいから、止める事にする。


「ちょっと〜、話を変えないでよー。魔学に入りたいんだけど、ちゃんと考えてよー」


 ピタッッッ!!!


 両親は、そう思えるくらい、急にイチャイチャを止めて、また腕を組んで考える体勢に戻った。


「うーん……勉強も魔道具作成も、今から猛勉強するしかないのは、置いておいて。問題は、フィンの令嬢らしさが全くない所か」


「…………修行に出な、フィン」


 えっ!? と、わたしとお父様でギュイン! と音が出そうなくらいの勢いで、お母様を見た。


「え、修行!? 強くなるためじゃなくて、令嬢っぽくなりに???」


「フィンを預かってくれそうな相手がどこに…………あ、メルクリウス家か!?」


「そう。あの御方のお子様ね、フィンと同じ歳なんだって。あちこち飛び回ってる方だけど、この間久しぶりに会えてね。お子さんがいるのは知ってたけど、同じ歳だったのは初めて知ったんだよね」


 ──あの御方?

 話が見えないけど、令嬢らしい人の真似をすれば良いなら、何とかなるかも!?


「その、同じ歳の子の言葉使いの真似をすれば、わたしも魔学に入っても良いの!?」


「まあ、そうだな。そういえば強い奴と戦いたいと言って、女の子と全く交流してなかったな、フィンは」


「そうそう。これを機会に女の子の友達も作って貰うの! 一気に令嬢らしくなれるじゃない!」


 3人で顔を見合わせて、ハーッハハハハハ! と、笑い合う。


「これで何とかなりそうだね!」

「ああ、勝利が見えてきたな!」

「勝ったも同然でしょ!」


 ハーッハハハハハ!!!

 



 ================

 



 それから。


 そんな事を言い合うわたし達親子は、周りから【武力に全てを捧げた、脳筋一家】と呼ばれている事を、アンネリゼに教えて貰う事になる。


 そして、アンネリゼの令嬢らしさ教育は、外に出て訓練ばかりをしていたわたしには、とんでもなくツライ日々だったのは言うまでもない。



 でも、おかげで令嬢の真似が出来るようになったし、魔学でわたしと同じニオイがしていたクラリスと、友達になることが出来た。


 あと一人。アンネリゼに紹介された、友達のナッティ。

 

 ナッティの指揮で戦うと、わたしの能力が全部発揮できる感じがした。

 あれは凄かった! あの魔学での学年合同訓練は忘れられない!


 

 だから、アンネには大変感謝してるよ!



 だからね、今はね。


 今度みんなで個別に訓練してくれないかな〜、と思ってるんだ。


 ナッティは個人戦は無理そうだけど。

 他の、アンネ、クラリス、殿下、殿下が連れているエドワードさんや友達。

 あとベリルさんもお願い出来ないかな〜。

 カトリーナ様も強そう〜。


 あ、ジェサイア様だけは遠慮しとく。

 怖いんだもん、あの人。



 ふふふふふふふ。

 

 みんな、今度

 一緒に訓練しよーね!!!!!


 

 

読んで頂き、ありがとうございました!


評価、ブクマ、リアクション、沢山つけて頂き感謝致します。


今、新しい話にかかっていますので、そちらを投稿できた暁には、またどうぞ宜しくお願い致します!

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