第五十四話 客と俺と浣腸と
・・・・・今頃俺がウォル太に拉致ってもらったのをばらして大騒ぎになってる頃かな?
・・・・・はい、現在そんな事を思うディアード側のシグ・レインフィールドです。
「ああ、またしても暇だ・・・・・。」
と、俺はカウンターに突っ伏す。
まだウォル太側じゃ対した動きなんてない。
まだ数日は船の上だからなおさら。
どうすんのよこの暇さ加減。
スカルを燻製擬きの刑にかけても晴れやしない。
「おま、晴れねーんなら・・・・・ゴホゴホ、やめろって・・・・ウオッフ!?」
庭からうるさい音が聞こえて来たので投擲で黙らせ、
「ん?お、いらっしゃい。」
久々の来客である。
「・・・・・あ、どうも。」
・・・・・何ともガタイの良いおっちゃんだ。
店内をいろいろ見て回っている。
と言う訳で今日の本は『法の書』。
アレイスター・クロウリーと言う実在したらしい魔術師の著書であるが・・・・・。
「・・・・・マジちんぷんかんぷん。」
・・・・・ネクロノミコンの様にどぎつくは無いが、記載が宗教描写がいろいろあって読みづらい事この上ない。
あっちにもあったかもしれないがそれを上回るどぎつさがあったから気にならなかったが。
ふと、おっちゃんの方を見る。
「・・・・・む。」
とまあ、武器を物色していたが、
「(何であの人結構傑作のやつしか触ってないんだ?)」
分かるのか?
分かる物なのか?
ゴミ(とは言っても二流レベルの業物。)に目もくれずにそう言った結構しっかりと作った物は時間をかけてみている。
「・・・・・おーい、そこの坊主。」
「何でしょうか?」
「これってどこで仕入れたんだ?見た限りかなりの業物だが。」
「大概のものはここで作ったものですよ。」
「ほう?」
そんな会話の後興味を失ったのか、また武器の方に視線が戻って数分後。
「これを頼む。」
「あ、はい。」
と、店の中にあった物の中で一番の奴(店の中にない奴で一番凄い?のは振るだけで小規模のブラックホールを形成する事が出来る。無論振った奴は自分並でないと以下略。)をお買い上げのようだ。
「金貨120・・・・・いえ、100でいいです。」
「む?もう少しすると思ったのだが・・・・・。」
うーん、どん位だと思ってたんだろうね?
「あいらがとうございました・・・・・あ、リオ。」
おっちゃんが買い物を終え、店から出ようとしたときに入れ替わるようにリオが入って来た。
「・・・・・これ、返しに来た。」
と、以前貸した魔導書を返しに来たようだった。
「で、どうだったの?言いたくないなら言わなくていいけど。」
「とても興味深かった。実験の予算もあまり気にしなくなるぐらいには。」
「ふーん、そう。で今日は何か借りてく?」
「それは?」
どうやら俺の持ってた法の書が気になったようだ。
「これか?『法の書』つって天使中心の魔術記載のある魔導書だ。」
「・・・・・専門外。」
どうも専門外だったらしく借りる気は無いらしい。
「なら、これはどうだ?『セラエノ断章』って魔導書だ。」
「・・・・・凄い魔力。」
お、興味を持ったらしい。
「これはどっかの学者が星の海の最果てにある図書館にて読んだ書物の写本らしいが、興味ある?」
「うん、貸して。」
ま、これは大丈夫だろう。
魔術師でない学者が書いてるから、業も少ないはずだろうし。
「・・・・・あ、そうだ。」
「どうかしたのか?」
「・・・・・私の家、来てみる?」
*****
はーい、これからって時に空気読まずにシーン変更した船上の方のシグ・レインフィールドですよ。
僕たちはねぇ、今。
「・・・・・。」
リンネちゃんの目の前で男共全員、正座中です。
「・・・・・はぁ。」
溜息ついてます、まあ理由は分かってるんですけども。
「・・・・・なあ、確かウォルターが暇だからと言う理由で何か催しをしようと言う話だったな?」
「だな。」
「・・・・・それを各自クジ引きで決めようという話になった。そうだな?」
「そうだったな、嬢ちゃん。」
「その中に何で『ホ◯セックス』だの『全裸マラソン』だのシモの話に走ってるんだお前等は!?」
「まあ、それは引かなかったから別にいだろ?」
「引いたのは・・・・・まあ、室内限定なら問題無いのだったがな。」
うん、それは俺発案。
ちなみに全裸はウォル太で◯モはおっさん・・・・・。
ウォル太、ケツには気を付けておけ。
リンネちゃんもリンネちゃんで野球拳とか書いてましたからね。
「・・・・・まあ、いい。じゃあ、始めるかな。」
と、始める流れになったが、俺はみんなに気付かれないようにスタンバイする。
いっつ、ステンバーイ・・・・・ステンバーイ・・・・・。
「ではこれよりシグ発案の『仁義無き浣腸選手権』を開始『ふぐぉぉっぉぉぉっぉ!?』・・・・・ってウォルター!フライングをするな!?」
「ちょ、俺じゃねえよ!?」
ああ、何と言う事でしょう!?
先ほどまで元気だったおじさんのお尻に巫女さんとかが持ってるアレ(大幣と言うらしいですね。)が刺さっているではありませんか!?
一体誰がこんな事を!?
犯人はこの部屋にいる誰かに違いありません!
「「・・・・・シグ?」」
シランモーン。
シランモーン。
ボクイイコダカラシランモーン。
「シグ、お前以外に犯人が居ると思ってるのか?」
「この状況、お前以外に犯人は居ないんだが。」
「・・・・・夢◯封印、尻!」
どんな下痢気味の尻も即座に便秘モードに突入する不思議封印奥義なり!
と、そんな説明を交えつつカッコつけました。
「「こ、こいつフライングして技使った挙句に開き直りやがった!?」」
バレたら開き直る、これ鉄則。
騒がしい船旅はまだまだ続く・・・・・。




