第三十七話 シグの暴挙により以下略
「・・・・・。」
・・・・・俺、こと筆者虎猫はある一通の手紙を前に肩を震わせていた。
その内容は・・・・・。
拝啓 虎猫様
私、雨宮時雨ことシグ・レインフィールドは勝手ながら一身上の都合により、本日から二泊三日を予定とした温泉旅行に出かけさせてもらいます。
さしあたって旅行中、私の出番を極力控えていただきたい所存です。
ぶっちゃけ結構主人公と言う役に疲れたのもあるので、休暇を取って英気を養い、今後の活動に期待してもらいたい所存です。
敬具
追伸
私がいない間はウォルター辺りを主役にしてはいかがでしょうか?
・・・・・。
・・・・・。
「あんの馬鹿がぁぁぁぁ!?」
こっちの苦労分かってる!?
ネタをひり出して一話書くのにどんだけ苦労してるのかってこと!?
それを何、お前!?
疲れたから旅行に行くだ、お前!?
半ニート野郎のお前がいつ疲れてるっつーんだ、馬鹿!?
それよりも、どうやってお前は俺の居場所を特定した!?
・・・・・。
・・・・・。
・・・・・むなしい。
何か負けた気がするけど、とりあえず馬鹿が旅行から帰って来るまで、ウォル太視点で進めるか。
*****
「んー!気分爽快!すっきりした朝の目覚めって奴だ!」
と俺は、起床した。
「私は最悪の気分なんだが、ウォルター・・・・・。」
「ん?何がだ?」
「お前のせいでまた野宿な上にお目覚め早々パン一の筋肉達磨を拝む羽目になったのでな。」
お目覚め早々ご機嫌斜めだな、こいつ。
もうちょい、おはようウォルター☆今日もがんばろーネ☆、とか言えんのかこいつ。
言ったら言ったで気持ち悪いけどさ。
「開放的で良いじゃねえか?」
「お前だけだ、そんな事が言えるのは・・・・・。服を買ってくるんで、お前はここに居ろ、いいな、ここに居ろ?絶対だぞ?」
ん?
それはここに居るな、って事かな?
「ああ、そうそう。某倶楽部のノリでここから居なくなったら、その首掻っ切るぞ?」
と、さらっと俺の首筋におっさんから貰ってた小太刀を突きつけて来た。
ツン期か?
ツン期なのか?
ともあれ、
「分かったっての。待ってりゃいいんだろ?入って来いよ。」
「分かったならいい。」
と、買いに行ってしまった。
・・・・・。
帰って来るまで暇になっちまったな、どうすっかな?
・・・・・二度寝るか。
*****
「・・・・・いやぁ、まさかきれいなねーちゃんと飲んでた酒場がぼったくりバーとは思わなくてな?」
「その弁明は何回目だ、ウォルター。」
「ひのふのみ・・・・・何回目だっけ?」
「把握できないほど引っかかっておいて何故学習しない・・・・・。」
と、リンネの奴が頭を抱えている。
頭でも痛いのか?
「で、今日はどうするつもりだ?今の私たちは殆ど文無しだぞ?」
「ギルド言って日帰りできそうな仕事探すか?でもな・・・・・。」
「どうした?」
「手っ取り早く、金欲しくね?つーわけで、だ。その辺の通行人を・・・・・。」
「却下だ、ウォルター。まともな仕事が受けれなくなる。」
この犯罪者め、と。
目は口程に物を言うとはよく聞くが、ここまで凄いのも始めてだ。
ついでに怨嗟の感情も感じるし。
「こう、な?その・・・・・泥棒とかが都合よく表れて・・・・・。」
「ドロボー!?」
!?
「行ってくる!」
「待て、待たんかウォルター!?」
「あの世行きじゃこの悪党ぉぉぉぉ!」
「ギャァァァァァ!?」
よっしゃあ!
きまった!急降下爆撃キック!
・・・・・つまるところライダーキックだがな?
「よし、一丁上がり!」
「どけ、ウォルター!こいつこのままじゃ死ぬ!?」
いや、そうは簡単に死なんだろ?
腹が抉れてるけどさ。
「お前は本当にやりたい放題だな、本当に・・・・・。」
「ん?そんなにやりたい放題やってる気は無いぞ?ノリで行動はしてるけどさ。」
「それをやりたい放題と言うんだ・・・・・。」
泥棒を治療しつつ、そんな事をリンネはつぶやくようにに言った。
「・・・・・そういや、食い逃げとかドロボーってどんだけくれてたっけ?」
「金貨二、三枚がせいぜいと言ったところだな。」
「はした金・・・・・。」
もうちょいくれてもいいんじゃねえのか?
世知辛いったらありゃしねえ。
あーあ。
なんか面白い事無えかな?
と、俺は空を見つつ、そう思った。




