第三十六話 閑古鳥商店の転機?
魔王様に顔見せに行って、その夕方。
「そう言やよ、お前ってここ来る前って何してたんだ?」
スカルが、ハイドに向かってそんな事を聞いていた。
こいつ、特に用が無いと分かると、人間形態で居るようになったな。
ついでにお前はさも当然のように食卓に座ってるしよ。
「ん?言って無かったっけ?」
「いや、あの痛女から首になったとしか・・・・・。」
「シグ・・・・・もうちょいオブラートに包んだ物言いとかしてくれよ。事実だけど。」
「あ、そうそう。ユウ、ご飯まだ時間かかりそう?」
「もうすぐですー。」
「そうか?で、どんな仕事だったんだ?」
「・・・・・んー。シグ、お前ってさ、元人間だよな?」
ハイドが何か言うのを躊躇ってるようだ。
「ああ、こいつ確かに元人間だぞ?」
「スカル黙ってろ。で、それがどうかしたんだ?」
「それなら聞かない方が、って思ってな。」
「別に良いぞ?何言っても。」
「ソイレントシステムって知ってる?『ごめん聞いた俺が悪かった。』・・・・・だろ?」
何つー所に勤めてたんだこいつは!?
人肉工場に勤めてたとか、背筋が凍るわ!?
つか、何!?
人肉って市場に出回る位には需要有ったの!?お前の居た所!?
「はい、できましたよ~。・・・・・どうしたんですか?シグさん?」
「ごめん、今日は何か食欲が・・・・・。」
一歩間違ってたらこいつの前いた世界の食卓に並んでいたかもしれないと言う事実に食欲が吹き飛んでしまい、今日はもう横になることにした。
・・・・・しかし。
「ソイレントシステム、か・・・・・ちょっと見てみたい気はするな。」
食欲は無くなっても、興味は無くならなかった俺であった。
*****
「・・・・・はぁ、今日も閑古鳥・・・・・。」
自分の部屋で、机に突っ伏しつつ、そんな事を思っていた。
朝から夕方まで、今日も納品分の仕事以外に客が来たと言えばリオ位なものだし、その肝心のリオも蔵書を読みに来るだけだから売り上げが色々と酷い事になってる。
まあ、納品分だけで生活は成り立つようにはなってこそいるが。
「商才、無いのかな・・・・・。」
・・・・・。
いかんいかん、どうもネガティブな思考に走ってしまう。
まあ、収穫はある。
表に飾った鎧は結構冒険者とかが見て行くのは見ているし。
「暇だわ・・・・・本当・・・・・。」
・・・・・。
ソイレントシステム、か・・・・・。
「『時間航行』術式起動開始。」
ちょーっと勇者教にダークさをトッピングしてみよう。
うん、腐敗宗教、奴隷など、ちょっと考えたらやりかねない的な?
よっしゃ、いざ・・・・・。
「シグー!お客さん。」
・・・・・。
「はぁ、萎えた。どうしてくれんだよスカル。」
「何でてめーは脈絡も無くコブラツイストやってくんだよ!?」
また今度にしよう。
その気になればいつだってやれるだろうし。
と、俺はスカルの呼びかけに応じ、店の方に行った。
店には、大体五人ぐらいの男女が居た。
「何かご用でしょうか?」
「ああ、店先に飾ってあった・・・・・。」
と、リーダー格らしき所謂レッドぽい青年が話しかけて来た。
「あれですか。まあ、応相談になりますがお譲りしますよ?」
ああ、やっと買い手が見つかった。
「で、応相談ってのは?」
「ああ、最近冒険者の方たちがこの近辺にある神殿の様な物の所に巨大なゴーレムが出たって言うじゃないですか。そのゴーレムの破片でもいいので持って来て貰ってもよろしいでしょうか?」
「いや、その・・・・・。」
「ああ、お気になさらず。こちらはお譲りしますが、倒せたらそれを優先的に持って来て貰いたいという事です。」
と、俺はショーウィンドウから鎧を持って来て、一行に手渡した。
「ま、これはこっちで作ってる商品のデモンストレーションも兼ねておりますので、代金はそれ、と言う事でお願いします。」
「ああ・・・・・はぁ・・・・・。」
何か釈然としていないようだが、仕方あるまい。
まあ、その一行が持ってる金貨の袋?を見れば分からない気もしないでもないが。
「では、期待しておりますので。」
「いや、ちょっと待ってくれ!?」
と、何か戦隊物のイエローみたいな人があわてて止めて来る。
「百歩譲ってゴーレム倒した破片持ってくるのは良い!でもな、それが強い装備って保証がねーだろーが!」
「・・・・・それもそうですね。そちらの剣、お借り願えますか?弁償はしますので。」
「はい?」
まあ、借りることは成功した。
これだと・・・・・ざっと見金貨50枚位だろう。
椅子二つに剣で橋を架ける感じに置いた所に、
「よっ、と。」
と、イエローさん(仮)の剣に向かって、俺の剣を振り下ろした。
ペキン、カランと、何とも情けない音と共にイエローさんの剣は居れた。
しかし、横からではなく縦からやってみたものの、こうもあっさり折れるとは・・・・・。
「あぁ!?俺の剣!?」
「そ、そんな事より、あんなあっさり壊れる・・・・・いや、壊せるもんなの!?」
「どうですか?お気に召しましたか?あ、そうそう、壊してしまった剣なんですが、弁償か、こちらの試作品の剣とどちらかにしてもれますか?」
と、俺は別なところに置いておいた剣を持ってきた。
ま、これもやっぱりおれ謹製なので割合強力(ゴーレム相手に、が付くが)に仕上げているが。
「・・・・・その剣で。」
「はい、ありがとうございます。」
とまあ、とりあえずは売れた。
あれが良い評判になってくれれば助かるのだが・・・・・。
ま、いいか。
次の装備飾っとこ。




