第三十五話 鎧営業は出来る限りウザく
先日のボスキャラ騒動より一週間。
冒険者ギルドは上へ下への大騒ぎである。
ま、そんなもん現れた事の無いここからしたらやり方が分からんと言うのもあるだろうが。
「でもさ、倒せる奴現れんのか?」
「うーん。どうだろうね?スカル。」
「あのさぁ、あの時武器防具一式用意するとか言ってたよな?あれか?」
「うん、あれ。」
と、店前のショーウィンドウに無駄にスタイリッシュな鎧と剣を飾っている。
まあ、あれはあれで強い。
自動障壁展開とかもあるし。
「そろそろ突っ込んでもいいか?シグ。」
「何?」
「何時まで俺をジャイアントスイングしてんだよ!?おい!?」
そう、俺はこの話が始まるちょっと前からスカルをジャイアントスイングをしてるのである。
つーか、されながら普通に喋ってるスカルに俺の行動に慣れられた気がしないでもない。
「じゃ、投げるぞ?」
「投げんな!?回転止めて下ろせや!?」
「うっせえ!飛んでっけ~☆」
「うわぁぁぁ!?ほげ!?ふご!?おうふ!?」
投げた角度が絶妙だったのか、地下に吸い込まれるように落ちてった。
あ、言うのを忘れていたが・・・・・今更な気もするけど、ハイドの外見ってのは・・・・・。
「呼んだか?」
「呼んで無いけど?後、お前ら姉弟揃って頭痛そうな顔した茶髪だって話を読者に・・・・・。」
「頭痛そうて何だよ!?」
「・・・・・これから何するつもり?」
「サーフィンしつつナンパ。」
「お前の体でサーフィンしてやろうか?」
「・・・・・その有刺鉄線しまってくれないか?」
「や・だ☆」
と、俺は有刺鉄線をハイドの巻きつけようとしたが・・・・・。
「あ、あーばよ・・・・・とっつあ~ん。」
と、文字通り逃げるように外に出て行った。
「声、震えてる・・・・・ま、いいか。あいつの飯に何仕込むかで今日は暇をつぶすか。」
「う、ぐぐ・・・・・。」
「あ、スカル戻って来て来たんだ。」
「あの後某スイッチよろしく鍋に顔突っ込んで壁に激突、転んだ拍子に何でかあったまきびしがぶっさり刺さったんだぞ!?」
「わーおボロボロだ。」
「お前が原因だろーが!?」
「うん、未来予知しつつ時止めして配置したし。」
「・・・・・。」
何かもうこいつだけは、って言いたそうな顔をしている。
それにしても・・・・・。
やっといてあれだが、黒髪ワカメヘアーは似合わねぇと思う。
「あれさ、一週間ほど前から置いてるけど、買いに来る奴居るのか?」
「値札付けて無いからな、買う奴はすぐに来るとは思ってないし。」
ま、買わせる気は・・・・・あるけど、何時売るかは決まって無い。
と言うか、譲る気だし。
「今日何しよう・・・・・暇潰しの種は無くなっちゃったし、スカルいじりはもうやっちゃったし・・・・・。」
「何恒例のように言ってんだよお前は・・・・・。」
「そう言えばさ、あいつが首になった原因って何なんだろうな?」
「取りあえず問題起こしたって事しかわかってないよな?」
「・・・・・まあ、それは後日聞くとして、出かけるぞ。」
『ん?おお・・・・・あ、指輪に戻った。』
「こっちの都合で戻せるし、お前側でもなれるようにしてるしな。」
『で、どこ行くんだ?』
「うーん、魔王の所に行って見ようかな?」
*****
で、来ちゃった。
復興はそれなり。
しかし、町の人は生きるって感じ、つまり生命力が結構強くなってる感じがする。
でも・・・・・。
「また攻められ・・・・・あ。勇者ボロボロ。」
『まあ、戦闘力5の塵に勝てる理由無いだろうし。』
「塵っておま・・・・・戦闘力5っておま・・・・・。」
と、そんな事を二人?して談笑(姿は消してる。)している先で。
「その程度か?つまらん・・・・・これでは無抵抗に蹂躙されているのと変わらんではないか。」
「ば、馬鹿な・・・・・なぜだ・・・・・俺は最強のはず、なのに・・・・・。」
はいはい、最強(笑)さん。
もっと無様な姿を見せて下さいね。
俺がやってもいいけど、次元が違い過ぎると今度は無双とかする気が萎えるもんなのよ?マジで。
具体的に自身に対抗できるような敵が居ないと今度は退屈が敵になる。
その敵がまた厄介なのですよね。
「―――――精が出るな、何時にも増して。」
ちょっと面白くしたくなったので、営業モード鎧タイプで突如出現(笑)。
「貴様か、何の用だ。」
「―――――何、大した用ではない。が、少々目につく塵を片付けさせてもらう。」
と、俺は闇で出来た泥の様な物を自身の陰から出し、勇者らしい人に襲わせる。
「ヒッ・・・・・何だ!?これは!?く、来るな!?来るなぁぁぁぁ!?」
無論、泥っぽい物は先日この城でやったあれだが。
ま、うるさいのは消えた。
「―――――用と言うのは他でもない、契約が不完全だったのでな・・・・・いや、今のを見れば不要かもしれんがな。」
本当にね。
ゲーム的に90後半はあったはずのを無傷で倒す時点でもう・・・・・。
「その必要は無い。」
「―――――その方が良いだろう。人間として魔王を演じようとしている貴様からすれば。しかし、名は聞かせて貰おう。」
「・・・・・ヴォランド。」
「―――――良い名だ。さて、ヴォランドよ、お前はこの世界を敵にした。が、味方にもした。これがどういう意味か分かるな?」
自分で言っといてあれだが、うぜぇぇぇ!?
「世間を敵に、精霊を味方にした。そう言いたいのであろう?この場の気を探れば分かる。現に、先ほどの奴には微塵も精霊の加護が無かったのでな。」
「―――――そう言う事だ。ではそろそろ帰らせてもらおう。・・・・・汝、この世界に何を描くか、拝見させてもらおう。ああ、そうそう。」
「・・・・・何だ。」
「―――――私は虐殺が嫌いだ。少々盤面を荒らすやもしれぬ。かくもこう言うであろう?ゲームにはアクシデントがつきもの、と。・・・・・では、さらばだ。」
と、俺はこの場から自分の家にもどった。
それにしてもどんだけウザいんだよ、鎧営業は。




