第二十三話 今日の町角(仮)
そんなこんなで、ハイドが住み付いてもう一週間が経過した。
何故かお国は神殿と大樹にはノータッチ。
今の所人を近づけないだけにとどまっている。
「暇だなぁ・・・・・。」
『客こねぇなぁ・・・・・。』
時刻は昼を過ぎたあたり。
「リオはもう来て帰っちゃったしな・・・・・。さて!」
『ん、何かやんのか?』
「ジャンジャジャーン☆」
と言って俺はテレビを取り出した。
『何でテレビ?つーかまた世界観ぶち壊しの物を・・・・・。』
「これ、何かわからん人にはただの箱にしか見えない認識障害かけてあるから大丈夫だけど?」
『また何かこじつけを・・・・・おぶぅ!?』
「よいしょっと。邪魔だぞ?スカル。」
何故か指から取れていたスカルが偶然、いや、ほんとに偶然なのだが、テレビを置いた所の下に何故かスカルがあって押しつぶしてしまいました。
ほんとに偶然だからな?
偶然なんだからな?
『強調するとワザとにしか聞こえねえんだよ・・・・・おげぇ・・・・・。』
固定するためにぐっと押す。
ま、スカルが居たのは押した後に気づいたんだけどね。
「さてと、暇潰しに転生者の様子でも見るかな。」
と、リモコンを操作して様子を見ることにした。
1チャンネル 転生者A君
「あーん。」
「うふーん。」
・・・・・。
次。
2チャンネル・・・・・飛んで、5チャンネル。
内容とかほぼエロで構築されてたせいで飛ばすしかなかった。
こいつら、アホだ。
もうどうしようもない色狂いだよ。
で、こいつは・・・・・。
「パンが無ければケーキを喰いなさいよ、この下民が!」
・・・・・。
おい。
「マリー・ア◯トワネットか!?」
革命起きるぞ!?
首チョンパしか待ってねーぞ!?
早死にすんぞ!?
・・・・・。
もういいや。
映すタイミングが悪かったかもしれん。
時間を調整して、次。
6チャンネル 旅人君(仮名)。
*****
「・・・・・。」
俺は目を開ける。
そうして窓を開けて、目に飛び込んでくる景色を楽しむ。
ま、朝一番に宿屋から見る景色と言うのも良い物だとは思うが。
俺は今、レポルテと呼ばれる町にいる。
転生前の場所で近い場所と言えば、あれだ。
ベネチアと言ったか?
水や川がかなり良い感じにちらほらと見受けられる。
ボートによる橋渡しなど、実際に見ることは無いだろうとは思ったがこうやって見るのもいいと思う。
ともあれ、チェックアウトをせねば。
「またのご利用をお待ちしております。」
そんな言葉に見送られ、街の散策でもしようと思う。
「ん?」
ふと、気になる光景が目に入った。
何と言うか、ベニヤ板の様な物が等間隔で川の上に浮いている。
「は?」
俺は、その光景を見て少々目を疑った。
道行く人が、その上を渡っている。
流石に驚いた俺は、その板の前まで来る。
触ってみると、何て事は無い、石の上に板が・・・・・。
だったらよかったのだが、本当にベニヤ板だった。
どうやって渡っているというんだ、これ・・・・・。
わけが分からない。
俺が貰った能力でもできるかどうか微妙なところだというのに、これは・・・・・その、どうしたもんだ。奥が深い物だ。
ともあれ、そろそろ飯にしようと思う。
こんな所なんだ、さぞ美味しい海鮮料理が出て来る事だろう。
「いらっしゃいませ。」
取りあえず、目についたレストランに入り、
「あ、すみません。このシェフの気まぐれランチと言うのを一つ。」
「はい、畏まりました。」
さて、どんな海鮮料理が出て来るのやら。
エビか貝か、それともイカか?
普通に魚でもいいが。
「お待たせしました。」
と、ウエイターが持ってきたものは何と・・・・・。
肉料理だった。
おいおい・・・・・こんな水の町って感じの場所だぞ?
普通は魚を出すだろーに。
どうしたもんかね、すっかり俺の口は魚だったってのに・・・・・。
はぁ、ぼやいても仕方がないか。
「いただきます。」
・・・・・。
魚だ。
魚を食いたい。
せっかくこんな所に居るんだ魚を食わねば来た気がしないでは無いか。
「すみません、魚のフライお願いします。」
何か負けた気がしないでもないが、やっぱり食べとかないとな。
店の窓から見える景色を眺めつつ、そう思うのであった。
*****
「・・・・・あれ?俺っていつから旅番組見てたっけ?」
『旅番組云々の前に、俺をどけてくれ・・・・・シグ・・・・・。』
「こいつのあだ名・・・・・暫定的ではあるが、ゴローちゃんと名付けよう。食い物がらみで。」
『スルーかよ・・・・・それと、それは色んな意味でやめとけ、シグ・・・・・。』
「そうか?、7チャンネルのクラウス君は、と・・・・・・おぉ、どこの刀鍛冶だ?弟子入りして頑張ってるな・・・・・君のストーリーはとりあえず、一人前の工房持った辺りで伺うとするよ。」
『あいっからわずメテぇ・・・・・。』
「うるさいよ、スカル。出かけるからいつまでもそんなとこで寝転がってるな。邪魔で仕方がない。」
『てめぇが原因だろ!?で、どこに行くんだ?』
「ウォル太のとこ。せっかくなんだし、直接見てみようかなってな。後、もう一人も一緒に行動してるようだし。」
と言って俺は営業モードの格好になる。
服装は、ジャージに見えるけど、ジャージっぽくない。それでいて少しジャージっぽい恰好である。
ぶっちゃけジャージだが、ファンタジー世界観で不自然ではない感じにこそなってはいるが。
『結局それジャージじゃねーか?』
「ポリエステル繊維じゃねーからジャージっぽいってだけだし、大丈夫だろ?ユウ、居るか?・・・・・居ないのか。ハイドは・・・・・後でボコるか。こんな時にナンパに精を出しやがってあの道楽男。」
ぶつくさ言いながら、俺は分身を作る。
さて、準備完了。
出かけて、久しぶりに友人の顔を拝むとしましょうか。
次、ウォル太君をはっちゃけさせます。
ついでに、彼視点の展開で進めます。




