第十話 亡霊さん、いらっしゃい
キャラたぶん増えます。
で、待つこと一時間。
一向に現れません。
「釣れねぇな。エサが悪かったかな・・・・・?」
『そ、そんな事はいいから早く外し・・・・・ふごっ!?』
うるさいのでその辺にあった玄翁をスカルめがけて振り下ろした後、家の中を探索することにした。
中は、地下一階、地上五階に及ぶ結構しっかりした建物だが、ほかに人はいない。
まあ、丸ごと買ったってのもあるが。
一階と二階は、店に使えそうな内装となっている。
二階へは、吹き抜けで一階と繋がっており、一階と二階とセットでやってたのだろう。
ちなみに地下は工房として使えそうな感じだった。
三階以降は、店内の奥、裏の勝手口の様な所にある階段で移動するようになっている。
雑居目的だったのだろう。
三階より上はマンションの様な感じだし。
地下、一階、二階、三階と見て行って、不穏な空気を感じたのは四階だった。
ま、地下も少しは感じたが。
四階の一番奥の部屋。
そこだけ他の所と違って、ドアを埋め尽くすほどの護符が張られていた。
「ここか。」
釘などで徹底的に封鎖していたようだが、面倒なので力づくで開ける。
中は、
「これは・・・・・。」
酷い。
その言葉しか出てこない。
部屋中を埋め尽くすがごとく怨嗟の文字、それがテーブルやコップ、果てはペンなどの小物にまで描かれている。
そしてひときわ目立つのが、大の大人でも確り全身を映せるであろう大きな鏡。
俺は部屋の真ん中まで来る。
すると、お約束と言うか何と言うか、突然ドアが閉まった。
そして充満する瘴気。
この世の物では無い事が今から起きるという雰囲気である。
普通ならパニックの一つでも起こすのだろうが、承知の上でここに居るわけだから、どうでもいい。
「来た・・・・・。」
そして、主役が来た。
鏡から貞子のような亡霊が。
ゆっくりと歩みを進めてくる。
そして、鏡のすぐ前まで来る。
来る。
きっと来る。
そしてきっと見える。
で、
パリィィィン、と鏡が割れる。
鏡の破片が俺めがけて殺到するが、
「『障壁展開』。」
防ぐ。
で、割れた後を確認したが、何も無かった。
「気のせい・・・・・?」
いや、気のせいでは無いんだろうけど。
言って見ただけだ。
まだ終わってないし。
こう言うのは、安心した感じに後ろを向くと、
『―――――!!!』
何を言ってるの分からないが、恐らく凄い怨嗟を感じる亡霊貞子さん。
呪い殺す気満々です。
効きませんが。
『―――――!!!』
で、俺の肩掴んでがくがく揺さぶってます。
かれこれ五分も。
暇なのでこいつのサイコメトリーとかやったけど、やっぱり何か。
ぶっちゃけウザくなってきた。
「付与、『理性』。」
とりあえず殺すこと前提で?話は聞いてやろうと思う。
与えた途端大人しくなり、
「・・・・・あれ、何で私の能力が・・・・・どうして・・・・・?」
「さて、話が通じるようになったところで、君は?」
「・・・・・。」
「だんまりか。ま、いいか。どうしてここに居続ける?」
「分からない・・・・・。」
「分からない?」
「誰も構ってくれない、誰も気付いてくれない。誰も私から遠ざかっていく。どうして?私は・・・・・何も・・・・・。」
・・・・・。
こいつ、無自覚で亡霊になったタイプか。
抒情酌量の余地あり、と。
「君は、どうしたい?」
「え?」
ま、どうしたいのか位は聞いておくべきだろうね。
「分かりません・・・・・。」
「ま、いいや。少し話に付き合ってくれ。君は此処と言うより、地下にいるような感じなんだよね。」
「?」
分からないらしい。
ま、とりあえず。貞子(仮)を地下に連れて行く。
「ここに何かあるんですか?」
「ちょっと見ててくれ。」
ツルハシをだし、地下の床を砕く。
「やっぱりまだあった・・・・・。」
「これは・・・・・?」
床を砕いたところに、白骨死体があった。
これは・・・・・。
「君だった物だよ。」
「・・・・・!そうだ、私は・・・・・あの時・・・・・。」
何かを思い出したらしい。
こんな簡単に思い出せるはずが無いのだが、俺が仕込みをやってたのは言うまでも無い。
「どうして?どうして・・・・・?あの時、守るって約束してくれたのに・・・・・?どうして・・・・・?」
その場に崩れ落ち、ぼろぼろと泣き出した。
無理もない、のか?
「で、君はどうしたい?君が望むなら、成仏させてやるくらいはできるが。」
本来は問答無用で成仏させるつもりだったが、こんなの見ちゃうとね・・・・・。
「私は、もうどこにも居場所がありません。だから・・・・・。」
「もう一回生きてみるって気はある?」
「え?」
「もう一回生きて見ようってのなら、叶えてやれる。」
「わ、たしは・・・・・。」
「答えは聞くまでも無いな。やるぞ。」
「はい!」
さっきの顔はどこへやら、笑顔で反応した。
しかし、かわいい子だ。




