第九話 家探し?
で、飯食って寝て翌日。
チェックアウトして町をぶらついています。
「朝の市場ってここまで騒がしいんだな。」
やる事も無く、ただぶらついています。
でもこう言う所に来たからには、市場とか覗いて見たくなるのが性分という奴である。
予想に違わず、結構騒がしい。
こういうのもいいなと思う。
まったく気分は観光旅行である。
『(勇者とか作らなくていいのか?)』
「(時期尚早だよ。早くて半年、遅くても三年後には作ろうとは思ってるけど、魔王殿の動向に合わせないと面白くないだろ?)」
スカルに仕事の心配をされたが、すぐに作っても意味が無い。
倒すべき敵の名が確り広まってからでは無いと、意味が無い。
それでは歴史に残るような話にすらならない。
そう考えていると、
「おう、兄ちゃん!これ買ってかねーか?安いぞ?」
いきなり話かけられたので、そっちを向いたら焼き鳥の様な物を売ってる屋台の人が焼き鳥っぽい物を買ってほしいようだった。
「あ、じゃあそこのを一つ。」
「あいよ、銀貨一枚と、銅貨三枚な。」
「んー。二つ買うから銀貨二枚にしてくれない?」
「兄ちゃんセコいね~。ま、いいけど。銀貨二枚。」
焼き鳥の様な物を買い、さらにぶらつく。
うん、塩味が効いてうまい。
市場をぐるっと回り、商店街の方にも足を向けようとしたが、
「ん?」
少し目に留まるものがあった。
こんな活気のあるところで、一つだけぼろぼろの空き家がある。
そちらの方に向かってみると、看板が打ち付けられており、
(空家、購入者募集。連絡先は・・・・・)
と書かれていた。
もう何年もそうであったらしく、看板の文字の所々が、剥げて読めなくなっている。
普通は、すぐ購入先が見つかりそうなものだが。
こんな立派なところに建っているのだから。
『随分長いこと買い手が見つかって無ぇみたいだな。』
「だな。これの連絡先ってどこだ?」
『買う気か?ちょっと時間寄こせ・・・・・。』
こう言うのは、大概アレである。
裏口とかのカギが壊されており、ガキの遊び場になってたりするものだ。
で、道なりに裏口に回って見たが、
「?」
鍵は壊されていない。
前の方とは打って変わって、少々おどろおどろしさを感じる。
ドア、窓、排気口などの僅かな穴に至るまで木で塞いであり、その上には護符の様な物が大量に張り巡らされている。
「・・・・・なるほどね。」
『ああ、この家〈出る〉な。』
『出る』なら仕方がない。
空家であると言うのは。
しかし、そんな物は俺には関係無い。
「買うか。買って俺の家にして幽霊ぶち殺すか。もう死んでるけど。」
『そうか。どうもこの家、この騒動で不動産屋が商会ギルドに払い下げたらしいから、頼むとしたらそっちだな。』
「じゃ、商会ギルドの方に案内してくれ。」
『了解。』
そうして俺は、商会ギルドの方に向かった。
最初はガキだと思ってあしらわれかけたが、大金積んだら手のひら返すように反応変えやがった。
何処の世界でもこの手の人たちはそんな物なのかもしれないが。
「あの、お客様。本当にここで良いんですか?」
「うん、ここで良いよ。それが?」
で、十分ほどして件の家の中にいる。
紹介で連れて来られたらしい人は、俺に何度も何度も確認を取る。
この人は俺の事を考えて言ってるのだろうが、上司らしい人に、絶対契約取って来いとも言われているのを俺は能力を使って知っている。
上客だろうしね。
「お客様は知らないかとは思うんですが・・・・・。」
「『出る』って?そんなの怖がってたらやってけないよ。」
その辺の対策はもう取ってるから大丈夫だし。
むしろ対策講じて無かったら買う気も無いし。
「分かりました。こちらが権利書になります。それでは。」
「うん、何かあったら連絡します。」
そう言って俺は権利書を受け取り、担当らしき人は帰って行った。
さて、やるか。
スカルを生贄にして。
『今回無しだと思ったのに!?』
剣山に刺して、
『ちょ!?い、痛い!痛いいたいイタ・・・・・アッー!?』
さて、掛かるのを待つか。




