62.金と天国
「愛ちゃんは彼氏いるの?」光安が尋ねた。二人は道をゆっくりと歩いている。
「いませんよ」
「そうなんだ。愛ちゃんなら彼氏がいそうだけどな」
「うちは女子高なんで、そういう話には縁がないですね」愛が笑った。
「光安君は彼女とかいないんですか?」
「俺、地元じゃ暴走族やってるから、怖がって女の子は誰も近寄らないよ」光安はため息をついた。
「大変なんですね」
「そうなんだよ」
「ところで、愛ちゃんは何でこのゲームに参加したの?」
「内緒です」「光安君はどうなんですか?」
「俺はくだらない理由だよ」「ただ金が欲しいだけさ」光安は俯いた。
「シンプルでいいじゃないですか。下手な理由より、そっちの方が納得できますよ」
「はは、愛ちゃんは優しいんだな」
「そうですよ。私は天国に行きたいんですから」
「天国か……」光安は空を見た。
二人の前方では、司と祥子が会話をしていた。
「お嬢ちゃん、何でこのゲームに参加したんだ?」
「それは秘密です」
「そうか。てっきり金が欲しいんだと思っていた」
祥子は無言だった。
「司さんはどうなんですか? お金が欲しいんですか?」
「俺は極道だ。自分の組が欲しい。まぁ、立ち上げるのには金がいる」
「世の中、金なんですね」
「そりゃそうだ。金があれば大抵のことはうまくいく」
「お金か……」
「しかし、十七歳でよく参加を決めたな? 死ぬのが怖くないのか?」
「ノーコメントです」
「司さんは死ぬのが怖くないんですか?」
「戦って死ぬなら本望だ。何にもチャレンジせずに死ぬ方が怖いな、俺は」
「司さんは普通の大人とは違いますね」祥子が笑った。
「それは褒め言葉か?」
>>登場人物
鈴木才華17歳
大田六三郎49歳
斎藤司36歳
後藤光安17歳
宮内祥子17歳
武田愛17歳
武田東二30歳
>>設定資料
L115A3。ボルトアクション式の大口径スナイパーライフル。射程距離は1,500m。弾はマグナム弾。
コルトSMG。サブマシンガン。装弾数32発。




