30.仮眠
大田は学校の門の所に来ると、門を調べた。
「大田さん、何をしているんですか?」才華は不思議そうな顔で尋ねた。
「あぁ、ちょっとした仕掛けをしておいた」大田は屈み込むと、門と門に結んだ糸を才華に見せた。
「これが切れていたら誰かが侵入している証だ」
「面白いですね」
「単純な仕掛けだが意外と効果がある。それと、あそこの小屋が見えるか? あそこはトイレだ。汲み取り式だから今も使える。意外と綺麗だった」
「良かった。ちょうど、トイレに行きたかったんですよ」
「これも持って行きな」大田はティッシュのボックスと除菌用ウェットティッシュを才華に渡した。
大田は一足先に校舎の二階に上がった。窓から外を見渡す。大田の双眼鏡は夜間でも使える赤外線暗視機能が付いた物だった。
「大田さん、外が暗くても見えるんですか?」戻って来た才華が尋ねた。
「一度、覗いてみると良い」大田は双眼鏡を渡した。
「へぇ、夜でもちゃんと見えます」
「才華ちゃんのスコープには暗視機能が無いからな」
「月明かりが頼りですね」
「ところで弁当はどっちにする? ハンバーグ弁当と唐揚げ弁当がある」
「私は唐揚げ弁当が良いです」才華は弁当を受け取った。
「俺は二個食べる。才華ちゃんは一個で足りるか?」
「はい」
二人は弁当を食べ始めた。
「結構、美味いな」大田は外を見張りながら弁当を食べている。
「美味しいですね」
「さて、次は交代制で睡眠を取る。四時間ごとに交代だ」「最初は才華ちゃんが休め。俺が見張る」
「はい」才華は床に寝転ぶと、リュックを枕の代わりにした。
「おやすみなさい。大田さん」才華は目を閉じると、深い眠りに就いた。体がとても疲れていた。何も考えられない程に。
>>登場人物
鈴木才華17歳
大田六三郎49歳
>>設定資料
L115A3。ボルトアクション式の大口径スナイパーライフル。射程距離は1,500m。弾はマグナム弾。




