13.それぞれの思惑②
菊池友康は歌舞伎町の売れないホストだ。年齢は二十一歳。武器は斧。店では雑用と掃除を担当している。彼は会話が苦手なため、ヘルプにも呼ばれなかった。友康はホストを辞めようと思った。先輩からドゥームズデイの噂話を聞き、参加を決意した。
遠藤茜は大学生だ。年齢は二十歳。武器は【デザートイーグル】。マグナム弾を連射できる、世界最大級のハンドガンだ。保育士を目指す彼女はホスト通いに嵌っている。お金はパパ活で稼いでいるが、それでは足りなかった。推しを店で一番にするため、ドゥームズデイに参加した。
「これからどうするの?」茜が友康に尋ねた。
「最初は様子を見た方がいいと思う」
「誰か殺さないの?」
「何で殺したいの?」
「一人、一千万だよ? こんなチャンス、滅多にないわ」
「様子を見た方がいいよ」
「あんた、使えない奴ね」茜は地面に唾を吐いた。
「確かに俺は使えない奴だけど、命が掛かっているんだ。冷静になった方がいいよ」
茜は【デザートイーグル】を構えた。
「俺を殺してどうするんだよ? 一人で戦うのか?」
「一人の方がいいかもね」
「本当に落ち着いた方がいいよ。一人で戦うのは無謀だ」
「あんた、少しは度胸があるのね」「まぁ、いいわ」
「はぁ、茜さん。勘弁してよ」友康はため息をついた。
多田裕也は真面目な銀行員だ。年齢は三十五歳。武器は工事用ハンマー。地方銀行に勤める彼は優秀な男だ。家族に恵まれ、生活に不自由は感じていなかった。だが、裕也は酷く退屈していた。繰り返す毎日、見慣れた風景、味のしない食事。(どれもこれもつまらない)部下からドゥームズデイの話を聞くと、裕也は静かに参加を決意した。
安達信二はスーパーマーケット内を清掃する清掃員だ。武器は鉄パイプ。信二も人生に退屈していた。同じところを掃除し、何度も繰り返す作業が苦痛だった。独り身の彼は寂しかった。自宅で飲む焼酎が唯一の楽しみだった。(幸せなのだろうか)彼は疑問に思う。ドゥームズデイのことを知った彼は、新しい人生を夢見た。
「退屈だ」裕也は呟いた。
信二は何が退屈なのか理解できなかった。(変な奴と組んじまったな)
二人が道を歩いていると、一人の男が走って来た。信二は男を止めた。
「どうしたんだ?」信二が尋ねた。
「仲間が殺された」男は呼吸が乱れている。
「それは災難だったな」
「あんたも気を付けた方がいい。恐ろしく強かった」男は震えている。
「そんなにか?」
「あぁ、動きが全然見えなかった。あれは化け物だ」男は涙を浮かべた。
信二は恐怖を感じた。
「あぁ、退屈だ」裕也はゆっくりと工事用ハンマーを持ち上げる。そして男の頭にハンマーを振り下ろすと、男の頭は潰れた。「あぁ、生きてる」「生きてる」
信二は言葉を失った。(こいつは一体、何なんだ?)
「あぁ、生きてる」裕也は恍惚としていた。
>>登場人物
菊池友康21歳
遠藤茜20歳
多田裕也35歳
安達信二32歳
>>設定資料
デザートイーグル。マグナム弾を連射出来る、世界最大級のハンドガン。




