10.武器
隣のホールには毒島が待機していた。毒島は腕時計を見ている。
「そろそろ、時間でーす」「斎藤くーん。合計は?」
「三百五十組ですね。チームを組めなかった五十名余りは帰国です」
「三百五十組、今年は七百名の参加が決定でーす」
「武器を支給しますが、専門家のレクチャーがありまーす」
「レクチャーが終わった順番で会場に入ってもらいまーす。地図はその時にお渡ししまーす」
「今回の会場はゴーストタウンでーす。元々は炭鉱の町でーす」
「あぁ、始まるのですね。狂気のドゥームズデイ」
「誰が優勝するのか? わくわくしまーす」
「それでは順番に武器を支給しまーす」
大勢の人が列に並んだ。才華と大田も急いで列に加わった。「しかし、あれだな。あいつのテンションは異常だな」と大田が呟いた。
「今からみんなを処刑しまーす」才華は毒島のものまねをした。
「あはは、似てるよ。才華ちゃんは才能があるな」
「多分、誰でもできますよ」才華は少し恥ずかしかった。
「大田さん、傭兵って何ですか?」
「戦争や地域紛争が起こると、大抵、兵士を募集するんだよ。そこで稼ぐのが傭兵だ。報酬はピンキリだけどね」
「人を殺したこともあるんですか?」
「人を殺すのが商売だからな」
「私、人を殺せるのかな?」
「難しい話だね。殺さなきゃ殺される。永遠のテーマだな」
才華は大田の話を聞いて妙に納得した。殺さなきゃ殺される。しかも、夢佳の命が掛かっている。美和の話を思い出した。大義名分か。
「才華ちゃんは年齢幾つなの。俺は四十九歳」
「私は十七歳です。大田さんは年相応に見えないですね。若く見えます」
「ありがとう。十七歳か、迷う年頃だな」
二人で会話をしていると、才華たちの順番がやって来た。机の上にパソコンが載っている。毒島はパソコンの前に座っていた。スタッフの男がプリンターで紙を印刷すると、先に大田が呼ばれた。
「貴方の武器はサバイバルナイフです」「レクチャーは要りますか?」
「いや、レクチャーは遠慮するよ」大田は才華を待った。
スタッフが再び紙を印刷すると、次は才華が呼ばれた。
「貴方の武器はスナイパーライフル【L115A3】です」「レクチャーは要りますか?」
「はい」才華はレクチャーを受けることになった。
「俺はあそこの控室にいるから終わったら来てね」大田は控室を指差した。
レクチャーは女性スタッフが担当することになった。
「このライフルはボルトアクション式のライフルになります」そう言いながら、弾の込め方と排莢の方法を教わった。
「実際にやってみましょう」才華は不器用ながらも薬莢を取り出し、弾を込めた。
次は撃ち方の姿勢を教えます。大事なので、しっかり覚えましょう。
「①スタンディング(立射)、②ニーリング(膝射)、③シッティング(座射)、④ブローン(伏射)です。では、ライフルを構えて下さい」
才華は順番にライフルを構えると、何度か失敗した。
「失敗は誰にでもあることです。後でまた練習しましょう」
「スコープを覗きながら照準を合わせます」才華はニーリング(膝射)をしながらスコープを覗いた。
「あの的を狙って引き金を引いて下さい」
才華は的に向かって引き金を引いた。タンという音と共に弾丸が発射された。弾は的の中心よりやや右下に当たった。
「筋が良いですね。次はスコープの調整、ゼロインを教えます」
>>登場人物
鈴木才華17歳
大田六三郎49歳
毒島?歳
斎藤?歳
>>設定資料
L115A3。ボルトアクション式の大口径スナイパーライフル。射程距離は1,500m。弾はマグナム弾。




