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第12話 魔法少女桜の初恋 後編

その日から私は何となく佐藤君の事が気になってしまっている。

お昼ご飯はいつも友達と2人で食べている事や見た目だけでなく運動や成績も平均的だということ。

そして困っている人を見つけると迷わず手を差し伸べてしまう人だという事がよく分かった。 

「あのー、桜さん

 いい加減認めてもいいと思いますよ?」


「それは何の事を言ってるつもり?」


自室で今日の授業の課題をやっている時にベレトが今一番触れて欲しくない話題に触れてきた。

「それはもちろん、桜さんがあの少年に恋をしてい

 る事をですよ

 おめでとうございます、これで心置きなく魔法少

 女をやれるんじゃないですか?」


「だから、元々のハードルが低かったから少し良い

 ように見えてるだけだって」


「ホントですか〜?

 あ、そういえば私佐藤君の好きな女性のタイプを

 聞いちゃったんですけど、好きじゃないというな

 ら桜さんに教える必要はないですよね〜」


「何いってるのよベレト

 あなた学校に行ってる間はずっと私のカバンの中

 で寝てるじゃない」


「いやー珍しく起きてまして、桜さんがトイレに行

 ってる間にたまたま聞いちゃったんですよ

 私悪魔なんで耳が良いんです」


「なんか嘘くさいわね

 まぁでもせっかくだから聞いておこうかしら

 平均的な男性の意見はこれからの私の高校生活で

 役に立ちそうだしね」


「まったく、素直に聞きたいって言えば良いのに

 佐藤君は頼りがいのある女性が好きだと言ってい

 ましたよ

 そしてその後、友達からお前Mなのかよとからか

 われていました」


「へぇーそう

 頼りになる女性ね」


(まぁまぁ可愛い顔しちゃって

 気づいてないでしょうけどイケメン彼氏君と付き

 合っていた時はそんな顔したことありませんでし

 たよ

 これは結果オーライというやつですかね)


次の日、珍しく私はギリギリの登校になってしまい学校へ着くと何やら生徒たちが校庭へ避難していた。

担任の金井先生を見つけ何事か聞いてみると

「いや、実は不審者が校内に侵入したらしく

 そいつが悪魔のコスプレをしていて見るからに怪

 しそうだったもんで皆を避難させているところ

 だ」


ん、悪魔のコスプレということはまさか。

そういえば

「向井君が見当たりませんけど

 まだ登校していないんですか?」


「それが、取り残されている生徒がいるかもしれな

 いから放送で呼びかけるといって校内へ戻ってし

 まって」


なるほどね、向井君ならやりそうだわ。

ということは佐藤君が見当たらないのはその向井君を追って自分も校内に戻ったというところかしら。

仕方ない、学校に現れたのならやるしかないか。

「とにかく、天野も大人しくここで待機して、、

 あれ、どこいった天野?

 まさか」




「ベレト、悪魔の居場所分かる?」


「どうやら放送室の方に向かっているようです」


「放送を聞いてその放送をしている人間を襲おうっ

 てところかしら」


私たちが放送室に着くと放送室のドアの前で左腕にかすり傷を負った佐藤君が向井君を庇っており、それを悪魔が襲おうとしているところだった。

私は物陰に隠れて魔法少女に変身した。

辺りが光で覆われキューンという効果音とともにスティックを手にし2人の前に現れた。まず佐藤君が私の姿を見て言った。

「え、誰?

 金髪ツインテールのコスプレ少女?

 ピンクと白の衣装とはいかにも王道といった感じ

 だけど」


「えっとここは私がなんとかしますので

 お二人は早く逃げてください」


2人とも今は逃げる事が優先だと分かっているため

ありがとうとお礼を言いその場を立ち去った。

「さてと、私の学校でよくも好き勝手やってくれた

 わね」

 

「なるほど、貴様が腰抜け悪魔どもが用意した我々

 への対抗策という魔法少女か

 悪いが私は今まで貴様が葬ってきた奴らとは格が

 違う

 貴様を一撃で片付けてここの連中を全員悪魔の奴

 隷にしてやろう」


「そんなことさせるわけ、、、」


その瞬間紫色の魔法弾が私に向かってきた。

私は受け身の体勢を取ったがあっという間に校舎の端まで叩きつけられた。

(強すぎる、たった一撃で体がもうボロボロ)


「まったくたわいもない

 こんな小娘に部下どもはなにを手間取っていたの

 やら」


部下? そうかこの悪魔は今まで倒してきたやつらの隊長ってところか。


「ん、ここからさっきのガキどもが見えるな

 よし、やつらを殺して見せしめにし

 他の連中に抗いようのない恐怖を与えよう」


そうか、ここからだと出入り口付近にいる佐藤君たちを狙えるんだ。

このままじゃ佐藤君が死んじゃう

ヤダ、それはダメ

彼は人のために躊躇なく自分を犠牲にしてしまう人だ

私が守るんだ、わたしが、、、守ってみせる!


その時ステッキに強大な魔力が宿ったのを感じた

これならこの悪魔を倒せる。


「フルパワーマジカルバースト!!!」


私の放った桃色の魔力砲は悪魔の体を貫きその悪魔を消し去った。

「はぁ、はぁ、はぁ

 何とか倒せた」


「いやー、さすがです桜さん」


「あのさ、ベレト

 本来私にこんな力ないはずなんだけど」


「それは、もちろん愛の力です」


「え、愛?」


「そうです魔法少女は愛の力で強くなる愛の戦士な

 のです」


「え、でも中学生で付き合っていた時は何も変化な

 かったのに」


「それは桜さんが本当にその人の事が好きではなか

 ったからです

 周りが付き合っているから私も付き合おうとか軽

 いノリでしたし」


「なるほど、それなら納得い、、、

 ん、ちょっと待って

 それって私が佐藤君のこと本気で好きってことに

 ならない?」


「はい、そうなりますね」


「それなら絶対違うから

 きっとアレよ

 火事場の馬鹿力ってやつよ

 うん、そうに違いないわ」


「はぁ、いい加減認めて欲しいのですが」


「いいから、早くこの状況をなんとかしてよ」


「はーい、じゃあやりまーす」


その後ベレトの力で校舎は元通りに戻りみんなの記憶も書き換えた。

不審者が来て向井君が襲われそうになったが佐藤君がそれをかばい怪我を負ったが2対1という状況にその不審者も焦り逃げていったという事になっている。


次の日、私が学校に登校すると向井君が佐藤君になにやら親しげに話しかけていた。

「ホントありがとう、優一

 君のおかげで助かったよ」


「いや、そんな大したことしてないし

 何でいきなり下の名前?」


「いいじゃん

 仲良くしようよ」


「お、おう

 まぁいいけどさ」


佐藤君の良さに向井君が気づいてくれてなぜか私も少し嬉しくなった。


「そういえば、向井は天野さんと仲いいの?」


え、私の話?


「まぁ先生から2人で何か頼まれたりするからいい

 方だと思うけど

 もしかしてそういう感じ?」


「いや、違えよ 

 ただちょっと話があってさ

 何か俺が話かけようとしてもうまいこと避けられ

 てる気がして」


そういえば私佐藤君のこと無意識に避けてたかも


「わかった、じゃあ一緒に天野のところに行こっ

 か」


どうしよう、2人がこっちに来る。

落ち着いて、普段通りに振舞えばいいだけ


「天野、優一が話があるみたいなんだけどちょっと

 いいかな」


「う、うん

 大丈夫だよ」


「えっと、先輩たちから助けたあの子が天野さんに

 もお礼をしたいって言ってるんだけど連絡先教え

 てもらっていい?」


「そ、そっか

 じゃあ交換しよう」


その後私たちは連絡先を交換し

「ありがと、後で連絡するね」

と佐藤君は言って自分の席に戻っていった


連絡先を交換しただけだというのにどうしてこんなに心がざわついているのか。

もう答えを出ている。

そう、私天野 桜は佐藤 優一が好きなのだ。


この時はまだ私があんな過酷な戦いに巻き込まれていくなんて想像もしていなかった。

 

注 今回も神原さんの漫画の内容です

  次回から本編に戻ります

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