マリヤ 其の九
彼女は病室のベッドに座り、遺された彼の法衣の紐を指先で弄んでいた。
それが、ヴァーサから残された唯一の品だった。
葬儀には出たくなかった。行って何になるというのか?
人殺しが葬儀で弔辞を読むなど、いつから許されるようになった?
どうやってここへ来たのかも、なぜここにいるのかも思い出せなかった。
ある瞬間――それがいつだったのか確証はない――が、彼女の中の因果の糸を完全に断ち切ってしまったようだ。今の彼女は、情報の海に投げ出されていた。記憶の断片が、暗闇の中から潜水夫のように浮かび上がってはまた沈んでいく。目の前で、無秩序な映像と音が入れ替わり立ち替わり現れる。美しいものもあれば、醜いものもある。中には、這い上がってきたばかりの深淵へと再び突き落とされないように、必死に逃げ出さなければならないような恐ろしい記憶もあった。
ヨハネ。
ヨハネの顔。
そう――彼女は、あの薄茶、漆黒、そして黄金色が入り混じる瞳と、その微かな微笑みをはっきりと認識していた。目の端で陽気に踊るように刻まれた細い笑い皺。そして、視線を惹きつけてやまない、衣服に施されたかすかな青い刺繍を。
そう、ヨハネのことだけは分かった。文脈やあらゆる意味から切り離されたこの混沌とした視界の中で、彼の姿を認識できるというだけで、彼女の心は少し安らいだ。
「人が無謀にも破滅へ突き進もうとする時――運命がそう定めたのなら――いかに善意の忠告であろうと、その濁流を止めることはできない」
彼は淡々と言った。死者の名前を口にすることは避けていた。
「君は私を責めたね。自分がうわ言で何を口走っていたか、もう覚えていないだろうが……私が君たちを死地へ追いやったのだと。それは違う。私は『君』を死地へ追いやったわけではない。自分自身の価値を過小評価してはいけないよ。私がどれほど君を案じているかもね。君にそれが見えないのは、正義を受け入れることをためらっているからだ。罰されるべき者を正当に罰することをためらった。その『ためらい』が何を引き起こしたか、これで分かっただろう?」
彼女は途方もない労力をかけて、彼の言葉の一つ一つを、頭の中の映像や感情と結びつけようとした。しかし、それらは砂のように崩れ落ちてしまう。やがて彼女は風に抗うことを諦め、彼の言葉の激流に身を委ね、その温もりに包み込まれるがままになった。
「この世界のことわりの糸を解きほぐそうとする者たちに対し、神の鉄槌となることをためらってはならない」
彼は車椅子を彼女のベッドの縁に引き寄せ、半ば立ち上がるようにして彼女を抱きしめた。
片手で、まるで赤ん坊をあやすように優しく彼女の髪を撫でた。
彼に触れられたのは、それが初めてのことだった。
「Mein schöner, kleiner Hexenhammer……」
「我が麗しき、小さな魔女への鉄槌よ……」




