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3−27.尖鉄都市、攻め入られる

開幕。


多数の僧兵が隊列を組んで攻め込んでくる。


先頭は長槍とシールド持ちで、その後ろには頭上に盾を掲げる者が追随。


城壁の上から狙い打たれるのを防ぐための作戦であり、実際ウェアウルフたちが放つ矢は殆ど防がれている。


だが、それは想定内だ。


「ギフト、放てぇ!」


グレインの号令とともにギフトが放たれる。


炎、氷、風に雷。


種類は様々で、それを放つのは転生者たちだ。


転生者と僧兵。


そこにはギフトの数と質において、圧倒的な差が存在する。


焼き尽くし、凍らせ、切り刻み、感電させる。


戦闘系ギフトに恵まれた転生者たちが開けた隊列の穴に、今度はウェアウルフたちが岩を投げ込む。


盾によって阻まれるが、その重量と仕掛けは僧兵たちを殺す。


重量による圧殺。


そして、岩が砕ける事によって内部から溢れる溶鉄。


周囲数人を巻き込んで、高温の液体が人を食らう。


建設班の用意した仕掛けは効果も上々。


僧兵だけであれば、それだけで総崩れに持ち込めただろう。


だが、一神教側は止まらない。


森の木々の間から、僧兵でない物が現れたからだ。


「神の奇跡よ!」


「なんと神々しい!」


「神の聖心は我等にあり!」


それは後方で待機していた聖者の巨像である。


先日カルシャが戦った模造聖遺骸・試作(ドール=ドミニオン)の量産型である模造聖遺骸・量産(シェル=ドミニオン)が、戦闘に加わったのだ。


ギフトも溶鉄もほとんど効かず、巨像は確実に城壁に近づいてくる。


距離があり、移動速度は遅いが、侵入されるのも時間の問題だろう。


加えて、狂信者たちの存在がこの場において凄まじく作用していた。


周囲をも鼓舞し、猛々しく進行するその姿に、他の僧兵たちも萎えかけた闘志を蘇らせていく。


故に進軍は止まらず、城壁の上で指示を飛ばしていたグレインは、ケイオスビーストを前線へ送る事に決めた。


「ケイオスビースト隊は迎撃。城壁組は引き続き侵入を防げ」


そしてグレイン自身も改造によって得た力を使う。


「ーーーー《悪魔の仕立鎧(ブラックサーコート)》、《竜骨の魔剣(ドラゴンキラー)》開帳」


メキメキと音をたてながら、グレインの身体を黒と白の鎧が覆う。


カルシャと同じ悪魔の黒皮に、竜骨で出来たプレートを纏い、顔には竜を模した髑髏兜。


「ツワブキ殿、指揮を頼みます。…ナイトハウンド、グレイン・ソルガ、出撃()る!」


今まで控えていたツワブキに後を託すと、黒竜の獣騎士は城壁から跳んだ。


ここを起点として、グレインたちケイオスビースト隊と巨像、ウェアウルフと転生者の迎撃隊と迫り来る僧兵の戦いが展開される。


まずはケイオスビースト隊。


こちらはグレインを筆頭に、なんとか巨像の進行を抑え込んでいる。


巨像は強いものの、カルシャと戦ったエストの試作機と違って、物理的に大きく力強いだけだ。


そうすると操縦する僧兵の力量とケイオスビーストの実力勝負となり、結果的に経験値の多いケイオスビーストに軍配が上がる。


とはいえ戦力差が大き過ぎた。


ケイオスビーストの10倍の数は、流石に荷が勝ちすぎており、いくら巨像の速度が遅くとも、一対一の状況はすぐに崩れてしまう。


巨像を即破壊まで持ち込めているのはグレインだけで、他のケイオスビーストたちは直ぐに取り囲まれてしまうので、敵の数は予想以上に減らない。


グレインの働きのおかげで、ケイオスビーストが脱出出来ない程の窮地に陥る事はないが、かなり危うい。


現にケイオスビーストたちは確実にダメージを受けていた。


次に迎撃部隊。


こちらはウェアウルフと転生者の混成だが、ケイオスビーストが抜けた事により溶鉄岩を投げる者がいなくなったため、対処力が大きく落ち込んでいた。


転生者のギフトで僧兵の数は減るが、あとからあとから切りなく補充される。


恐怖心は信仰に消されているようで、それが事態を助長する。


上から見下ろす光景は、すでに血の海。


しかし僧兵たちは味方の犠牲を見ても怯むことなく、すでに城壁付近まで接近している。


間もなく城壁に到達し、越えようとし始めるだろう。


多勢に無勢。


迎撃はその一点に尽きた。


一時的に滞在している勇者アーロに助力を頼む訳にも行かず、状況はジリ貧。


そこへ、さらなる脅威が襲いかかる。


「…!処刑配達人(ドラゴンギフター)か!?」


迎撃班の一人が見つけた時には、それはすでに投下体勢に入っていた。


竜の脚から放り出されるは人型。


爆撃のごとく叩きつけられる人間爆弾である。


当然、直撃を食らった迎撃班は死亡。


そしてさらなる脅威が生まれ出る。


「キチキチキチキチキチキチ………」


死体を貪り、屹立する胴長。


鎌首を掲げる地虫が、一つ、二つと増えていく。


城壁に数体、壁内に数体。


最悪の事態だ。


だが、事態の悪化は更に続く。


唐突に城門が開かれたのだ。


「城門がっ?!」


地虫に対応し始めた迎撃班に、壁を登る僧兵を対応する余裕も、ましてや城門を閉ざす余裕などない。


なすすべもなく全開する城門から、数人が飛び出していく。


「リンドウか…!」


それは転生者リンドウを先頭とした集団だった。


常々いつか裏切るとは言っていたが、まさかこのタイミングとは。


カルシャのやり方に反発していて、同じ思いの奴隷や転生者を連れている。


一神教と密通していたのだろう。


城門を開けて逃げ出したのと入れ替わりで、僧兵たちが城門に雪崩込む。


リンドウたちは僧兵たちに匿われ、そして逃げ場がなくなったところで槍で串刺しにされた。


裏切り者は不要という事か。


死体は踏みしだかれ、すぐに見えなくなった。


僧兵、巨像、地虫に裏切り。


尖鉄都市グリムソルガは、窮地に陥っていた。



後書きウサギ小話

巨像のモデル、編



「そいえば、エストと戦った時の巨像、アイツとそっくりだったわね」


「あの巨像って、多分歴代勇者とか司祭の石像を改造してるのよ」


一方戦場では・・・


「神の奇跡よ!」

「なんと神々しい!」

「神の聖心は我等にあり!」


↑ライナの巨像がベース


知らぬが仏!


完!

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