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プロローグ
『今日は入学式です。
星空学園も入学式ですよね?
ご入学、おめでとうございます。
これからの桜のご活躍を期待しています。』
午前5時ぴったりに届いた1通のメール。
他人行儀にしか思えないこの言葉遣いは嫌味以外の何者でもない。
わざわざ5時ぴったりに送ったのはちゃんと計算した末なのだろう。
正しい計算だ。
私が5時5分の電車に乗ることを想定したのか。
ーー正解だよ、莉愛……。
メールの着信音が鳴り、もう1通のメールを読む。
また莉愛からだった。
『私の入学式は午後からなので、ゆっくりと読書をしています。
憧れの学園生活が迫っている今の気分はどうですか?』
ーーお前のせいで台無しだよ。
そう思いながら電車の到着を待つ。
スマホをしまおうとしたらまた着信音が鳴った。
『が』
どうした、と思いながら画面を見続ける。
『ん』
『ば』
『れ』
が、ん、ば、れ……。
莉愛。
あなたはいったい私に何を伝えたいの?
あなたに応援されても私は。
ーー傷つくだけです。
そして私は迷わず莉愛からのメールを全て削除した。