おまけ
「コンちゃんって、なんでコンちゃんなの?」
急に武道に問われ、武道お手製のスクラップブックを見ていた文音は首をかしげた。
「それって哲学的な意味ですか?」
「あ、違う違う。コンちゃんって呼ばれるようになった理由って何?」
武道が笑いながら言う。
そういえば、呼び名の由来を離したことがなかった。
せっかくなので、素直に教えないことにする。
「先輩、私の本名覚えてます?」
「ん?もちろん。杵築文音さん」
「それがヒントです」
そう言って、にこりと笑って、スクラップブックを見始めた文音を見て、武道は教えてもらえないことを悟る。
「杵築・・・文音・・・あやね・・・?コンちゃん・・・あやね・・・あやね・・・」
思考にふけっていた武道がふと文音を見ると、真っ赤な顔で床を見ていた。
「コンちゃん?」
「いえ、あの、心臓に悪いんで、あまり名前を連呼しないでください・・・」
普段、武道は文音を「コンちゃん」と呼ぶ。
急に何度も名前を呼ばれ、この可愛い恋人は照れてしまったらしい。
(あー、抱きしめたいなー)
素直にそう思い、欲望のままに行動しようか武道が考えていると、文音が顔をパッと上げた。
「第2ヒントです。本名フルネームをひらがなにしてみてください」
「ひらがな?」
自分の野望がかなわなかったことを少し残念に思いつつ、愛しい名をひらがなで思い浮かべてみる。
「あ」
「分かりました?」
ぱあっと、嬉しそうに文音が言う。
「うん。名前の中に『きつね』がいるんだね」
「そうなんです。小学校の時に見つかって、ずっと呼ばれ続けてるんです」
愛着があるのか、そう話す文音の顔は嬉しそうだ。
気付くと、武道は文音を抱きしめていた。
「先輩?」
「・・・コンちゃんに、コンちゃんって名前はよく似合ってると思う。キツネは可愛いし、賢いしね」
「ずる賢いってイメージがありますけど」
「そんなことないよ。・・・でもね、本名も似合ってると思うよ。文音」
名前を読んだ途端、文音はびくっとし、次第に耳が真っ赤になった。
この分だと、顔や首も赤いに違いない。
抱きしめているので確認できないが。
時々はこうして本名を呼び、可愛いところを見ようと武道は心に決めたのだった。
出す機会がなかったのですが、武道側の家族の名前をたくさん考えました(笑)
大石武道=おいしいブドウから来ています。気付いていただけました?
姉は「杏」、父は「礼文=レモン←無理矢理」、叔母は「梨果」、祖父は「頼知=ライチ」、曽祖父は「柿右衛門」、曽祖父の妹は「ウメ」。
お嫁さんズは、普通の名前です。武道のお母さんとかね。
これだけ考えたのに、出せなかったなぁ(^-^;)