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5羽目:告白は手紙派?それとも対面派?

 ……翼ってなんのこっちゃ?

 まさか、知らない内に鳥へと進化していたの?

 いやいや、シーちゃんも言っていたじゃないの、まだ鳥人は実装されていないって。

 自分の背中を肩越しに見ても……うん、やっぱ何もないわ。


「えっと、翼ですか?ヒューマンなのでないと思うのですが……」


「此の世のものに非ず、彼方の汝のことなり。」


「はぁ……」


「万物の理とは常に裏表を持ち、此方と彼方、天と地、光と影の如し。」


 つまり表と裏の世界があって、今ここの世にいる自分には翼がないけど、どっかの彼方にいる自分は翼があるってこと?

 それじゃあっちの彼方にいる自分、空飛べるじゃん!I can Fly(アイキャンフライ)!いや、この場合はYou(ユー)?だけど自分でもあるしI(アイ)??


「汝……名を何と申すか。」


「瑠……ルーイです」


「……ルーイと申すか。理は同時に見ること能わず、それは唯一にして絶対なり。故に、誰一人としてこれを手にすること叶わざりき。されど、汝には理を超越する光の翼あり。その力を活かすべく、これを授けん。」


 怪しいNPCが腕を伸ばし、握りしめていた手を開くとそこには指輪があった。誰も手にできなかったけど、光の翼を持っている君なら活かせるからあげるって言われましても……。


 怪しい以外の何物でもない!幸せの壺の購入じゃないけど、これ受け取ったら多額の借金抱えるとかあったりする?クーリングオフ効きますか?


 うーん、でもここはゲーム……だし、差し出されたから取っていいのかな?

 おずおずと受け取ってからじっくりと見てみると、銀色のシンプルな指輪で外側には光を受けて輝くような白い翼が、内側には闇に沈むような黒い翼が刻まれていた。


「あの……これは……あと、アナタの名前はぁ?」

 質問しようと顔を上げるも怪しいNPCはすでにいなくなっていたので、びっくりして「名前は」と「はぁ?」が合体しちゃったじゃん。そして案の定カラスちゃんもいない。むぅ。


 これ貰ってもいい、のか……?まぁ、たぶん貰ったって事でとりあえず説明見ておこうかな。


 ――――――――――

【二極の指輪】SSS

 カテゴリー:アクセサリー

 装備Lv:15

 スキル:【反転】

 消費SPなし

 CT:1s

 効果:装備するとアクティブスキル【反転】が使用可能。

 一番高い数字を別のステータスに反転させる。

 ―――――――――― 


 うん、見てもわからない!ワタクシまだ箱ある初めて1時間弱(ザクふわ時間込み)の若葉マークなの!SSSって何?!もう1つSついたら空港の要注意(仮)テロリスト二次セキュリティーチェックになるじゃん!


 メキシコからアメリカ経由で日本に帰ろうとしたらチケットに印字されてたんだよね……ウチ危なくないヨ?純粋で清らかな鳥好きな一般市民だヨ?

 ランダム抽選という噂もあるけどね、普通にゲート前で5分ほど個別面談されて終わったけども!


 まぁ、それは置いといて……何か装備レベル15って書いてあるし、どの道今は装備できないっぽいから、あとで澪に聞こうと思い大通りの方へと振り返る。


 すると突如、空から羽ばたく音が聞こえてそちらを見上げると、青い郵便帽を被り、ナナメ掛けに郵便バックを持ったハトが飛んできて目の前の地面に着地した。


「ぎゃんかわハトの郵便屋さんぽっぽぅ!!」


 ハトの郵便屋さんは、うちの大声にビクッとしてからアッ、コイツヤベェヤツカモ……って顔をしつつ、引け腰になりながらカバンから巻いた羊皮紙のような手紙をハイ!とクチバシで渡してきて慌てて飛んで行ってしまった。


 郵便ぽっぽぉ……これ、もしかしてぽっぽからの告白の手紙かな?と心躍らせながら巻いてる羊皮紙を伸ばして開く。


 『from みぃ:やほー、ログインしたよー。ファウストの中央にどでかい噴水があるからそこで待ち合わせしよ。看板持ってるからノックして入室してね。』


 ぽっぽから愛の告白じゃなかったわ。残念無念。

 だけど、やっと澪と合流できる嬉しさに速足で裏路地を出ていく。


 噴水の前に行くとたくさんの露店や人で溢れかえっており、『採掘クエスト:だれでも@3』や『討伐募集:回復@1』と様々な内容が書かれている木の看板を持っている人がひしめいている中で、ひときわ目を引いたのが『鳥類専用@1』という謎めいた看板を掲げた、銀髪ロングのエルフだった。


 その佇まいは静かで凛としており、キリッとした瞳がどこか近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのに、その看板のネーミングセンスはどうなの?ギャップが妙にツボなんですけど。

 木の看板をノックすると淡い色をしたしゃぼん玉のようなドームに包まれた。


「あー……すいません、ウチ人間禁制なんですよ」


「妖怪の里か何かかな?ってか、このドームなに?」


「個別チャットみたいな感じでこの中にいる人だけしか会話が聴こえなくなるんだよ」


 なんという便利な盗聴防止機能!


「ほぉー!すごいね!じゃ鳥話でハァハァ盛り上がっても大丈夫なのね!?」


「あ、通報ボタンおしますねぇ?」


「ゲーム人生を1時間ちょっとで強制終了しないで?」


 そろそろ同類と思われそうなのが嫌だから、チャット閉じて他の場所に移動して話そうということになった。

 自分で作ったくせにぃ……。そして、その木の板ってポリゴンになって消えるの燃えるゴミが出なくて楽でいいねー。


 中央広場から少し外れ、程よく人通りのある石畳の路地をいくつか抜けた先に、目的の場所はひっそりと佇んでいた。

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