6羽目:要注意(仮)テロリスト
みぃはのそりと顔をあげるが、未だにうーんと悩んでは、自分のパネルを出して何やら色々検索をしている。
「んー……このアイテム聞いたことがないし、掲示板見てもそれらしい物が該当しない……のと、SSS装備って数えるほどしかまだ見つかっていないのよね」
「そのSSSって何? 要注意(仮)テロリスト的な??」
いや、逆に何それって質問された。
みぃはインベントリから羊皮紙と羽ペンを取り出して、書きながら説明を始める。羊皮紙と羽ペンで説明とか、とてもファンタジー! そして、リアルと同じ筆跡じゃん、すごっ。
SSS(ユニーク・激レア)
SS
S(高級)
A(中級)
B(下級)
SS辺りまではモンスターを倒したドロップ運や、製造スキルの高い人などから手に入りやすいらしいが、SSS以上はボスやレアイベントからしかでないとのこと。
そして、まだ数えるほどしかないSSSの内のひとつが、この指輪なんですってよ奥さん、アラヤダびっくり。
「と、いうことでファウストでも、街中NPCイベントで依頼やクエストはあるけれども、ルーイのやつは特徴から聞いておそらくランダムエンカウントのイベントNPCなんじゃないかしら」
ランダムエンカウントイベントは運、もしくは何かしらの隠し要素が反応して発生するイベントらしく、検証がしづらい為あまり掲示板にも情報がないんだとか。でも白いカラスだったり、黒いローブの占い師はよくイベントNPCとして掲示板にも出てくるため、うちのやつもそうなんじゃないかと。
うちの場合は指輪の効果から見ると、低レベルの状態でステータス半減していた為なのか、はたまた耐性や回復なども獲得していた事によるイベント発生だったのでは? とのこと。
「ラッキー? ってことみたいだし、(仮)テロリストじゃないから安心した!」
「まぁ……ルーイらしくていっか、昔からよくわからない運の良さ発動してたもんね」
運ね……過去には、ウミ鵜が餌として魚群を狙って飛び込んでくる水中バードウォッチングにいったはずが、リュウグウノツカイが浮上してきて体に巻き付かれた事があったなぁ。
オーマイガッ!! 奇跡だ!! って周りに騒がれたけど、目当ては水中ダイブする鳥なのだ。みんな鳥が見れたのに、うちだけ見れなくて泣いた。帰り道も鳥が飛んでいなかった。
変な運は爆発しているが、肝心の鳥に関する運は……床ドンしてそのままゴロゴロ転がりまわってしまいたい程皆無。鳥愛が漏れすぎてるのかな?
ただ、もふもふしている君たちを愛でたいだけなのに……。あと、あわよくば埋もれたい、そしてついでに突かれたい。
「他にも色々ゆっくりと全部説明したいけど、さすがに情報量多いから、やりながら覚えていくのがいいと思うわ」
「賛成! 頭使うより筋肉が覚えるまで反復するのがいいとおもいます!」
「……脳筋」
そんなジト目で見ないの、筋肉と鳥は大体の事を解決できるって古事記にも書いてあるよ!
それ誤事記ってパチモンなんじゃない? ってバッサリ切り捨てられた、ひどし。
嗚呼、われ痛みを覚えぬ。あの輝けるスワロフスキーに例えし、われが心もとなし。今は砕け散りぬ、もろき玉のごとく。
(※嗚呼、傷ついたよ、私のスワロフスキーのような繊細な心が割れてしまうほどに。)
「え、ココロある……の?」
「これがニンゲンのココロ……ってちがうわ! どこの感情が芽生えたロボットだ! 大変繊細なハートがここに! ありマッスル!」
ボディービルダーのようなポージングで自分の胸を指さす。
「まぁ、バカなやりとりは置いといて……私のギルドにとりあえず入ってみない? その方がルーイもやりやすくなると思うわ」
「バカじゃないやい、鳥バカだけど! って、いいの?! それは助かる!」
「鳥バカは燃えるゴミに捨ててきなさい。ギルマスには変態が来ますって話してあるから安心していいわよ」
誰が燃えるゴミじゃい! ってか、どんな紹介しとんねんこの子はぁ! 安心できるわきゃないがな!
「まてぃ! 変態ってどゆこと?! 無難に友達って紹介しませんか?!」
「いや、普通とか無難だとツマラナイと思って……ね?」
「ね? じゃないのよ……あなた、変態が来ますって人に紹介されたらどうよ?」
「……とりあえず挨拶した瞬間に通報するわね?」
何そのこんにちは! (社会的に)死ね! みたいな殺意高い通報のやり方。
バカ騒ぎはさておき、みぃに案内されながらステータス等の説明を受けつつ歩いていると、目的の場所が見えてきた。
街の東端、石畳の通りを抜けるとそこに建っていたのは、森の入り口に寄り添うように佇む、ログハウスのような木造のギルドハウス。丸太を組んで造られたその建物の屋根には苔がうっすらと生え、煙突からは細く白い煙が立ちのぼっていた。
ギルドハウスの横が庭らしく、そこには畑もありポーション用の薬草なんかを育てているらしい、隅々まで管理が行き届いているのが見てわかるほどきれいに整えられている。
「さっきギルド掲示板で聞いたら、ギルマスとサブマスが待ってるって言ってたから入りましょ」
銀色の羽模様が描かれている丸いステンドグラスがついた木の扉を開けると、話声が外に漏れだした。みぃに続いてドアをくぐる。
「おかえり。その子が言ってた子か」
「みぃちゃん、おかえりなさい! 待ってましたぁ~うふふっ」
すごい、イケメンと美女だ。
ネコミミの生えたお兄さんはクールに両腕を組んでいる。グラマラスなお姉さんは手を胸の前で重ねた祈りのポーズで出迎えてくれた。
「「ギルド|Silver Feathersへようこそ」」
歓迎の言葉と共に木の香りと温かな空気がふわりと流れ、薪のはぜる音がする。暖炉に置かれた鍋からは白い湯気が上がっていた。みぃが軽やかに振り返って、嬉しそうにこっと笑う。
いたずらっ子のような笑顔に、ドキッとした。
「ようこそ、私達のギルドへ。ご新規一名様よろこんでご案内致しまぁす」
居酒屋かよ。
とりあえず、もふもふの鳥一羽おねがいしまーす。




