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VRゲームで鳥をもふもふしたいだけ!  作者: 音夢


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43/66

40羽目:迷子のまいごの子鳥ちゃん?

 スピルカさんとの心温まるひとときを終え、うちはみぃを見てお互い頷く。


「スピルカさん、いろんなこと教えてくれてありがとう。お茶とクッキーもすごく美味しかった!またゆっくり話そうね。時間取りすぎちゃう前に、今日はこの辺で失礼するね~」


「うわ、もうこんな時間でしたか!長々と引き止めちゃってすみません!今日は本当に助かりました。何かあれば、図書館かこの部屋にいますので!」


 名残惜しさを胸に、うちらは次のクエストの糸口を探すべく図書館の方へとまた足を向けた。


「相変わらず、導きは靄のまま?」


「うん、何も変化はないね」


「ふーむ……とりあえず、図書館の中を散策してみようか?全部はまだ見れてないし」


 児童書の整理を手伝っていたので、他のエリアはまだ未踏の地。

 奥へ進んでいくと、そこは図鑑コーナーのようだ。鉱石、化石、星座、鳥……TORI?!目を引いたのは『野鳥図鑑(魔法生物編)』という一冊。


 荒ぶる心を落ち着けて、平然を装いながら図鑑を手に取る。これはきっと、クエストの鍵になる予感がする。私の第六感がそう告げている!

 みぃに「読んでもいい?」と目で問いかけると、ジト目で見られたけれど、やれやれとため息をつきながらも許可が出た。


 みぃは周囲の棚を見て回り、うちは近くの箱型のイスに腰掛けて、図鑑のページをめくり始めた。

 表紙を開くとすぐに、満天の星空を背景に、虹色の翼と長い尾羽を広げて飛ぶ鳥の絵が目に飛び込んできた。


 [フュリーナ]

 分類:光属性魔法鳥類

 サイズ:翼を広げると約1.2メートル

 羽色:昼は淡い銀色、夜になると虹色の光を帯びる

 鳴き声:鈴の音のように澄んだ音色


 [特徴と生態]

 フュリーナは、夜の闇を照らす光の鳥として知られている。羽根には微細な魔法粒子が含まれており、月光を浴びることで発光する性質がある。伝承では、迷子になった者や心が迷っている者の近くに現れ、静かに導いてくれると言われている。


 活動時間:主に夜間。昼間は高い木の上や雲の中で休息。

 食性:光に反応する小型の昆虫や、ベリー系を好む。

 知性:非常に高く、簡単な言葉や感情を理解する能力があるとされる。




 ワクワクが止まらない。

 世界中の鳥を探していた頃の高揚感が蘇り、胸が高鳴る。夢中で図鑑を読み進めていると――


 突然、背中に風が通り抜けるような感覚が走った。


 ん???


 景色が黒く染まり、目の前の光の入口が遠ざかっていく。重力が消えたような感覚。




「うち……何で大量の本と一緒に、背中から落ちてるのかなあああああああああああああああああああああああああああああああ!?」


 気づけば、うちは図鑑を抱えたまま、闇の渦の中へと吸い込まれていた――。













 ふぅ。叫んでみたら、なぜか急に冷静になった。

 図鑑このまま持ってきちゃったけど、怒られるかな?そんなのんきなことを考えていたら、急に視界が開ける。

 背中を見下ろすと、床には本が山のように積み上がっている。高さはまるでビルの何階分かというほど。


「これ……落ちたらさすがに痛いを通り越すね?」


 本を咄嗟に上に投げて、インベントリから取り出した回復薬を口に含んだ。

 体を反転させ、手足を投げ出して大の字になり、空気抵抗を最大限に使って落下速度を調整する。

 無機質なコンクリートの床が迫ってくるが、タイミングを見計らい、盾を装備し両手でしっかり握る。

 ――ここだ!


【シールドチャージ】


 盾を地面に叩きつけた瞬間、HPがみるみる黒くなっていく。

 落下の衝撃を攻撃に変えて勢いを殺し、バウンドする。衝撃で周囲の本が空中に舞い上がった。

 着地してもHPは減り続けており、口の中の回復薬をかみ砕くと、赤くなったバーがじわじわと回復し始める。ついでにさっき投げた本もキャッチ。



 《【落下耐性中】を獲得しました》

 《【落下耐性大】を獲得しました》

 《スキル【シールドバウンド】を獲得しました》



「あーびっくりしたぁ……とりあえず、ここはどこなんだろ?」


 周囲を見渡すと、扉の様な物がなく、大きな倉庫のようなガランとした部屋だった。

 天井にはぽっかりと穴が開いていて、そこから今も本がぽつぽつと落ち続けている。


「あそこから落ちてきたのかな?それにしても高いなぁ……20メートルくらいあったんじゃ……」


 過去に鳥の気持ちを知りたくて、スカイダイビングをしたことを思い出し、咄嗟に空気抵抗の体勢を取って、スキルを使った自分。グッジョブ!


 ゲームの中とはいえ、パラシュート無しミニスカイダイビングはさすがに心臓に悪い。

 この部屋からの出方もわからないし、少し落ち着くために、今獲得したスキルを確認することにした。



 【落下耐性大】パッシブ

 獲得条件:落下ダメージによってHPが一定以下まで減少した状態で生存する。

 効果:落下によるダメージ50%軽減する。



 【シールドバウンド】アクティブ

 獲得条件:落下着地時に盾を地面に叩きつける。

 効果:落下着地時に盾を地面に叩きつけ、範囲内の相手を反動で跳ね上げる。跳ね上げ中は行動不可、ただし空中スキルがあれば連携が可能になる。



 落下耐性は中を飛び越え大になっちゃったね?

 そして出ました、範囲内!この範囲が未だにわからない。そして新しいスキルは何か攻撃ってよりも、妨害する感じなのかな?

 うーん、色々と思考が迷子になりそう、というか自分自身がここから出られないから全部迷子なのである。

スタンプ、ブクマ、★をポチっとしていただくと部屋のギミックが・・・?


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